42超鑑定と恥ずかしがるセーフ
途中まではプロローグとほぼ同じです。途中から続きが始まります。
シーツにくるまり考える。
この街は限界に来てる。
明日からは、飯に事欠く人がかなりいるはずだ。
きっと、餓死者も沢山出る。
冒険者の仕事なんかやるよりも、肉を狩って来なければ死人の数がどんどん増していくだろう。
ジリ貧だ。
今、決断しなけりゃ…
待つのは屍達の未来。
僕だけじゃない…
沢山の命が屍をさらす未来だ。
装備品を売り払っても、何の意味もない。
そもそも、売ってくれる食料がもう底をつくはずだからな。
珍しい毛色と柔和な眼差しだって言われたから、愛玩奴隷として拾われる可能性が最上の展望か?
いや、いやいや、それが最上ってどれだけ人生投げ捨ててるんだよ。
しかもこの世界女性権力者なんて皆無だから買われる先は当然男…。
この剣で喉突いて死ぬべき未来だな。
それも所詮早いか遅いかの違いでしかない。
根本的な解決なんか無理だろうからな。
既に、一度死んだ身だ。
そこまで尊厳を投げ捨てた未来を選びたいとは欠片も思えない。
まぁ、女主人に望まれてって話なら少しは考えなくもない。
いや…
僕も男だし。
何て言うか…
男冥利に尽きるってやつだろう?
いっそ、この力を生かして自給自足で主人を養うか。
誰かを…
たった一人を…
守って、食わせていくだけなら、こんなに苦しむ必要も、悩む必要もない。
それをするだけの力なら、その程度の力位なら、身につけたからな。
世界を救う…
この街を救う…
なんて…
大それたことを考えずに…。
でも…
でもさ……。
などと考えてたらいつもの突っ込みが成された。
「いい加減腹くくりなっ!!助けるんだろ?みんなを!!一時しのぎと抜本的解決の両方を両立するって決めたんだろ!?まさか、またあの記憶が甦って辛いのかい?」
心底心配そうな顔が覗き込む。
「ちょっと走馬灯をね」
「バカだねっ、幻覚みるほど弱りきってるんじゃないよっ!!」
泣きそうな顔が物凄く可愛い!
最っ高だ!!
女神と呼んでも過言ではないだろう。
…というか元女神なんだけどね。
今の彼女はコーチング妖精。
俺のサポートをしてくれる素敵な子さ。
全く触れねぇけどな…。
ホントに地獄だ。
こんなに近くにいるのにな。
「さて、じゃあ…行きますか」
「頑張りな、あんたなら良いって言ってくれる子もきっといるさ。あれだけ努力してレベルアップを重ねたじゃないか」
「あー。自信ないな、生前も彼女なんていなかったからさ」
「今、生きてるのにそんなことを言わないっ!!生きるための努力をしない奴は嫌いだよっ」
顔を真っ赤にして睨まれた。
可愛いなぁ。
じゃあ致し方ない…
浮浪者の女の子に声をかけに行きますか。
性奴隷になって一緒に世界を救う事…を前提にお付き合いしてください…
ってね。
そして…
成功したら、デートして仲良くなって…
そこからやっと僕の異世界の旅が本格化することになる。
まずは、生きなくちゃ始まらないからね。
僕も…
そして、みんなもね。
ふぅ。
ため息を一つついて気合を入れることにする。
「今日も一日頑張るぜ」
叱咤激励の効果で気合いが入った。
その拍子にセーフと目が合った。
「瑞木、本当に大丈夫かい?『愛しい瑞木、心配だよ』」
えっ?
どうしたのさ。
急に…
「セーフにそんなこと言われるなんて初めてだね」
「いきなり何を?ワケがわからないよ?大丈夫かなんて何度も聞いてるじゃないか?『あの魔法のせい?』」
は?
「あの魔法ってのはわからないけど、愛しい瑞木なんて言われたらたぎるしかないでしょう?」
「何で私がそんなこと言うんだい?聞き間違いも大概にしな!!『えぇえっ!!心の声が漏れてたって言うのかい!?冗談じゃないよ』」
漫才なのか?
「セーフ、言ってるのさ?心の声が漏れたって僕が時々やらかす奴じゃない、怒りながら焦るって珍しい事してるね。朝から漫才でも始めたいの?」
「瑞木!!待っとくれ!!何かおかしいよ。私が話してないことまで瑞木に聞こえてるよ。読心術でも手に入れたのかい?『恥ずかしくて仕方ないよ。私の気持ちが駄々漏』」
あっ!!
真っ赤になって俯いた。
俯いたら同時に声も消えたぞ?
「何か新しいスキル手に入れたっけ?最近は、ニースに鑑定を貰った位かな」
呟いてステータスを覗くと鑑定がいつの間にか超鑑定になってる。
「鑑定が超鑑定になってるけど…これが原因かな?」
「また…レアなスキルを手に入れてるよ…この子は、もうっ!!」
すっごい恥ずかしがってる。
よっぽど愛しいとかの発言が響いたらしい。
「でも、具体的にどんなスキルなのかは謎なんだよね?読心術が使える様になるだけなのかな?」
「あのね、読心術なんて神でも一部の特殊な奴等しか持ってないレアスキルなんだよ!!だけってなんだい!だけって!!」
恥ずかしいからってそんなに力入れなくても…
「だってさ、さっきの状況から予測するに、視線を合わせる事が前提みたいだよ?そんな機会そうそう無いよ」
「そりゃそうだねぇ」
などと言いながら、ステータスの超鑑定を凝視していると、説明文が脳裏に表示されてきた。
「うわっ気持ち悪っ。普通の鑑定のステータスの表示とは違って、何かヌルっと出てきた!!」
まぁ自分の中だけの感覚だけど…
『超鑑定:鑑定を超越した鑑定。人物なら視線を合わすことにより、考えていることがわかるかもしれない。物質、称号及びスキルなどなら、凝視により詳しい鑑定結果を知ることが出来る。取得条件→鑑定スキルを取得した状態で闇の精霊の加護を得ること』
「鑑定結果のくせに『かもしれない』とか、なんて適当なんだ?これ。でも取得条件が解るのは良いな。色々使える!!」
『かもしれない』の部分を考え事をしながら凝視していた。
完全に無意識だったが、何か膨らみ始めてるように見える。
にゅるん!!
『超鑑定なんて馬鹿なスキル開闢以来初めてなんだよボケが!!そもそも人の心なんざ、自分自身すら把握できないもんなんだ馬鹿。そんなに気になるなら自分で勝手に試行錯誤でもしろ!!クソムシが!!死ね!!』
しゅるん
「うわっ!!いま鑑定結果に突っ込まれた!!すげぇ口汚い感じで!!しかも読み終わった後すごい勢いで収納された!!」
「瑞木…何言ってんだい?大丈夫かい?心配だ。さっきとは別の意味で…」
うわぁ…
心配された。
「超鑑定は開闢以来のレアスキルらしい。で、何か…死ねって言われた」
「はぁ?誰にだい?」
「鑑定結果?」
「何で疑問形なんだい!!」
「だって一番信じられないのは僕だもの!!」
その後、いくら凝視しても、突っ込みは再表示されなかった。
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
風10(1)=10
水10(1)=10
火10(1)=10
土10(1)=10
光10(1)=10
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
解体・交渉・召喚中級
精霊魔法信頼級
回復・催眠・風魔法・馬術・身体強化・範囲観測初級
降霊術
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(555)武司(70)
精霊:風(9,8)水(6,0)火(6,2)土(5,5)光(7,0)闇(9,9)
奴隷
なし
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続きはいつもの時間に更新予定です。時間は今日の18時を予定しています。お会い出来れば幸いです。