59暁の露出王と呼ばれた勇者
「全く…瑞木が懐かしそうに木暮の話に乗っかるもんだから、話が全く違う方向に行っちまったよ」
…照れ隠しだね、コレ。
「そうだね。ゴメンよ、僕が血の涙を流した事を、そんなにセーフが嘆いてくれたなんて…幸せだなぁ」
「瑞木、そんな事言い出すと、また話が明後日の方向に流れちまうじゃないか。いい加減にしておくれ」
あれ?
「それなら、照れ隠ししてないで皆に言う事があるんじゃないの?」
「どういう話ですか?是非知りたいです」「また面白そうな話なの?」
ほらね。
「うっ!!…その話は色んな話が済んだ後だよ!!今、話が逸れたばかりじゃないか。後だよ、後っ!!」
あっ、逃げやがった…
まぁ良いけどね。
「じゃあ、続きね。転生を司る神、木暮さんが、レストが死人が多すぎるうえに、勇者のせいで転生の輪から勝手に魂が引き戻されてしまい、管理が大変だから、何とかして欲しいと、八百万の神に泣きついたって所までだったよね」
「あれ?…話してない所まで補足されてる気がするねぇ」
ん?
「脳内で補完してた話を足したけど、間違ってた?」
「いや、大丈夫。続きを話すよ。時系列としては、既に三十年程前さ。その十年位前から、自己の奴隷化をしちまった何処かの馬鹿王が、侵略だの略奪だの破壊だの…酷い事やったらしく、木暮が切れたんだ」
「でも、死んだだけなら木暮さん、いつもの事務的な対応で乗りきる気がするんだけど…」
「勇者が死人を蘇らせて回ったんだ」
バカだろ‼
戦乱の方を止めろよ。
「何で戦乱の方を止めてないのさ」
「そこはそれ、この勇者が嫌われてる理由になってるんだけどね…随分気まぐれでね。その時は、自分のプレイにしか興味がなかったからってことのなってる。露出の方向で特化した勇者でね。見てくれる観客を蘇らせたに過ぎないと一般には伝わっていないんだよ」
はぁ?
「はぁ?」「あぁ!」「暁の露出王!!」
知ってんのかい?
「見て欲しいと言う欲求が強すぎて、暁の露出王と呼ばれた勇者ですね。わざわざ人を蘇らせて、ビックリして集まってる所で露出するんですよ」
そうですか。
話を聞いた限りでは露出の方向で、プレイに目覚めた。
この世界では一般的な勇者みたいだね。
「皆、死んじまってね。見てくれる奴が居なくなっちまったもんだから、勇者魔法で数万人単位で蘇らせて見せて回ったんだと」
「数万人…滅茶苦茶だ」
「戦乱で死んだ人間がほぼ全て蘇った頃、何を思ったか。姿を消してね。馬鹿王の方も居なくなったから、色んな憶測が流れたらしいけど…真相は闇の中と言われてるね。これがレストでの皆の認識さ」
そっか。
「そうですね、最後にセーフさんの言う馬鹿王が改心したのではないかとか…」
「実は、その馬鹿王こそが、暁の露出王だったんじゃないかなんて話もあったよ」
「あぁ…取り敢えずの真相はね、暁の露出王の方が疲れきって飽きちまったんだと」
何に?
「変態にですか?」「状況にかな?」「まさか死人の復活?」
「瑞木、正解」
馬鹿にしてんのか?
そいつ。
「じゃあ、蘇らせるのが面倒になったから、原因の馬鹿王を殺して、事態を止めたと?」
「端的に言うとそうだね。面倒と言うより、耐えきれなくなった…か。何にしてもはた迷惑な話だろ?一応、勇者にも言い分はあるんだがね」
最低じゃん、一番端からやれよ。
「勇者ってそんな奴しかいないのかよ…」
「勇者認定されてる奴等に限ってはそんなんばっかだね。毛嫌いされるのも当然だね。諦めな」
気が重いなぁ。
「十年続いた戦乱で死んだ人が、ほとんど蘇ったら…転生後の人もいたんじゃないの?」
「当然さ。そういう子は可哀想だよ。魂が引き裂かれて戻ったからね。記憶を半分持っていかれちまうのさ。戻った体の方だって、記憶が半分なんだ。訳がわからず結局死んだりね。木暮の奴の憤りは限界を超えてたよ。奴が泣きながら、助けを求めたのは後にも先にもあの時だけさ」
「その時に起きていたと言う、あの有名な記憶喪失事件の真相は、そういうことだったのですか!!私の母の友達も、急に記憶が一部消えてしまって大変だったと、話してくださった事を思い出しました」
そりゃあ大事件になるよ。
「それで、誰かレストを何とかしてくれる人材…神材か、神材を募ったわけだね?」
「そうさ、その時私が手をあげたってわけさ。当初は、レストの住人の誰かに、加護と知識を与えて、レストの歪さを修正していく計画だったんだがねぇ」
「三百年かけて?」
「いや、下手すると千年近くかかる事も考えててね。私の触れない体も不死性や各種のチートも、その一族を長年に渡って導いていく為と神の神秘性獲得の為に三十年位御祓をして手に入れたものなんだけどね」
けど…
なに?
「けど?」
「瑞木はレストに来て三日目だってのに…性奴隷も手に入れずに、勇者に迫る勢いのステータスだし、精霊魔法や各種のチートを発掘してるだろ?」
まあね。
「確かに便利過ぎるスキルとか多いよね」
「だから、当初の百年で確保しようと思ってた、まともな勇者による、統治または取り締まりを1年とたたずにクリアできそうな勢いなんだよ。まぁその分、瑞木の心に負担がかかったんだけど、今日のこの話し合いで目処が立ちそうだから大丈夫だしね」
「今…3日目と聞きましたが…美孝さんは元の世界でも強かったんですか?」
あぁ皆ビックリするよね。
元の世界では普通で、レベルアップの理由は2日間でコボルトを中心に400頭位を狩ったためと説明した。
ステータスは、転移の時のチートも併せてだけど、相性値を上げれたので、随分強化されたことを伝える。
「たった3日で、レベル28になったなんて、私の六年間が…なんか寂しいわ」
「そうですね。すごい勢いですものね」
「まぁそれだけの数をこなしましたからね。連続討伐ボーナスとかもありそうですけど」
「えーと、いいかい。結局、私と瑞木はこのレストを、まともに命が循環する様にするために転移してきたんだよ。その方法は、当初は私が神となり、神の声を聞く一族を形成して、教え導こうとしてたけど…瑞木が一緒に来てくれた事によって、方向は違うけど良いの結果が見えそうだ」
だから、こっちきて考えるとか言ってたのか…
「美孝さんとセーフさんの関係は?」
「瑞木を教え導くコーチング妖精だよ。瑞木を好きになっちまって、触れられない事に不満タラタラだがね」
恥ずかしそうな仕草、最高です。
「最後に何でレストを、私たちの世界を助けてくれるのですか?」「知りたいな」
まぁね。
「ゴメン、僕には高尚な理由はないよ。御祓をしているセーフが死んじゃいそうだったから助けたら、自分が死んじゃってね。神の木暮さんにレストに行くかい?って誘われたから来たってのが真実だよ。勿論こっちにきて、助けたい皆が出来たから、今は凄く能動的に助けたいんだけどね」
「美孝さん…ありがとうございます」「凄いなぁ」
「私の理由は単純だった。私は元々地母神だ、馬鹿のせいで命の全う出来ない奴がいるのが許せなかった。それだけだったよ。でも、瑞木と一緒に転移してきて、瑞木や子孫が生きていく世界を良くしたいと思ってるね」
嬉しいねぇ。
「セーフさん、真実をお話頂いてありがとうございます」「ありがとう」
「私たちの話はこれ位かねぇ」「そうじゃない?」
「あっそういえば、勇者の事で1つ気になりました」
「なんだい?」
「認定されている勇者に限っては、と仰いましたが、認定されていない勇者なんているんですか?」
「それね」「それか」
「二人で通じ合ってますね。どうしたんです?」
「実はね、勇者になるためには基本的に1つの事をクリアすれば事足りるんだ」
そう。
「何でしょうか?」
「性奴隷を手に入れる事さ」
「それだけ…ですか?確かにハードルは物凄く高いですが、そういう趣味の人もいると社交界で聞きました。もう少し例があっても良さそうな気が致します」
そう思うよね。
「それにゃあね。3つ程無理な理由があんのさ。まずね。貴族の中に、そういう趣味の奴がいたとして、勇者にはまず成れないんだ」
まぁ無理だね。
「理由を聞いても?」
「性奴隷が、主人を真に主と認めなきゃ駄目なんだよ。買ってきた奴隷を、無理矢理従わせたって無意味って事さ。しかも、基本的に明言する必要があるからね。貴族で奴隷と口をきく気がある奴は…いないだろ?」
「確かに独りよがりな話しか聞いた事がありませんから…現実的ではないですね」
「理由の最後の1つ。さっきの話とも重複する部分もあるけどね。レストには変態過ぎる勇者が悪評を広め過ぎたのさ」
「どういう意味ですか?」
「つまりね、ある日愛しい人の性奴隷になれて嬉しいと思ってる子がいたとして…前提条件は放っておきな、そういう特殊な趣味の子もいるんだ…唐突に勇者魔法を使える様になりましたと、さっきの奴隷スキルの時の様に告げられるのさ。全然勇者になるつもりなどない、その子と主人は、誰にも勇者になった事を告げずに、その2人なりの愛を深めるのさ。そして、強くはなるけど、その事実は誰にも告げずに息をひきとる」
まぁ、それはそれでも良さそうだけどね。
「勇者の悪名に自分達が、押し潰されるのを恐れるんですね?」
「普通の神経を持ってりゃ当たり前の話じゃないか。望んだ訳でなし、悪名だらけで、仲間もいない。しかも原因を考えたら性奴隷になった事しかないから、誰にも説明したくない。口を開いたらマイナスしかないのに、誰が大っぴらにするもんか…と考えるのが大半なんだ。だけど、そんな悪評なんぞどうでもいいと考える奴が、認定されちまった勇者達だね」
「だから、勇者は悪名高くなる訳ですね」
そういう性質の人しか成らないからね。
「そう、つまり市勢の奴の中にゃ、一定数の勇者はいそうだけど、探しても誰も得しないだろうしね、見つけても絶対に認めないだろうさ」
そういう趣味の人も大変だよね。
「だからこそ認定されてる勇者には、壊れた人しか居ないって訳なんだね」
そうだよ朱音。
「まあね。一般的見解からすれば、壊れたとしか感じられないような趣味を持った人のみしか、認定される様な行動を取る理由がないんだろうね」
「なんか、勇者になれた人達って凄く悲しいと感じてしまいます」
「どうだろうねぇ。別に隠すかどうかは…自分達で決めてるんだろうからさ。きっと思ったほど寂しい人生にはならないんじゃないのかい?」
「どちらを選ぼうとも、好きあったもの同士で、比較的幸せに暮らせそうですしね。羨ましい話ではあります。勇者認定された場合の周りの迷惑に目をつぶればですが!!」
瑞木美孝18才
レベル28(15)
体力値215(140)=30100
魔力値219(140)=30660
力339(140)=47460
知力231(140)=32340
俊敏さ214(140)=29960
器用さ220(140)=30800
幸運値250(140)=35000
魅力437(140)=61180
風10(140)=1400
水10(140)=1400
火10(140)=1400
土10(140)=1400
光10(140)=1400
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵、難病の克服者
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
解体・交渉・召喚魔法・身体強化・範囲観測中級
精霊魔法信頼級
回復・催眠・風魔法・馬術・火魔法初級
降霊術
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
妻
リーフ
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(595)武司(95)玲子(55)朱音(928)メルー(72)道緒(83)直(101)メアリー(87)燕(89)レモン(83)流々(88)里乃(81)リーフ(826)天河(53)春臣(63)君里(71)秋虎(72)
精霊:風(11,1)水(9,3)火(9,1)土(8,7)光(7,7)闇(10,8)
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・リーフ・天河・春臣・君里・秋虎
設定
一部非表示
楽しんで頂けましたか?
また明日の18時にお会い出来れば幸いです。