41悪夢と目覚め〜そしてプロローグへ〜
ニースが帰った後、恵美さんに薄いスープの温度を注文しに行った。
飲み込めない人に、直接指を突っ込んで流し込む為だ。
丁度良い温度で収納しとけば、冷めないことを、風呂の湯で実験できたからな。
恵美さんには誘惑付きで了承の返事を貰った。
いい加減にして欲しいところだ。
「ずいぶん遅くなっちまったねえ。さっさと飯食って寝た方が良いと思ったんだがね」
まぁね。
「まぁ仕方ないよ。その分有り難いことばかりだったしね。明日の簡単な予定を確認してもう寝ようか」
「あぁぐっすり寝て明日に備えな」
そだね。
「明日の夜明けにあわせて起きて、器と匙とフォークを作ろう。取り合えず四百も作れば足りるはずだからね。大地と炎と水の精霊に頑張って貰うさ。武具も試作しとこうか。その後は、下町に行って飯を配る。出来ればリーダーに会いたいな。騎士団長の行方を知りたいし。まずはこんなとこか」
「なんだい。この町のことなら私に聞きなよ。えーと、その団長さんは、下町で浮浪者のリーダーにおさまってるね。飯を配れば出てくるだろうさ」
便利すぎ。
「じゃあ、配る人数は把握できるかな?」
「そうだね、7〜80人てとこだね」
あぁん?
「未確定ってことは…そういうことか?」
「あぁ、明日会えるかわからない奴もいるってことさ」
畜生っ!!
「わかった。でも、明後日には、その数を確定させるぜ!!絶対だ!!」
「その意気さ!!明日も気張るよっ!!」
当然だ。
「飯と交渉が終わったら、狩りだな。その時に荷馬車で新戦力を連れていきたいな」
「新戦力?」
「元騎士の奴等に、奴隷になって手伝って貰いたいんだよ。運搬をね」
「その為のレベル上げかい?」
「そゆこと。あと綱芳さんに明後日からの荷馬車の手配をお願いしよう。」
「三台で足りるかい?」
「四台だね。新戦力も8人欲しいとこだな。んー、こんなとこか」
「あぁそうだね。明日の日の出は5時21分だよ」
「じゃあ、5時に目覚ましを予約しとくね」
「さて、寝るよ。おやすみ」
眠そうな顔も良いね。
「おやすみ」
こうして、瑞木は長い一日を終えて眠りについた。
体は疲れ、風呂で暖まっていたため、直ぐに睡魔が押し寄せ、意識をさらっていく。
「うなされてはいないね」
むくりと起きて、瑞木を見つめるセーフ。
その顔は物憂げだ。
「記憶消去は使ったことないからねぇ。何かが起きるかもしれない」
眉間にシワがよる。
「私なら3日くらい寝なくても、まぁ何て事無いからね」
気遣わし気に瑞木の顔を覗き込む。
そのままの格好でセーフは朝を迎えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
泣き声が聞こえる。
これは、セーフの泣き声だ。
あの元女神は、怒るときは怒鳴るくせに、泣く時は声を殺して泣くからなぁ。
また、世の理不尽に悔し泣きをしてるんだろうか…
あの寂しい瞳を見るのは嫌だなぁ。
ん?この光景は見覚えがある気がする。
何処だったか…
大通りか…
でも、宿屋を見に行った時位だよな。
ここを通ったのは…
なんだっけ?
大事な何かを忘れてる気がする…
あれ?
城の奴等が荷馬車に積込してる。
と言うか。
ガラの悪い冒険者が城のマークの入った荷馬車に何か積んでやがる。
やがる?
何で喧嘩腰なんだ自分…
思い出せない…
大切な何かを忘れてる気がする。
手に違和感を感じて見てみると血塗られていた。
ボタボタと追加される血は、僕自身から流れ落ちているらしい。
辿るとそれは涙だった。
血涙がドバドバと溢れて出している。
その血涙によって、辺りは血に沈み始め、遂に視界全体が朱に染まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リンゴーン!!
リンゴーン!!
馬鹿デカイ鐘の音が聞こえる。
これは目覚まし時計の音だ。
昨日使ってビックリしたやつだ。
「朝ってことか」
と言いながら意識が覚醒した。
目は閉じたままだ。
最悪の気分だ…
何かが記憶のどこかに引っ掛かってるのに、思い出せない。
「最低だ」
と言いつつ目を開けると、心底心配そうなセーフの視線と至近距離でぶつかった。
「大丈夫かい?」
そんなキスしちゃいそうな至近距離でのセーフの言葉に少し心が上向く。
「大丈夫ではないけど、しなきゃいけないことは、わかってるさ」
あぁ気分が澱んでる。
「何だい?」
「世界を救うために、性奴隷を手に入れなきゃいけないよな」
「そうだよ、でも急にどうしたんだい?」
「全然自信無いよ。頭がすごい重いしね」
「昨日の勢いは何処へ行ったんだい?」
そう言われてもなぁ。
「原因のわからない不安が胸を渦巻いてさ。何でかな?でも…状況的に待った無しだよね」
「あ…あぁ」
セーフまで元気無いのかよ。
そして、瑞木は思考の中へ落ち込んでいく。
プロローグへと。
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
風10(1)=10
水10(1)=10
火10(1)=10
土10(1)=10
光10(1)=10
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵
スキル
超鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、緊急避難、レベル・スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、叱咤激励、大声、解体・交渉・召喚中級、精霊魔法信頼級、回復・催眠・風魔法・馬術・身体強化・範囲観測初級、降霊術
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(555)武司(70)
精霊:風(9,8)水(6,0)火(6,2)土(5,5)光(7,0)闇(9,9)
奴隷
なし
設定
一部非表示
楽しんで頂けましたか?
次回はまた明日の18時にお会いできれば幸いです。
因みに、今日の題名通りプロローグに連なる話を予定しています。
また、半分近く焼き直しなので、二話連続で投稿予定です。
ご期待いただけますと喜びます。では…