450溶けかけた闇の精霊と飛行魔法
「だらしないわね。恵美」
そんな言い方は理不尽だよね。
「恵美を治してくれて、ありがとう、スニーフ。でも、おい、こら待て。感極まって気絶しただけなのに、どの辺りがだらしないのか説明してもらおう!」
「うっ、ごめんなさい」
小さい体を、更に縮込めて闇の精霊が謝った。
意地の悪い言い方をした自覚はあるみたいだ。
「何で謝らなきゃならなかったかの説明が必要だね」
「羨ましかったのです」
「だから、意地悪を言ったわけか…ダメだぞ。そういうことをすると嫌われちゃうからね。もう、しちゃ駄目だよ」
「はい。もうしません」
顔をあげて宣言するスニーフが、とても凛々しい。
「そうか、なら、抱き締めよう。もうしないという誓いを忘れないために」
「はわわわっ、近い!」
スニーフのちっこい体を優しく抱き寄せると、両腕の中にすっぽりと収まった。
「さて、恵美の意識も取り戻せたし、セーフ。出掛けるからよろしくね」
「…瑞木。その腕の中で蕩けきってる黒い奴は、どうするんだい?」
ん?
鎧とか装備も細々としたものの準備全般も、完了した状態だから、このまま行こうと思ってるけど…
「このまま、連れていくって選択肢は駄目…かな?」
「バカだねえ。そんなことしたら、ソイツが物理的に溶けて無くなっちまいかねないよ?さっさと放しな」
いやいや、そんなバカな!
溶けるとか、チョコレートじゃないんだから…
確かに黒いし、とろけそうに甘い笑顔は浮かべてるけど、比喩表現でしょうが!
「その通りよ。放して…」
息も絶え絶えなスニーフからも、同様の依頼が!?
比喩表現じゃないってのか!
「え?冗談じゃないの?ごめんごめん、すぐ放すね」
抱き締めていた腕を解くと、スニーフは、空中をよたよたとさ迷った後、力尽きる様に、ぺしょんという音を立てて、床に落っこちた。
そのまま、荒い息をしながら、うつ伏せでねっころがる。
「幸せすぎて、駄目になる」
とりあえず、嫌ではないらしい。
「しっかりしなよ、スニーフ。本当に物理的に溶けてきてるよ」
「初めてだっただけです」
抱き締められたのが、初めてってことか…
「なら、もう大丈夫そうだね。悪いけど、出発するよ」
「いいよ。感極まりかけた」
恵美の気持ちもわかったかな…
「床の上ってのは、流石に可哀想だから、ちょっと抱えるね」
「はぅ。もう大丈夫なのに」
まだ大丈夫そうには見えないな。
とりあえず、椅子の上に座らせよう。
でも、ぐったりとしては、いるけど呼吸も整ってきたね。
「落ち着いてきたみたいだね。では、改めて出発するよ。ニースはもう少し落ち着いてから帰ると良い。恵美、念話もキチンと送るから、よろしくね」
「わかったわ。おやすみ」
「承知です。行ってらっしゃいませ」
スニーフが目を閉じ、恵美が手を振る。
「さぁ、気張って行くよ!」
セーフの凛々しい声を聞きながら、自宅を出発した。
「さて、どうやって移動するのが一番良いかな?」
「何を今更、昨日の時点で、空を飛ぶって言ってたじゃないか?飛行の魔法を使うんだろ?」
確かに飛行して行くつもりだって、皆には話したけどさ…
「飛行の魔法だけでも結構な種類があったよね?あと、別に絶対飛ばなきゃいけない明確な理由もないしさ!」
「確かにそうだね。スタンダードな飛行魔法と勇者魔法の一つと精霊魔法でも、飛行するこたぁ可能だし、地上を走って行ったって構いやしない」
その他の方法として…
「転移魔法を連続して使用するなんて方法もあるよね?」
「ビーズを当てる必要は無いけどね」
良くご存じだね。
「一番の安定は、精霊魔法による飛行だろうけどね。色々試すのが、必要じゃないの?」
「まぁ、やってみなよ。詠唱の破棄は簡単だけど、最初位は詠唱が参考になるはずさ。行くよ!大気に宿りし英霊よ。我が身を包み、大地への鎖を断ち切って、大いなる空へと誘え。フライ」
普段から浮いているセーフの体を、大気が守るように押し包むのが感じられる。
ふむ、移動用の風避けカプセルに入る感じの魔法なんだね!
「何か快適そうな魔法だね!使ってみるよ!大気に宿りしマナよ。我が身を包み、大地への鎖を断ち切って、大いなる空へと誘え。フライ」
体を覆うように、薄くて力強い膜が発生したのがわかる。
そして、感覚としては、頭の中に操縦幹が現れた。
自在に辺りを飛び回ってみる。
「どうだい?飛んでみた気分は?跳躍とは違うだろ?」
確かに全く違うね。
凄い!
万能感が感じられるし、単純に凄く楽しい!
「凄く楽しいんだけどさ…これ…物凄く燃費が悪くない?僕の馬鹿みたいな魔力値でも、減りが感じられるし。普通の人には荷が重すぎない?」
「ん?気付いたかい。そうなんだよ!巡航速度を守ってれば、そうでもないんだけど。加速、減速や方向転換をしようとすると、魔力値をガンガンくっちまうんだ」
これが、前に言ってた使うときには、大変だって奴か…
「まぁ、現在の魔力値からすれば、全く考慮が必要ないレベルだけどね。加速すればするほど、使用魔力が増える仕様は辛いねぇ」
「そうなのさ、下手すると落っこちちまうからね。魔力値が尽きて、落ちる事故がそれなりにあって、死人がでてるね」
楽しい時間から、一気に辛い時間になっちゃうね。
「うちの会の面子にも、危険性の伝達と、使用講習会の開催が急務だね。僕が飛んでるのを見たら、真似したいと思う子達が何人かはいるはずだから」
「そうだねぇ…うちの面子なら、多少落っこちても、大丈夫なだけの体力値と頑丈さを備えてるから…急務って程でもないけど、恵美に伝えておいたらどうだい?」
あぁ、そうか。
確かに、うちの面子の実力からすれば、魔力値尽きて墜落しても、怪我をすることもほぼ無いな。
「わかった。とりあえず、講習会の後に使うようにだけ伝えるね!」
「それで十分だね!」
うん、恵美の意見も同じだったみたいで、食堂の壁に、注意事項を貼り出してくれた。
範囲観測で見ている子達については、ひとまずはこれで良いかな?
ご飯にはみんな来るしね。
「後は、精霊魔法と勇者魔法、転移魔法か…因みに今の詠唱は、風魔法だね」
「やって試してみるんだろ?」
そうだね。
移動しながら試してみようか…
「じゃあ、風魔法のフライでとりあえず、出発だな!武司さん、行ってきます」
「おう、はよ行け!人だかりが出来てんじゃねえか。お捻りが飛ぶ一歩手前だぞ?朝の早くからそんなとこで、曲芸披露してんじゃねえよ」
一応邪魔にならないように、門扉からは離れてて、人が近づきにくい場所でやってたんだけどね。
空に人が浮いてたら、野次馬は集まるよねってことで…
10人位が集まった時点で、武司さんが現れ、現在50人位が感心しながら僕のフライを見てる。
「はーい!それじゃ皆さんも、行ってきまーす!」
「「おぉ。行ってらっしゃい」」
観衆からも、見送りの返答を貰ったところで、北東にあるレイルクラフト鉱山事業団へと、移動を開始した。
「もう少し町を離れてから実験するべきだったかねぇ」
まぁ、あそこにいた人の魔力値じゃあ、最初のフライ発動も出来ないから、危険性はほぼ無いけどね。
「次からは気を付けよう!」
「そうだね!」
瑞木美孝18才 Lv520(106)
体力値_132万(1320)=17億
魔力値_132万(1320)=17億
__力_132万(1320)=17億
_知力_132万(1320)=17億
俊敏さ_132万(1320)=17億
器用さ_132万(1320)=17億
幸運値_132万(1320)=17億
_魅力_1320万(1320)=175億
__風_11万(1320)=1億
__水_9万(1320)=1億
__火_6万(1320)=8600万
__土_10万(1320)=1億
__光_5万(1320)=6500万
_称号_
貧乳も大好き、心清き者、地母神の養い子、狩人、精霊の親友、魔物の天敵
難病の克服者、皆のアイドル、飛行者、子煩悩、性の探求者、真の勇者、英雄、救世主
スキル_
超鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、緊急避難、Lv&スキルリセット
収納ポケット、Lvアップ時の魅力値上昇10倍補正、叱咤激励、大声、降霊術、接続
蕩涎級_呪術、精霊魔法
心酔級_思考圧縮、範囲観測
信頼級_交渉
_上級_召喚、回復、風魔法
_中級_解体、身体強化、錬成、催眠魔法、殺気自在
_初級_火、転移魔法、馬術、勇者魔法
武装Lv_槍232、剣590、投擲495、打撃205、短剣731
__妻_リーフ、恵美、セーフ、さやか
_相性_
綱芳(4478)さやか(22,2)恵美(23,7)武司(1283)玲子(841)朱音(24,1)
メルー(7802)道緒(3213)直(3405)メアリー(3723)燕(3721)レモン(3411)
流々(3156)里乃(3375)リーフ(43,1)奈美枝(1045)御影(20,9)ユリア(3876)
枩李花(3352)霞(3261)ミサ(4719)岬(5168)潤(3358)雨音(3469)美嶺(14,9)
牛江(618)お熊(102)スラー(795)熊江(228)サリー(1510)レミ(450)
他42名(平均2581)
元奴隷12名(平均182)
ノルン達7名(平均93)
天河(3968)春臣(1575)君里(2300)秋虎(2251)アーサー(638)太陽(668)
七海(513)エース(3515)朋久(2094)レイン(206)ムーン(365)
他23名平均(2064)
冒険者200名(平均88)
ハイエナ冒険者40名(平均7)
_精霊_風(31,9)水(38,7)火(25,2)土(44,2)光(17,7)闇(21,8)
愛奴隷_リーフ、恵美、さやか
_奴隷_
朱音、メルー、道緒、直、メアリー、燕、レモン、流々、里乃、御影、ユリア
枩李花、霞、潤、雨音、美嶺他57人
天河、春臣、君里、秋虎、エース他23人
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楽しんで頂ければ幸いです。