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女神とともに転移した世界がまるで地獄(エロゲ)でした  作者: 瑞木美海
第8日目 ドワーフの国へ出かけよう
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SS御厨パワーと静谷飛鳥の爆破岩討伐録2

今日2度目の投稿です。

よろしければ、前話を読んでみてください。

「はぁ?大岩だと!?コイツはどんな魔物だ?記録係!一人はコイツを記録に残せ!もう一人は、今までの記録を探って対応策を導け!」

パワー団長の鋭い声が、団員に指示を出している。

あぁ、格好いいなぁ…

こんな間近で見れるなんて幸せだ…

でも、私たちはまだ動かなくて良いのかな?

メニーに目配せしてみよう…


「ん?魔物の特定が最優先です。弱点の有無で、討伐の時間も変わりますから、急がば回れという奴ですよ」

確かにそうだね。

ん?

あの岩って、ギョロっとした目があるように見えるけど…


「市之助!俺はコイツを書き記すからな!」

「わかったぜ、ニコン!俺は台帳をめくって、特定を急ぐ!」

「副長!元冒険者の弥三郎じいさんを引っ張ってきてくれ!コイツが記録にも無いかもしれないからな!じいさんの経験からの特定も併せて進めてくれ!」

記録係二人の掛け合いと、団長の追加指示が聞こえる!

私たちの出番はまだかな!

役に立てない焦燥感からか、握りしめる大金槌が嫌に重く感じてきた。

くそぉ!

待つだけってのも辛いな。


「あれ?何で外の奴等が走り出したんだ?」

外の様子を観測していた観測担当が、不可解な声をあげた。

守備隊が走り出した?

どこへ?

なんのために?


「普段走り出すのは、マザー討伐の後の掃討の時ですよね?何があったんでしょう?」


「団長!大変です!弥三郎じいさんの言葉で、守備隊の奴等が、我先にと個々に討伐を開始しました!金に目が眩んで、言うことなんか聞きゃしません!」

副長の藤四郎先輩が、駆け込んできた!

金に?

なんだそれ?


「はぁ…そうか…乙夏、残ってる奴等を今の内に中に呼んどいてくれ。残りの奴等は減俸処分な。記録係、記録を頼む。で?藤四郎、コイツの正体は?弥三郎じいさんが知ってたんだろ?」

疲れた様子のパワー団長が、大岩から視線をそらさずに、指示を飛ばしている。

凄く落ち着いているけど、こんな命令違反なんて結構ある話なのかなぁ…


「爆破岩です。自爆をする魔物として有名ですが、キチンと倒せば、自爆を回避できます!瀕死の状態が一番危険で、その状態が10分続くと、爆発するそうです!」

自爆かぁ…

当然マザーもだよね!


「コイツがそうか…で?金の件は?弥三郎じいさんによると、いくらになるんだ?」

あぁ…

それも聞くんですか…


「はい!爆破岩を倒すと、全身が火薬の塊に変化するんですが、最上の火薬らしく…同じ重量の金と同じ価値があるそうです!」

え?

この大きさの岩と同じ重さの金?

さすがに外にいる奴等は、マザーとは大きさが違うだろうけど…

一体当り、金貨で100枚どころの騒ぎじゃないってことだよな?

気持ちはわからなくは無いけどさ。


「はぁ…やっぱりか…そりゃあ、減俸位じゃ足止めにならんな。仕方ない!なるべく早く倒して、向こうに合流しよう!藤四郎、直接攻撃は効くんだよな?」

眉間にシワを寄せて、団長が呟いている。

団長を困らした奴等は、私が泣かす!

今決めた!


「団長、残ってる奴等は居ませんでした。討伐者のサインが残る三体の爆破岩の死体が死体が残してありました。従って、全員が追加の討伐に行ったと見られます」

乙夏先輩が報告する内容も苛立たしい!

騎士団の誇りとか無いのかよ!

って言うか、パワー団長を困らせるんじゃねぇ!


「全く…懲戒免職並みの失態だな!まぁ、それを言い渡しても、嬉々として、爆破岩の死体を担いで辞めてくだけだろうな!利益がありすぎる!後の事は後で考えよう!さて、藤四郎、弱点を教えてくれ!」

くっ!

せめて、此処にいる私たちだけでも、連携してパワー団長の力になりたい!

もちろん、私もパワー団長の一番の力になってやる!


「団長!目です!大きく見開いた目には、剣でも攻撃出来ます!他の体の部分は、おそらく、通常の岩石と同等の硬度と強度を持っているので、下手な攻撃は武器を損なうだけです!」

私の武器なら大丈夫だね!

頑張って破壊してやろうじゃねぇか!


「よし、前方からは、僕が行く!剣や槍持ちは、僕に続いて援護してくれ!コイツの後方からは、飛鳥!君がメニーと一緒に攻撃しろ!僕の攻撃がヤツの命に届かなかった時は君達が突破口を開いてくれ!」

うおおおお!

燃えるぜ!

絶対ぶっ壊す!


「はいっ!この命尽きようとも、必ず爆破岩を倒してご覧に入れます!」


「おしっ!その意気だ!みんな、それぞれにフォローを頼む!ここからは時間との勝負だ!気合いを入れて行くぞ!!」

「「おう!!!」」

全員が一丸となって、爆破岩のマザーに向かっていく!

守備隊の奴等も馬鹿だが、死なせたくはない!

コイツを始末すれば、自爆を100%回避できるはずだから!


「メニー先輩!」

「ええ!行きましょう!」

二人分の大金槌の柄をガチッと合わせて、気合いを入れてから、爆破岩の背後に回り込む。

私の大金槌の師匠は、メニー先輩だ!

メニー先輩は160センチの体格に合わせて、100センチの大金槌を、私は180センチのものを使っている。

体格は違っても、いつも息を合わせて修練を積んだ私たちは、同時に爆破岩の背中を捉え、それぞれの大金槌を振り下ろした。


「いっけぇ!」

「おおぉりゃあああ!」

私たちの力を思い知らせてやる!


 2つの金属音が、響き渡り、ピシリと2つのヒビが爆破岩の体表に走っていく。

 前面では、ほぼ同時にパワー団長と、藤四郎副長の剣が、爆破岩の目玉に向かって突き出されていた。


 しかし、後方の二人に比べて、前面で目玉に向かった剣は、十分な結果を産み出せなかった。

 パワー団長の剣が、右の目玉に深々と突き刺さり、その眼窩が見えるほどに大きく切り裂いたのと比べると、藤四郎副長の剣は、左の目玉の表面を滑って、僅かに青い血を滲ませたに過ぎなかった。


「副長!剣を貸してくれ!」

「はいっ!スミマセン!」


 パワー団長が副長の剣で、再度のアタックをかけるのと同時に、他の団員が、パワー団長の剣が突き刺さったままの爆破岩の右目に向かって剣撃の集中砲火を浴びせて、傷口をどんどん広げていく。

 左目にパワー団長の操る剣が、再度深々と突き刺さると同時に、散々傷口の中で、爆破岩に痛撃を浴びせていたパワー団長の剣が、右目から無理矢理外界へと吐き出されて、カランと音を立てて転がった。

 その剣を素早く拾ったパワー団長が、団員へと指示を告げる。


「僕は、これから後方に回る。皆は傷口をどんどん広げて、止めを刺してくれ!」


 その頃、背面では、二人の大金槌使いによって、爆破岩の体表が、ボロボロになっていた。

 最初にヒビを入れた箇所に再度追撃が加わると、中心に向かって更に大きく裂け目を作り、別の箇所を打てば、ボロリと大きく剥がれ落ちた。

 渦巻くような金槌の打撃の嵐を、二人が絶え間なく作り出し、体積の60%を剥がされた爆破岩は、固く守られていた柔らかい肌を、さらけ出した途端に、大金槌の暴虐によって、血塗れにされていく。

 ドスンと勢い良くめり込んだ飛鳥の大金槌は、爆破岩の心臓を破壊した。

 無理矢理送り出され血は、周りの皮膚に、一瞬だけ血管を浮き上がらせてその動きを永遠に止めた。


「コイツの本体ってこんなに小さいのか!ありが…」


 団長が、労いの言葉をかけようとしたその時に、鼓膜も破けるが良いとでもいうような爆音が、鋭すぎる閃光と共に辺りを包んだ。

 あまりの音量に、塔の中で、爆破岩と戦っていた全員の耳が一時的に機能を失い、数分間は気絶に近い状態に追い込まれた。


 更にひどい目にあったのは、戦闘に加わらず、外の観測を続けていた観測班の二人だった。

 聞き耳を立て、更にしっかりと観察するために、窓にへばりつくようにして見ていた二人は、閃光をマトモに見たことによって、一時的な失明すらしていた。


「ヒーリング!」

目を覚ましてすぐに、パワー団長のアップとか!

軽く死ねる!

ビックリしすぎて、軽い呼吸困難に陥った。


「あ、ありがとうございます!」


「ん?あぁ、気にしなくて良いよ。今回のマザー討伐の功労者に、渡すサービスとしては、最低限のものだよな。こんなもんですまない」

うぅ…

抱き抱えたまま、そんなことを言われたら、顔が赤くなるってば!


「私には最高のご褒美です…」


 消え入りそうな飛鳥の声は、難聴を自前のヒーリングで回復していたパワー団長にだけ聞こえていた。


「これはこれは…我が団の美しい薔薇に、そんなことを言われたら、勘違いしてしまいそうだね…可愛い飛鳥、そういう冗談は僕以外には言わないでおくれ。本気にした相手に唇を奪われてしまうかもしれないよ?」

えっと…

是非本気にして欲しいっ!


「私には最高のご褒美です!」


「えっと…そういうことをされると、僕としては飛鳥の甘い唇を奪うしかなくなるんだけど?」

うぅ!

焦れったいなぁ…

もう、良いよね?

ゴールして良いよね!


「パワー団長のことが大好きだから、私にはご褒美なんです!だから、いただきます!」


 飛鳥は、パワー団長の首に手を伸ばして、起き上がりながら、その唇を重ねた。

 始めは戸惑っていた団長も、途中から覚悟を決め、貪るように互いの唇を食み合った。


「えぇい。いい加減にしてください!職務中でしょうが!飛鳥もいい加減にしろ!」

あいたっ!

グーで殴らなくても良いじゃないか。


「ぷはぁ!メニー先輩!痛いです…」


「二人で雰囲気出してますけど、まだ周りは怪我人だらけなんです!後にしな!後に!」

あっ!

しまった!

ごめんなさい!


「うん、そうだね!ゴメンよメニー。ヒーリング!飛鳥、続きはまた後でね。観測班が、酷いことになってそうだ」

パワー団長が、無理矢理起きて、叱ってくれたメニー先輩にヒーリングをかけて、観測班に向かって駆け出した。

あぁ…

私、さっきまであの人と唇で繋がってたんだよね…

うぅ!

凄く幸せだ!


「こらこら!何を考えているかが、表情から丸分かりですよ!」

あっ、メニー先輩にバレた。


「ごめんなさい。不謹慎でした。まず、現状確認と残りの爆破岩の掃討が先ですよね!頑張ります!」


「……いや、実はね。そっちの方は頑張らなくて良さそうですよ?」

えっ?

どういう意味?


「何でです?」


「いや、窓から見えてた木々が一本も見えないんですよ…さっきの音と併せて考えると…外に敵はもういない様ですね……」

うわぁ…

つまり…

戦死者400人って事かなぁ…

楽しんで頂ければ幸いです。

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