36新しい浴槽と死にかけた瑞木
「私はいま気分がいいしー、同じ瑞木を好きなもの同士だからー。恵美ー、貴女にも祝福あげるー」
あぁ慈悲深いなこの子、気分屋なだけかもしれんが…
因みに、恵美さんはまだ土下座形態だ。
その前に片膝をついて、水の精霊を掲げる僕。
シュール?
「恵美さん、許してくれましたよ。しかも、祝福もくれるそうです」
「許してくれるんですか?ありがとうございます」
泣いてる。
そして、一度起きてそのまま土下座状態に戻ったので、大きな胸が凄い動きを見せた。
痛くないのかな?
「ちなみに祝福ってのは…」
とさっきの説明を伝える。
「いつでも、水の精霊さんとお話出来て、もっと仲良くなれば、力も強くなるなんて凄い!!幸せだ!!」
この素直な感じいいよね。
「そうだよーよろしくねー」
「ええ!!よろしクシュン!!」
恵美さんだ。
そりゃあ濡れ鼠になって、裸で土下座なんかすれば冷えるに決まってる。
「待ってて、お湯を沸かして貰うから。炎の精霊よ。我が友よ。力を貸しておくれ。浴槽の水を暖め、心地よい風呂の温度にしておくれ」
炎の精霊が現れ、水をお湯に変えていく。
凄い早業だ。
「ありがとう」
「さあ、湯船へどうぞ」
振り向くと恵美さんが立ってこちらに歩いてきていた。
「はい、ありがとうございます」
いえいえ胸以外は眼福です。
「足元に気を付けて」
「はい」
土下座と冷えのせいか足元が覚束ない。
仕方ないか。
「失礼しますよ」
恵美さんを抱えあげる。
いわゆるお姫様抱っこだ。
今の僕の腕力なら雑作もない。
「あっ」
と言って顔を赤らめて俯いた。
可愛らしい仕草ですね。
全裸だから、この位置からなら、何から何まで細部まで観察可能だ。
素晴らしい。
湯船にゆっくり浸して、背を向ける。
「失礼しました。お出になったら声をかけてくださいね」
「待って!!待ってください!!そんな格好で外に出たら風邪を引いてしまいます」
確かに濡れてるが、この中で待てと?
それも無茶苦茶でしょう。
「それは…」
「だから、一緒に入りましょう」
何を言い出すんだこの子!!
称号に純情一途があったけど、純情はどこいった?
仕事しろ!!
純情!!
「良い気合いだ」
セーフまで!!
ゲス姐さんにならないで!!
「それはマズイでしょう。この浴槽じゃあ。抱き締めるように入るしかないですよ?」
「望むところです。抱き締めて下さい」
胆すぎる!!
貴女処女でしょ!!
称号をみて知ってるんですからね!?
止めなさい。
はしたないですよ。
「みんな入るのー?私も入るー」
水の精霊、お前…
炎の精霊も現れてもじもじしてる。
ホントに風呂が好きな奴等だな。
全員で僕を期待の眼で見るのを止めろ!!
「仕方ないですね」
「じゃあどうぞ」
食い気味で立ち上がるんじゃない!!
大事なところが色々な大変なことになってるじゃないか!!
期待しすぎだ!!
まぁ嫌いじゃないけどさ。
そういうの。
「まだ、服着たままですよ?」
「「残念」」
セーフまで何言ってんの。
「あと、みんなで入るには流石に狭すぎるので湯船を作ります」
「おぉ」「ちっ」
舌打ちはないでしょ恵美さん。
「恵美さん座ってください。湯船を動かしますから」
「はい」
立ってたら丸見えなんですから、気を付けましょうよ。
「よっ」
お湯や恵美さんごと浴槽をすみに移動する。
「ここに湯船を作っちゃいますけど良いですよね?」「大丈夫です。兄さんの持ち家ですから、私と瑞木さんとの入浴は全てに優先されます」
まて、優先すんな。
「ふー。知りませんからね。綱芳さんにはちゃんと説明してくださいよ?」
「はーい」
大丈夫かな。
「いきますよ。窓を開けてと、我が友、大地の精霊よ、我が意をくみ、我が前に浴槽を生成したまえクリエイション」
開けられた窓から外の土が入り込んでくる。
大地の精霊が、その土を材料に浴槽を作り上げていく。
無骨なデザインだか使いやすそうな土の浴槽が出来上がった。
「炎の精霊よ。我が友よ、大地の精霊の作りし浴槽を焼き締め、陶器と化して焼成しておくれ」
炎の精霊は分裂し、それぞれの担当範囲で青白い炎を噴き上げ始めた。
「なんか、凄いことになってるよね?ヤバそうだ。何か手を打つか。我が友、水の精霊よ。炎の延焼を防ぎ、水の膜で我等を覆って熱波を防ぎたまえ」
浴槽と僕らを水が薄く覆い始める。
熱波が遮断されて快適な感じた。
「危なかったね。水の精霊が守ってくれなかったら、恵美が蒸し焼きになるところだったよ。ついでに私と瑞木は丸焼きだね」
なんですと!?
「あの中は今、平均4千度位で焼成してるからね」
はぁ?
「どんだけ本気出してんだよ炎の精霊!!4千度って太陽の黒点と同じ温度じゃねえか」
「鉄が溶ける温度を優に越えてるね」
うわっ怖い。
怖いよ。
「単に風呂に入りに来ただけのはずなのに、どうしてこんなことになってるのさ!!死にかけてるよ!!助けてママン」
「瑞木ー。ママンって誰ー?」
水の精霊?
「いや、ちょっと現実逃避をね。特に意味がある訳じゃないんだ。それより、みんなを守ってくれてありがとな」
「んー。私頑張ってるよー凄いー?」
なんだろう。
子供の可愛さがあるよな。
「凄い、凄い!!本当にありがとうな」
「えへへー。誉められたー。嬉しいなー」
ちっくしょう。
抱き締めたいぜ!!
ただしロリコンの気は誓ってないぜ。
抱き締めて良い子良い子するだけだ。
他意はない。
「まぁ確実に遥か年上だろうけどな」
「なんの話だい?」
セーフ?
「精霊が僕より年上だろうなと思って」
「当たり前じゃないかい。とは言っても三百才位の若造ばかりみたいだがね」
はいっ!!
貴女は三百才以上確定です。
しかも、あからさまにホッとしてるし、大丈夫だよ。
年なんか関係なくセーフの事が大好きだから!!
「大丈夫だよ。年なんか関係なくセーフの事が大好きだから!!」
「何が大丈夫だって!!!!?」
いや、セーフさん?
めっちゃ声張ってますけど、顔、にやけてますよ。
「セーフがとっても可愛いから、好きだってことだよ」
「こいつ!!悪びれもせず言い切りやがった」
当然です。
真実だからね。
「さて、僕のただの本音は置いといて、そろそろ終わったみたいだよ?普通に考えたら、適当な土で作った素焼きの陶器を、常識外の高温で焼き上げただけだから、まともな浴槽になってるのか心配だけどね」
「見てみな。びっくりするよ」
なぜ貴女が自慢げなのか?
少し照れてるし。
頑張ったのは精霊達でしょうが…
水の精霊が頑張って張っている水の膜結界の向こうで、焼成が終わった浴槽が姿を現した。
嘘だろ?
何て綺麗な青白色!!
しかも何だろう?
所々が宝石のオパールの様に虹色に光ってる!!
「「凄い」」
あまりの美しさにそれ以上は言葉にならなかった。
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
風10(1)=10
水10(1)=10
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、大声、槍レベル13、剣レベル8、投擲レベル19、打撃レベル1、短剣レベル20、解体・交渉・召喚中級、精霊魔法信頼級、回復・催眠・風魔法・馬術・身体強化初級、降霊術
相性
綱芳(340)さやか(653)恵美(555)風の精霊(5,8)武司(70)水の精霊(6,0)
奴隷
なし
設定
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次回もまた明日の18時にお会いできれば幸いです