26ジュースの甘さと僕の甘さ
「ごめんなさい。デートの時にする話じゃなかったですね」
「いえ、私も変なこと言ってしまってた。ごめんなさい。貴方の真剣な目を見ればお世辞なんかじゃないってわかるのにね」
おぅ、空気が重いが自業自得だ。
「はーい!!お待ちどうさまーっ!!」
猫耳のお姉さんが元気にジュースを持ってやって来た。
そのお陰で、澱んでしまった空気が随分軽くなる。
「ありがとう」
本当に感謝しきれねぇっす。
「お兄さんが大きいサイズで良いのかな?」
「そのつもりです」
「えぇ。いいですよ」
「じゃあ、はーい。良くかき混ぜて飲んでね!!」
元気で笑顔が明るくて良い店員さんだね。
「ありがと。ほかに食事のメニューとか貰っていい?」
「承知しましたのだ。すぐにお持ちしますね」
尻尾をフリフリしながら、元気に猫耳のお姉さんが去っていく。
尻尾が実に柔らかそうだ。
「さて、飲んでみましょ!!美味しいんだから」
さやかさん…
ありがと。
「はいっ!!」
飲んでみると、イチゴの様なベリーが酸味と香りを出していて、キツくなりそうなところを絶妙な甘味で仕上げてある。
「美味しいですね!!」
「でしょ。飲みやすくて疲れた体に染み渡るのよね」
「正に体に染み渡る感じですね。栄養補給と水分補給に最適です」
一気に半分近く飲んでしまう。
「私も狩りの後は良く飲んでたもの。相性が良いわよね」
実体験は強いよね。
「さすが先輩ですね。良くご存じだ。当時の事を聞いても?」
「私も一人で狩りをしてたのよ。もう止めて一年になるわ」
「ソロですか?僕が言うことじゃないですが、大変ですよね?やはり強いんですね」
「私は周りから随分浮いてたからね。ソロだったのよ。兄さんも同じような感じだったみたいだし」
「強すぎたって事なんですかねぇ。話しやすいし、連携もしやすいイメージなんですけど…綱芳さんとは積込での連携しかしていませんけれどね」
「あぁ、兄さんと一日過ごしたものね。そうよね。なんで浮いちゃうのか解らないのよ。結局兄弟や親子で組めば大丈夫なのにね」
「多分僕と組んでも大丈夫ですよ。今日一日大変でしたけど楽しかったですから」
「そうなのね。貴方とならやっていけるかもね」
そうなら嬉しいなぁ。
「ところで、さやかさんはお腹空かないですか?無理言って付き合って貰ったんで、キチンとご飯食べれなかったりしません?」
「だからメニューを貰ったのね。お気遣いありがとう。でも大丈夫よ。ちゃんと食べたから」
「じゃあ睡眠不足じゃないんですか?途中で寝ちゃったら全力で間違いをおかす自信がありますよ」
「あら、間違いなのかしら?つまり本気ではないと?」
笑ってるけど目は真剣。
「表現の問題ですよ。もし僕の目の前で無防備なさやかさんが居たとしたら、僕の理性が焼ききれそうなので」
「本気ってことね?」
艶やかな笑顔だ。
「当たり前です。そうじゃなきゃデートのお誘いなんてしませんよ」
「ありがとう。なら、さっきの質問には答えて欲しいわね」
「希望の力ですか」
「そうよ。手に入ったの?」
真剣だ。
「いいえ。でも、その準備は大体済んだつもりです」
「お金?」
「違いますよ。レベルって一般的なんですよね?」
「冒険者やってれば自然にね」
「それを上げてたんです。僕は特に魅力が低かったんで、そこを重点的に上げることを考えてました」
「希望の力ってなんなの?」
「今はまだ言えません」
「信用がおけないって意味?」
「違いますよ。さっきも言いましたけど、準備段階なんです。準備が済んだらお伝えするということで納得して貰えませんか?もう、そう長い事ではありませんし」
「準備の内容位は教えてもらえるのかしら?」
「今、このデートですよ」
「えっ?」
「希望の力を手に入れる邪魔をしそうな人達が結構いるんです。森にデートで向かったら。着いてきそうじゃないですか?」
「囮になると?」
「はい」
「なら、私は必要ないじゃない」
「いえ、無人の森では、どちらが悪いか不明です。だから、信用出来る人に証明して欲しいんです」
「そういうことね…希望の力を手に入れたら何をするかは聞いてもいい?」
「守りたいんです。先ずはこの町の人達。そして、この世界の皆が無理なく暮らしていける。そんな夢物語を実現するには、馬鹿みたいな力が要るんですよ」
「貴方は既に一線を画す力を手に入れているのよ?まだ足りないの?」
「僕にはこの街で餓死している子達を救えていません。ハッキリ言って見て見ぬ振りです。力がないから!!今、狩ってきた肉を渡せば命はつながるかもしれない。でも、それはすぐ尽きる!!結局共倒れになるだけだ!!早く抜本的に救う方法を手に入れるしかないんだと思ってます」
涙が流れていた。
「本気なのね。解ったわ、行きましょう。森へ」
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の友
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、槍レベル13、剣レベル8、投擲レベル19、打撃レベル1、短剣レベル20、解体・交渉中級、精霊魔法信頼級、召喚・回復・催眠・風魔法・馬術初級、降霊術
相性
綱芳(260)さやか(451)恵美(105)
奴隷
なし
設定
一部非表示
楽しんで頂けましたか?
また明日の18時にお会いできれば幸いです。