50奴隷の13人と目を閉じたままの5人
「君は加護を授かったのさ」
「加護ってどんな?」
まあ、そうだよね。
「僕からの加護だよ。朱音さんの力は十倍になってるんだ。そして、僕も朱音さんから加護を貰ってるから、十倍になってるよ。さっきした契約は、双方に良い影響を与えるものなんだ」
「十倍…だからあんなに跳べたのね」
「ただし、もし僕を裏切ったらマイナスの加護が付くから気を付けるんだよ」
「裏切るって?」
気になるよね。
「誠実に裏切らず僕と働く事を誓ったでしょ」
「そうね」
「その誓いを破ることさ」
「普通に真面目に働いてれば関係なさそうに聞こえるけど……それで良いのよね?」
そう。
「勿論さ」
「因みにどんな加護が付いちゃうの?」
「力が十分の一になるのさ」
「えっ今現在の?」
「違うよ。さっきまでの力のだから、今からだと百分の一だね」
「未来永劫?」
まぁ、怖いから気になるよね。
「奴隷契約を解除するまで…だよ。でも心配しないで!!待遇は今後はもっと良くするつもりだしね。当面は快く働いて貰えるはずだよ」
「奴隷を解放するって言ってるの?聞いたことないわ!!事実上の未来永劫って訳ね。まぁ…誠実に普通に働いてれば要らない心配だけど」
まぁ知ってる奴等は情報を隠蔽してるからね。
「そういう事だね。でも、まず今一番大事なのはみんなを救う事なんだ。皆と街道の魔物を片付けることも予定してるけど、まずはお腹を一杯にしなきゃね。お願いしたことは覚えてるかい?」
「まずはリーダーね。呼んできます」
よしっ。
「よろしくね。リーダーにも手伝って貰いたいんだ。あと、契約して急に現れた彼女はセーフ。僕の仲間だ。重要な話をリーダーの所に向かいながら聞いて欲しい。奴隷契約に関する重要なことだよ」
僕の言葉を聞いてから朱音さんが走り出す。
「セーフ、よろしく」「任されたよ。すぐ戻ってくるからね」
心苦しいけど致し方ない。
「さて、食べ終わった皆さん。今のやり取りを聞いてたと思います。聞いた通り、真面目に働いてくれるなら三食を保証しましょう。労働条件も無茶にならない様に頑張りますので、奴隷契約をしてもらえませんか?」
「一つだけ聞きたい。その三食は、さっきの料理と同じ人が作るのか?」
さすが恵美さん。
「望むなら希望に沿おう」
「じゃあ俺はなるぞ」「私もよ」
結局、その場にいた12人が全員奴隷になり、計13人が奴隷となった。
奴隷になった皆には、浮浪者仲間を呼んできてもらう。
奴隷契約については他言無用と言い含めてだ。
破った場合は、マイナスの加護に該当し、死をもって償ってもらうことも言い渡してある。
魅力の影響なのか、口を揃えて「美孝様を裏切るなど考えられません」と言っていた…
土の加護が効いて十万を超えている魅力は伊達ではない!!
でも…
様だけは勘弁して貰おう。
朱音さんにはセーフから必要事項を伝えて貰った。
あのタイミングで言うと、他の人の奴隷契約に影響が強過ぎたからね。
戻ってきたセーフが声をかけてくる。
「なかなか凄い事になったもんだねぇ」
そうだね。
「うん、でも、みんな物凄く相性が低いね」
「明日からの命がかかってるからね、渋々ってところもあるさ。仕方ないだろ。でも低さは、瑞木の問題でもあるよ。向こうからは高い子もいるからね」
まぁね、ちょっとネガティブな称号が目に入ってね…
「出来れば、会社化したいな」
「確かに、それが一番現実的だ」
「でも、それよりもまずは命の危険な人達を救うことだ。セーフ!!範囲をこの町全体に拡大して捜索!!」
「はいよ!!該当は3人!!さっきの坊主より格段にマシだが危険だね。案内するから着いてきな」
ん?
「思ったより少ないな。他にはいないのか?」
羽根で飛ぶセーフを追いながら聞く。
「…残念だけどね。5人が…今日、目を醒ましてないんだ。昨日は少し寒い夜だったからね」
愕然とした。
わかっていたことだった。
そして、昨日の時点でもそう自分で発言したはずだった。
それでも。
それでも、胸に空くぽっかりとした虚無感は拭い去れていない…
「瑞木、待ってる子もいるよ」
そうだ。
「あぁ。行かなきゃ、またそういう子が増える。立ち止まる暇はない!!転がってでも進んで助けなきゃな」
「あぁその意気だ!!」
でも!!
「でも、5人の中でなんとかなる可能性のある人はいないの!?」
「既に、全員が事切れてるよ…そして、城の回収班が…積み込んでるね」
「あの回収班!?」
怒りが込み上げる…
でも何で僕怒ってるんだろ?
「待ちな!!随分丁重だよ。毛布でしっかり包んで、抱き上げて泣きながら抱いて帰ってるよ。5人とも全てだ!!なんて事だ!あの時と全然違うじゃないか!!」
何を怒ってるんだろ?
聞いた限りでは良い話じゃん。
「怒る理由がわからないよ?」
「そうだね。悪かないよ。でも…でもね」
苦しそうだ。
悲しさを振り払うように首を振る。
「じゃあ、行くよっ」
最速でたどり着く。
3人とも思ったより弱ってなくて、口に指を突っ込んでスープを入れてやるとごくごく飲み始め、早くに回復した。
意識もある。
3人を連れて最初に手を洗った広場に戻る。
広場には続々と人が集まりつつあった。
その中でひときわ目を引く2人がいる。
赤い髪をした朱音さんと白い髪をしたリーフさんだ。
ん?
確か聞いた話では元騎士団長の髪の毛の色は紫色と聞いたけどな。
「美孝さん、お連れしました。リーダーです」
ありがとね。
「朱音さん、ありがとう」
端的に言おう。
好みが服を着て歩いてる感じだ!!
襟元で髪を短く切り揃え、ボブカットに近い髪型。
190近い高い身長。目は二重で大きめだが、視線が強く凛々しい顔立ち。
そして、体型的に膨らみが少なくいわゆるシャープな貧乳さん。
髪はプラチナがかった白髪であまり元気はないかな。
「お初にお目にかかります。駆け出しの冒険者をしている瑞木美孝と申します。不躾なことを申します。ご足労頂いて大変申し訳ありませんが…皆さんお腹を空かせているので、お話はご飯を配った後にさせて頂きますね」
「こちらこそ、リーフです。喜んでお待ちしますので、どうぞ。ただ配るものが見当たりませんけれど」
そりゃあね。
右手にハンバーグ入りのスープを器に入れて出現させる。
「宜しければ味わってください。知り合いの料理人に腕をふるって貰ってます。旨いですよ」
「お気遣い感謝致します。しかし、私は最後で結構です。皆に渡してあげてください」
「解りました。では、そこで休んでいる彼に、この弱った人用のスープを飲ませて頂けますか?」
最初に助けた子の事だ。
「喜んで」
聖母のようだな。
自分もお腹が空いてる筈なのに。
「こちらは、望んだらあげてください」
ハンバーグ入りの濃いスープも差し出す。
「まだ難しいのでは?」
「無理なようであれば、処分をお願いします。勿体無いことは当然しませんよね?」
「スプーンを二つですか。お見通しなんですね」
はにかまれた。
「では、もう行きますので、よろしくお願いします。朱音さん手伝ってね」
「はいっ!!」
朱音さんも嬉しそうだ。
奴隷リスト
男:桜井天河、天都春臣、篠宮君里、藤胴秋虎
女:鍵軒朱音、村上メルー、ルメール道緒、嶋野直、桐生メアリー、春宮燕、天野川レモン、君嶋流々、鈴川里乃
瑞木美孝18才
レベル28(14)
体力値215(130)=27950
魔力値219(130)=28470
力339(130)=44070
知力231(130)=30030
俊敏さ214(130)=27820
器用さ220(130)=28600
幸運値250(130)=32500
魅力437(130)=56810
風10(130)=1300
水10(130)=1300
火10(130)=1300
土10(130)=1300
光10(130)=1300
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
解体・交渉・召喚魔法・身体強化・範囲観測中級
精霊魔法信頼級
回復・催眠・風魔法・馬術初級
降霊術
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(595)武司(95)玲子(55)朱音(23)メルー(2)道緒(33)直(51)メアリー(37)燕(39)レモン(33)流々(38)里乃(31)天河(13)春臣(23)君里(31)秋虎(32)
精霊:風(10,7)水(9,1)火(9,0)土(8,7)光(7,7)闇(10,8)
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・天河・春臣・君里・秋虎
設定
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好ましい話になっていますでしょうか。
明日の投稿については…未定です。これからの書き貯めに左右されます。
明後日には投稿できるはずです。
明日か明後日の18時にお会いできれば幸いです。