03見えてきた世界と断りの言葉
「つまり……奴隷が世界の根幹に関わる部分なのに、そのことを普通はだれも知らないし、当然、活用もまともにされてないし、もし活用してる奴は、まともじゃない上にすごい力を独占している世界って理解で良いですか?」
「うん、そのとおりだよ!!理解が早くて助かる。この分なら、想定時間内に説明を終われそうだ。そしてゲームについて説明するなら、調教とかの部分の出来はともかく、普通に進めたら魔物や魔王と戦うのがバカらしい実力差が出来るから…ゲームとして成立してないクソゲーって評価らしい」
まぁ、この中身を見るとそれは妥当な評価でしょうね。
「普通に進めなかったらどうなるんです?」
「むりやりに性奴隷抜きで進めようとすると、簡単に雑魚に殺されかける。そこを運と忍耐で乗り切っても、レベル上げをいくらしても雑魚を倒せる位しか強くなれないんだよね。ゲームだから、普通の奴隷は買えないし、そもそも設定されていない自己の奴隷化なんていう抜け道も使えないしね」
そっか…
もうどうしようもないくらいに詰むってことか…
でも、また凄く不穏な単語が聞こえましたね。
「自己の奴隷化って…なんですか?」
「うん。いいところに反応してくれたね。さっき見てもらった通り、あっちの世界レストでは、能力の値は奴隷値とかけ算して決まる。そして、奴隷が居なければその値は1だ。そして、レベルを上げても成長は雀の涙程の伸びだしね。結果として、あっちの世界では奴隷を手に入れなきゃ死ぬしかない。もちろん普通……ならね」
厳しい世界ですね。
「じゃあ自己の奴隷化って読んで字のごとしってことですか?」
「そうだよ。自分自身を隷属させ、奴隷として命令を遂行させるんだ。まぁ自己暗示に近いかな。彼らが死なない為に編み出した苦肉の策だね。それも無意識にしてるんだけどさ」
可哀想に…
「どれくらい強くなれるもんなんですか?」
「自己の奴隷化で得られる奴隷値は5だよ。性奴隷の二十分の一だね。因みに普通の奴隷を手に入れた場合の値は10で、複数の奴隷を手に入れると人数に応じてかけ算出来るね。3人なら30ってことだよ?」
性奴隷凄いっ!!
「性奴隷の特異性が際立ちますね!!」
「あっちの世界では、勇者とは…すべからく性奴隷を連れているものだそうだよ。能力値を考えると当たり前の話なんだけどね。そして、まぁ……基本的に勇者は蔑みの言葉…だそうだ」
…ですよねー。
そりゃそうなりますよねー。
「じゃあ歴戦の強者は、レベル30位という事ですね」
「ん?そうだよ。初期値と数値の上昇に差があるからばらつきはあるけどね。因みに、性奴隷を手に入れると、そちらの上昇にも補正が付くから更に強くなるけどね。他人との相性も良くなれば同じく補正が付くし」
…更に?
この状況でさらに補正がつくだと?
「完全にオーバーキルじゃないですか?」
「何言ってるのさ?セーフと一緒にあっちの世界に仕事に行くんだから!!強くならなきゃ危険じゃないか。死にたいの?それに、随分広い世界を移動しなきゃいけないから、補正をなるべく使わないと時間がすごくかかっちゃうしね」
えっ?
まぁ、そうなるのか…
「あれ?セーフさんの仕事を手伝うっていう話は確定事項なんですか?」
「そりゃそうさ。だけど、まずきちんと背景と現状及び今後の展望を説明してから決めてもらう予定だったのに、君は行くと譲らなかった。ついさっきのやりとりだから…覚えてるよね?」
おっしゃるとおり…
「覚えてます…ということは命の危険もかなりあるわけですよね?」
「いや、そちらはまず安心してもらっていいよ。安全措置はかなり手厚くするつもりだからね。流石にその部分で手を抜いたら酷い話だしね」
そうだよね。
良かった。
「具体的にはどんな措置を?」
「鑑定とかの特殊能力の付与と…あぁ、一番大事な性奴隷を手に入れる手間を省いてあげるよ。さっきも言った通りまず無双確定だからね」
…っ!!
「お断りしますっ!!」
最大限の声を張り上げてそう叫んでいる僕がいた。
次回は14日の18時にお会いできたら幸いです