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女神とともに転移した世界がまるで地獄(エロゲ)でした  作者: 瑞木美海
第8日目 ドワーフの国へ出かけよう
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SS御厨パワーと静谷飛鳥の爆破岩討伐録1

書いちゃいました。

しかも、続きものです。

気に入って貰えると嬉しいです。

 これは、数百年前のラード騎士団の物語。

 爆破岩により、総勢500人の騎士団の約8割を消し飛ばされる騎士団長と、その近衛に初めて抜擢された女騎士との恋物語です。


「はぁ…気が重いなぁ…」


「なんだよ?随分と元気がねえじゃねえか!騎士団に咲く美しい薔薇と言われてる飛鳥らしくもねえ!!」

くっそがぁ!

わかってて言ってやがんな?

笑いながら逃げていきやがるし!


「テメエ!待てやコラ!張っ倒す!」


 斯くして、静谷飛鳥に捉えられた、同僚の藤棚メニーは、頬を張られ、涙目になった。


「なんだよぉ…事実を言っただけなのに、張り倒すこと無いだろ?」

ギルティ!

確かに言われてる事だけなら真実だ!

だけど、それはあくまでもからかいの為だと知っているお前は、有罪に決まっているだろうが!


「私の身長が2メートルを超えてるのに、私をからかうためにそんなこと言ってる奴等の尻馬に乗っておいて、何言ってやがんだ!ボケ!お仕置きが足りねえのかよ!?」


「はははっ。やっぱ気にさわった?飛鳥は顔は可愛らしくて、身長がデカイから、皆が注目すっからな。からかいじゃなくて、事実を混ぜたやっかみだと思うぜ?飛鳥は美人とか言われると恥ずかしがるからな。要するに目立ち過ぎなんだよ」

うるっせえよ!

寝言は寝て言えってんだよ!

わかってんだよ!

こっちは、よぉ!


「目立ってるだぁ!?広告塔みたいにか!!?彼氏居ない歴が、そのまま年齢の私に、それのどんな意味があるっていうんだよ!目立ち損じゃねえか!!私にゃ女性的な魅力なんて無いのは、私が一番知ってるわぃ!」


「わかってないなぁ…ちげーよ?飛鳥は高嶺の花って奴だろ?綺麗すぎて、男共も手出ししにくいんだよ。自分より背の高い美人だぜ?しかも職業騎士なんて、気後れしちまうとさ!」

はぁ?

何を馬鹿な!

そんな素振りなんてされた事無いっての!

18歳にもなって、彼氏居たこと無いのに、美しい薔薇とか呼ばれる身にもなってくれよ!


「言い寄る男が皆無の美しい薔薇なんて、あってたまるもんかよ!馬鹿馬鹿しい!」


「ま、飛鳥には、薔薇は似合わないってのは、あたしも同意かな…見た目はあんなにけばけばしくないもんね。もっと清楚なアイリスとか百合とかかな。でも、実態はもっとお転婆で明るいし。なんだろう…花で例えるのは無理、みたいな?」

くっそぉ!

まだ言うか?


「うるせえ!だから、違うって言ってんじゃねえか!いい加減にしろや!そもそも何のようだよ!こっちは、初めての団長の近衛任務で、緊張してんだ!用があるなら、早く言えよ!」


「ははっ、やっと顔色が戻ったな!声かける前は、ガタガタ震えだしそうな土気色だったんだぜ?」

ん?

緊張を解こうとしてくれたのか…


「ありがとよ…でもな、もう少しマシなネタの振り方は出来ねえのかよ!わざわざ人の傷口を抉って、塩を刷り込むような真似しないでくれ!」


「だから…前から言ってるじゃねえか!それが間違ってるって!飛鳥は美人なの!好きになった奴に、告白してみなよ!嫌な顔はしないはずっ!相手の身長が低けりゃ別かもだけど」

あのな…

騎士団の中で今一番長身が高いのは誰だと思ってるんだよ!


「周りに私より、背が高い奴がまず居ないって事実を、無視するな!そもそも、そんな事を思える相手がまだ居ない!」


「なんだよ…結局、男にはまだ興味が薄いんじゃねぇか…お子様だねぇ」

う、薄いって言うな!

そ、そんなことねぇし!


「あ、憧れの人だったら…い、いるんだからねっ!」


「おっ!マジで?初耳じゃん!あたしにも言ってないって、本気っぽいじゃねぇか!誰だよ?」

だ、だってさ……


「仕方ねぇだろ?自覚したのは今日なんだからさ!」


「は?今日だぁ?誰の事……あ!まさか?いや、そんなわけねえよなぁ…でも…」

うるせえなぁ。

メニーに隠し事なんてしねぇよ。


「団長だよ。騎士団長の御厨パワー様…」


「やっぱりか。だから、朝っぱらから顔色悪くしてやがったわけだな。まぁ、あの団長は守ってやりたくはなるよな!華奢だしさ!」

こっ!

こらこら!


「聞き捨てならねぇな!あの人は華奢なんかじゃないの!あの、ギュッと詰まった筋肉と、類稀な剣技、そしてコンパクトな体に溢れんばかりの威圧感!最高じゃねぇか!」


「はっ、はははっ。呆れて乾いた笑いしか出ないぜ?なんだよ、その恋する乙女の瞳は?悪かったね。お子様卒業だ…しかし、あの人との身長差、飛鳥と30センチ以上あんじゃん?」

い、良いんだよ。

別に……


「言ったろ?憧れてるだけで、付き合うとかねぇから。いいなって思っただけだよ……」


「ふぅん。まぁ、いいけどな!とりあえず、今日からあたしと一緒に近衛任務だ。ほどほどに気張ろうぜ!」

って言うか、その任務が不安なんだよ!


「今までの守備任務と違って、マザーをいかに素早く倒せるかが鍵なんだろ?そうしないと、塔の周りで守備任務についてる奴等に負担がかかるよな?」


「あぁ、その事か!大丈夫だよ!何が来ても素早く倒せるさ。2年前のあの時とは、装備も実力も桁違いだからさ!ドラゴン相手でもひけをとらないぜ!知ってるだろ?」

皆がドラゴン装備を新調し終えたばかりだからな。

私は持ってないけど……


「ん、メニーを含む先輩達の強さは知ってるからさ!私が、皆の足を引っ張らないか不安なんだよ!」


「何言ってんだよ!飛鳥は、真面目に掃討作業に取り組んでるから、レベルが随分上がって、団の中でも1、2を争う攻撃力になったんじゃないか!それを見越しての抜擢だろ?」

それは、体格と武器が合ってたからだと思う。


「大金槌の飛鳥よりも、騎士団の美しき薔薇飛鳥なんて通り名の方が、まかり通ってやがるのは、うっとおしいけどな!」


「そっちは、諦めとけよ!どうしようもない!……さぁ、いつまでも、じゃれていないで、飛鳥行きますよ!」

お仕事だものな。

寮を出発したら、規律はしっかりしなきゃ!


「はい、メニー先輩!」


 騎士団の精鋭二人は、騎乗の人となり、総勢500人の仲間たちとマザー出現の予定のある南東の塔に向かって進路をとった。


 騎士団長が、近衛部門100名を連れて、塔の中でマザーを迎えるべく準備し、補給部隊も、塔の中の備品を確認して、準備を終える。

 飛鳥も前回まで所属していた守備任務の精鋭80名が、入口付近に展開して魔物の侵入を阻み、東西南北それぞれに80名の守備部隊が、武器を構えて警戒体制の構築を完了した。


 マザードラゴン製のドラゴンメイルに身を包んだ、騎士団長の御厨パワーが、にこやかに微笑みながら、塔の前に進み出た。

 いつもの激励の言葉が綴られようとしている…


「親愛なるラード騎士団の諸君!あと5分で午前8時だ!また新しい魔物が召喚されてくる!2年前のドラゴンの様に屈強な魔物かもしれない。前回のように、ゴブリンかもしれない。しかし、何が我らの前に立ち塞がろうとも、我らは必ず打ち倒し、我がラード王国の平和を維持出来ると信じる!諸君の変わらぬ尽力に期待する!!」

うわぁ。

凛々しいなぁ…

前までは、塔の前で聞いてたけど、塔の中で聞くと、身が引き締まる思いがする!

この、随分と人より伸びた身長は、縮んだりしないみたいだけど…


 激励を終えた騎士団長が、近衛部門の先頭に立ち、マザーがいつも現れる場所に相対した。


「さぁ、皆、いつものように、最短でマザーを排除するよ!特に静谷飛鳥さん、僕と同等の攻撃力には期待してるからね。頑張ってね!」

ふわぁ!

な、な、名指しで激励されちゃったよ!

嬉しすぎるぅ!


「はっ!ご期待に沿うべく、全力を尽くします!」


「良かったですね、飛鳥。頑張りましょう!」

隣に陣取るメニーが、微笑みながら声をかけてくれた。

もう、何が相手だろうが、一撃の元に沈められる気がしてくる!


「はいっ!」


 飛鳥が返事をした瞬間と、空間がホンの少し歪んで、騎士団長の目の前に、巨大な岩が現れたのは、ほぼ同時だった。

 御厨パワー率いるラード騎士団最悪の戦いが今始まる。

楽しんで頂ければ幸いです。

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