61魂の行方と燈佳の行方
「因みにの話、第2段を聞きたいかい?」
えっ?
「正直、第1段が重すぎたので、そろそろ話を進め…」「聞きたいですわ!!」「そりゃあ聞きたいに決まっているじゃない!!」
えっ?聞くの?
「そういう事なら仕方ないねぇ。本題に移ろ…」「「美孝さん!!」」「解りましたよ、第2段をどうぞ」
「そうかい」
嬉しそうに笑ってんなぁ、可愛いからいいけど…
「魂を引き裂かれた子達のその後なんだけど…気にならないかい?」
「「気になります!!」」
元気だなぁ。
「実は、魂を引き裂かれて半分が元に戻っちまった新しい転生先は、心配要らないのさ。なぜなら、転生をする事によって、元気になった魂だからね。少し位魂の総量が減っても、体の成長に合わせてだんだん回復していくから、ほぼ何の心配も要らないのさ」
ほぼ?
「何でほぼ?何かが想定されるの?」
「二つだけ懸念があるんだよ。1つは、魂を無理矢理回復するから、物凄く強い魂になる場合があって、その際ステータスが格段に上がるんだよ。凄く強くなるんだ。だから、神童扱いになっちまう場合がある。成長すれば落ちついちまうけどね。もう1つがね。古い方と魂の糸が稀につながっちまう事があんのさ。そうすると、魂の総量を均一にしようとする力が働いてね。魂の回復に時間がかかる時があるんだ。そうすると疲れやすくなったりするから、少し危険なんだよ」
「少し、か…聞いた限りでは気にする程でも無いんじゃないかな…」
「まぁ、そうさね。問題のあった方に行こう。半分が転生先に残った状態で蘇った場合が危険なんだ」
「具体的には、最後に甦らせた一万人の事だよね?」
「実はね、気付いたのはその時だったんだけど、10年の月日の中には、それなりの人数そういう例がいたらしいんだよ。だから木暮が泣いたんだけどね」
あの能面が崩れただと?
「あの木暮さんが?」
「あぁそうさ。勝手に甦らせられて、魂を回復出来ずに死んじまうのを止めてやれなかったってね」
どういう意味だろ?
「魂を?」
「引き裂かれた魂が、元の体に引き戻された時にどうなるか…まず第1に記憶が半分になっちまう。第2に魂の入れ物としてでかくなった体には、大きな隙間がいたる所に出来ちまって、その部分に力が入らないんだ。だから、記憶も半分、体も思うように動かない。そんな状態で現実に引き戻された犠牲者は、半数が自分で命を絶ったそうだよ」
戦場だもんなぁ。
「厳しいね」
「残りの半数も、一ヶ月もすると魂が薄く全体に行き渡るから、動けるようにはなるんだが…意識自体が希薄になっちまうんだ」
残念だが。
「無気力になっちゃうわけか…」
「そうなのさ。だから、木暮の奴も気合を入れて、改善薬を作っていてね。この丸薬を1つ飲めば全快っていうスゲー薬があるんだ」
命に対する気合は僕が一番知ってる。伊達に一ヶ月も喧嘩してないんだよ。
「じゃあ、生き残ってた無気力な人達は、木暮さんが助けたんだね」
「そうさ、生き返った事がある奴等を全員スキャンしたって言ってたよ。私の能力はこの時に木暮が開発したのさ」
うーん。
凄すぎる。
「通常の輪廻転生に関しては、物凄く冷めた対応なのに、気合い入ってんなぁ」
「まぁある意味当然さ。通常の輪廻を守り、滞りなく来世に送るのが奴の仕事さ。逸脱しなきや。いつもの事さね、いつも通りのルーチンワークさ」
「逸脱したら全力で、何がなんでも助ける…か、ある意味わかりやすい。ま、僕への説得に1ヶ月かける位だもの」
「奴の気合いは半端無いからね」
「でも、何でそんな細かい話するのさ?普通に考えて転生した犠牲者を見つけたら木暮さんに連絡する様に気を付けなって言う位で充分なんじゃ?」
「勘違いすんじゃないよ。復活の被害者を見つけたら、全力で救うのなんて当たり前なんだ!!嫌だなんて言いやがる奴が、どの口でレストを救うなんて言ってんだって罵ってやるところさ!!」
仰る通り。
「問題なのは、瑞木、アンタが復活の魔法を使う可能性があることさ!!その時はまず、木暮に連絡をとると約束しな!!瑞木の覚悟を小暮も見ているよ」
あっ…
そうだよね。
「考えてみれば、欠損の回復をするって事は、勇者魔法を手に入れる事が前提なんだから…復活の魔法も手に入れるのが当たり前だよな」
「瑞木が復活の魔法を手に入れて、理不尽な死を知ったとしよう。甦らせないっていう選択肢があんのかい?」
即答できるぜ。
「ない!!」「そうでしょうとも」「姉ちゃんを…ダメだ!!遺体がない!!」
朱音さんの叫びが悲痛に響く。
「朱音…残念だね…流石に遺体がないと復活は無理らしくてね…」
ん?
「アリエスはどうやって、10年も経った皆を復活出来たんだ?」
「あぁ、ジェミニがね。城の地下牢に隠しててね。遺体はそこにすべて有ったからこそ、復活出来たんだ」
それは…
「壮絶な死を迎えたんだろうね…」
「あぁ、余りに恨みが強くてね。かなりの数が地縛霊になっててさ。一万人もいたのに、転生してたのは二千人位だったらしい」
壮絶すぎる!!
「その地下牢、怨霊の巣だったんじゃん!!」
「復活した時点でほぼ消えたよ」
そうか…
「まだ!!行けば欠片くらい!!」
身支度を整え、飛び出そうとする朱音さん。
「待って朱音さん!!それは不可能だよ!!もう半年前だ、何も残っちゃいない!!どうしてもと言うなら、セーフに任せてくれ!!」
「だって…だって!!私、復活の魔法を知っていたのに!!姉ちゃんを放ってきちゃったんだ…」
朱音さんが泣き崩れた。
「朱音、あの時点ではその事を考えるのは無理です。勇者が能動的に復活の魔法を使うなんて考えは、あり得なかったんですから。副長の燈佳の事は諦めざるをえないのです」
どう考えても遺体が残ってるとは思えない。
それに1人で飛び出すのは危険すぎる。
「セーフ、ラード王国内なら任せろって言ってたよね?お願い出来るね?」
「勿論さ、でも朱音。名前を教えておくれ。あんたの姉ちゃんの名前をね」
あぁ、まだ聞いてないよね。
「鍵軒…燈…佳だよ」
燈佳さんか。
「ほう。やはり鍵軒燈佳副長が朱音の姉ちゃんかい。わかった。任せときな!!ラード王国中をしらみ潰しにしてやるからね!!」
戦闘現場付近のつもりなんだけど…
朱音さんが納得出来るならその方が良いか…
「お…お願い…じ…まず」「私からも是非お願い致します!!」
二人とも涙化粧が痛々しい。
「ん!?なんだってこんな所に!!しかも、防腐処理も完璧じゃないか!!この国の王は何を考えてるんだ…?」
あった…
だと!?
「一体何処にあったのさ?」「本当ですか?」「ううっ!!取り返しに行きます」
朱音さんが今にも飛び出しそうだ!!
「待ちな!!場所も聞かずに何処行くんだい、朱音。行くなら皆で行くよ!!話を聞きな!!」
「…はい」
朱音さんがペタンと座り込む。
「場所はね。まず、戦いの現場に綺麗サッパリ何もなかったから、言葉通り国中に検索範囲を広げたら…城の最奥の分厚い扉の奥に、しっかりと防腐処理を施されて保管されてる燈佳副長を見つけたんだ。欠損も見えないから…討たれた当日に連れてきてるようだしね。一体何のために、こんな事をしているのか…解らないねぇ」
王は何を?
「確か、王って勇者を招く予定だって聞いたけど、魔物の駆逐だけじゃなくて…まさか…」
「普通に考えりゃ無い話だろうけど…いや無いね!!もし、そんな事を考えてるなら、あの子たちをあんな風に扱うわけ無い!!何か理由があるに決まってるよ!!」
そう?
リーフに対する罰を見てるとこの国の国王は悪い人じゃなさそうだけどな。
「取り敢えず、国が厳重に保管してくれてるなら、そのまま任そうか。どちらにしても、僕らには復活の魔法は手に出来ていない。今、下手に突入しても良い事はない。情報収集から始めるべきだ。だが、セーフ、まずは小暮さんにすぐに連絡!!燈佳さんの転生を阻止してくれ。他にもラードの餓死者は基本的に転生を阻止。助けたい!!あの子も!!」
…あの子も?
……あ…の…こ…?
なんだろう。
思い出せないな…
「あぁそうだね。すぐに連絡するよ。でも…あの子?」
つぶやきながら逆立ちを始める。
何してんだ?
「美孝さん!!私を今すぐに性奴隷にして下さい!!そして、姉ちゃんに復活の魔法を!!」
朱音さん…
「そうだよね。朱音さんならそう考えるのが自然だよね…でも、僕にとっては、それは最終手段なんだ」
「嫌です!!お姉ちゃんが!!お姉ちゃんにもう一度会える方法があるんですよ!!何だって!!そう!!何だってしてやるわ!!お願いよ。美孝さん!!いや、美孝様!!後生ですから、私を性奴隷にして下さい!!お姉ちゃんに逢いたいの!!もう一度だけ頭を撫でて貰いたいんです。お願い致します。この通りです!!」
這いつくばり土下座を始めてしまった…
「わかっ…」「じゃあ!!」
朱音さん、待ってよ。
食い付きすぎだよ。
「話を最後まで聞いてください。第1に、必ず燈佳さんを復活させると約束します。第2に、勇者にはまだなりません。第3に試してみる価値がある考えが2つあるからです。結論、僕が考えている方法を試してみて…それでも駄目なら、朱音さんを性奴隷にして燈佳さんを復活させる事を考えましょう。聞こえましたか?」
「「はいっ」」
リーフさんまで…
まぁ、2人とも大事に思ってたんだ。
真剣になるのは当然だね。
「じゃあ土下座は、もう止めようよ」
「いいえ!!その方法を具体的に教えて貰うまでは嫌です」
あら?
信用無い?
まぁ、一刻も早くって話だよね。
「1つは、このままの状態で、復活の魔法を使ってみる事だね。ただし、ぶっつけ本番は避けたいから…まず、欠損の回復を試してみるつもりだけどね」
「でも、勇者にしか使えないから、勇者魔法なんじゃ?」
そうだね。
「そのとおりさ。でも単に魔力値の問題なら、大丈夫でしょ?幸い、僕には百倍以上の補正がついてるからね」
「確かに」
「あと、実はもう1つの方法の方が、多分、成功率が高いんだけど…降霊術で勇者の霊を降ろす。アリエスが良さそうだけど…他の人でも行けそうだよね。その霊に復活をしてもらえるはずですよ」
「妥当な線じゃないか、瑞木。朱音も納得出来たろう?土下座を止めな」
「はい」
ふぅ…
「完全に脱線しきってますよね。元の話をするわけには…」「「美孝さん」」「瑞木…」
「まぁ…いかないですよね…じゃあ、試す事にしましょう」
あぁ…
また本題が遠退くなぁ…
魔物の特性…
まぁ仕方ないか。
人の命がかかってるしね。
一旦保留だ!!
…本当の意味では、魔物の特性も同じく人の命がかかってるんだけど…
女神さんと嫁さんと嫁さん候補に迫られたらどうしようもないよね。
瑞木美孝18才
レベル28(15)
体力値215(140)=30100
魔力値219(140)=30660
力339(140)=47460
知力231(140)=32340
俊敏さ214(140)=29960
器用さ220(140)=30800
幸運値250(140)=35000
魅力437(140)=61180
風10(140)=1400
水10(140)=1400
火10(140)=1400
土10(140)=1400
光10(140)=1400
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵、難病の克服者
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
解体・交渉・召喚魔法・身体強化・範囲観測中級
精霊魔法信頼級
回復・催眠・風魔法・馬術・火魔法初級
降霊術
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
妻
リーフ
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(595)武司(95)玲子(55)朱音(999)メルー(72)道緒(83)直(101)メアリー(87)燕(89)レモン(83)流々(88)里乃(81)リーフ(914)天河(53)春臣(63)君里(71)秋虎(72)
精霊:風(11,2)水(9,3)火(9,1)土(8,7)光(7,7)闇(10,8)
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・リーフ・天河・春臣・君里・秋虎
設定
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