39闇の精霊スニーフと真名
「初めまして、闇の精霊スニーフと申します。お招き頂きありがとうございます」
凄い丁寧だ。
「あぁ。ダメ、言った」
風の精霊?
「こちらこそ初めまして、瑞木美孝です。お会いできて光栄です」
「で・す・が!!闇の精霊の私を呼ぶのに、ライトアップの呪文の中とは!!嫌がらせですか?さ・ら・に!!初のお招きがお風呂の中なんて何と慎みの無いことでしょう。瑞木さんは裸だし、目のやり場に困ってしまいます。裸の不可思議な妖精や同じく裸の泣いている少女と入るなどと、慎みというものを何処に忘れてしまったのですか?嘆かわしい」
おう…
スニーフは捲し立てると、気遣わしげに恵美さんに近付くと、声をかけ始めた。
「貴女、どうなさったの?泣いているのは何故?私で良ければ力になりますわ。私の名はスニーフ、闇の精霊です」
「実は、折角瑞木さんとのお風呂だと思ったのに、隅っこに追いやられ、瑞木さんには精霊と歓談して放っておかれたのが悲しいの」
「まぁ、それは悲しかったわね。肩を落とさず胸を張りなさい。貴女はとても魅力的よ。で・も・ね!!貴女。淑女が殿方とお風呂に入るなんてはしたないことよ。そ・れ・に!!いつ如何なる時も礼節は大事よ。だから、挨拶には挨拶を返さなくては!!きちんと名のるのが礼儀だと思うわ」
これは…
「瑞木、あの馬鹿な闇の精霊を真名で縛ってやんな」
「セーフ、いきなり何を?」
「さっき、あの馬鹿が名乗ったのは、精霊の真名だ。呼ばれて命令されれば逆らえない。あの五月蝿い口を閉じさせとくれ」
セーフもあのタイプは苦手か。
精霊の名前にそんな秘密があったとは…
風の精霊が言い澱んだのはこれか。
危険すぎるよね。
「闇の精霊スニーフ、一旦口を閉じなさい。ここに来て話を聞きなさい」
「はいっ」
すごい勢いで帰ってきた。
口を閉じて座っている。
真名スゲー。
「スニーフ、貴女は何がしたいのか簡潔に述べなさい」
「友達が欲しい」
「貴女には、友達は何人いるかを簡潔に答えなさい」
「一人です。風の精霊です。でも、もう貴方とあの子も数えて良いんじゃないかしら。きっとそう思ってくれていると信じますわ。だ・っ・て!!悩みを打ち明けてくれたんですもの。きっと深い繋がりだわ。そ・し・て!!…」「スニーフ黙って。簡潔にと言ったでしょ」
真名を使わなきゃダメか。
「ごめんなさい」
「スニーフ、貴女には友達は出来ないよ」
「何故何故何故ですか?私の何処に非があるのでしょう。これだけ努力して、力一杯心を砕き」「スニーフ、黙れ」
仕方ないな。
「スニーフ、君に禁止事項を申し渡す。君は今後一切、十一文字分以上一度に話すことを禁ずる。これに同意することを誓いなさい」
「誓います」
これでまともな会話になるよね。
「何故、禁止されたか理由を言ってみて」
「五月蝿いからですか?」
「違うよ」
「高飛車だからですか?」
自覚有ったんかい。
「それも違うな」
「私が嫌いだから?」
会ったばかりで嫌いになれるわけねえ。
「もちろん違う」
「私が闇の精霊だから?」
差別主義者でもいるのか?
「当然違う!!答えは君が話を聞かないからだ!!」
「心外な、聞いています」
「いいや、聞いていないね。あそこで泣いてる恵美さん…ちょっと待て!マジ泣きしてるじゃん。一旦保留」
「恵美さん、そんなに泣かないで、こっち来て良いですから、ただし、あまりくっつかないで下さいよ」
「こんな感じなら良いですか?」
素早い…
ダメでしょそれ。
「良いなんて言うわけないでしょ?僕の膝に座るなんて、色々危険なところが当たってるし、至近距離で見えちゃ駄目なところが見えちゃってるでしょうが!!却下です。」
「代案を提示してくれるまで動きませんよ」
確信犯かい。
「じゃあ、背中合わせで座りましょう。それが最大限の譲歩です。嫌ならあっちで泣いてください」
「えーっ。それじゃあ瑞木さんの理性を追い込めないじゃないですか」
おいっ!!
「何か言いましたか?」
「いいえ、わかりました」
背中合わせで座る。
スベスベの女の子の肌を背中に感じる。
なんか思ってたよりずっと気持ち良い。
さっき膝に座られた時よりもドキドキするなぁ。
「瑞木さんさっきの質問」
えっ?
あぁ、スニーフか。
「スニーフ、続きをしよう」
「はい」
「君には恵美さんが泣いていた理由が答えられないよ」
「そんなこと…」
あるよね。
「では言ってみて」
「私と友達になりたいと」
それは君の願望でしょ。
「全く違うよ」
「瑞木さんに犯されたと」
人聞きの悪いこと言うな!!
まだ全くの童貞だ!!
「まるで違う!!僕と仲良く風呂に入りたかったのに、無視して精霊と仲良くしてたから悲しかったんだ」
「瑞木さん確信犯でしたね?酷いですよ」
恵美さんだ。
仕方ないでしょ?
裸なんですから。
「最初に納得して貰いましたよね?話の腰を折らないで下さい」
「すみません」
解れば良いよ。
「スニーフ、君は自分の事を話そうとするあまり、他人の言うことを聞いていない。だから、誰からも信用されないし好かれない」
「そんなこと」
あるってば。
「今証明したよ。君は話を聞いてない。全くね」
「今は聞いてます」
「そうだよね。制限を加えたことで、必要以上には話せなくなったから、聞く時間と余裕が出来たはずさ」
「友達が出来ますか?」
「風の精霊が言うように、君が良い子なら、きっと出来ると思うよ」
「本当にそう思う?」
「会話の基本はキャッチボールだ、今の君はそれが出来ている。だから、君を周りの人に知って貰うことは出来るはずさ」
「つまり?」
「知ってもらった君の中身が本当に友達となれる心地よい人柄なら、きっと友達は出来るよ」
「ありがとう瑞木さん」
多分大丈夫。
「まぁ、仲良くしよう」
「それって友達ですか?」
「まぁそうなんじゃないかな」
「嬉しいっ!!」
やっと笑ったね。
「良かった。笑顔、見た、初めて」
あれ……?
そんなレアイベントですか?
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
風10(1)=10
水10(1)=10
火10(1)=10
土10(1)=10
光10(1)=10
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、大声、槍レベル13、剣レベル8、投擲レベル19、打撃レベル1、短剣レベル20、解体・交渉・召喚中級、精霊魔法信頼級、回復・催眠・風魔法・馬術・身体強化初級、降霊術
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(555)風の精霊(9,8)武司(70)水の精霊(6,0)火の精霊(6,2)土の精霊(5,5)光の精霊(7,0)
奴隷
なし
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楽しんで頂けましたか?
次回はまた明日の18時にお会いできれば幸いです。
なお、次回の瑞木には転機が訪れます。大概の人には多分普通のことですので、ホンのちょっぴりのことですけどね。