25デートの行方と時間停止
とりあえず、名目だけだとしてもデートに行くなら、狩りで血を浴びた格好はマズイと、宿に帰って来た。
「馬はまだ使いますから、後で返しに行きますね」
と綱芳さんに伝える。
「わかりました。俺は今日はもう休ませて貰います。店も臨時休業にしますね。おやすみなさい」
疲れきったらしく、装備を外して、恵美さんに一声かけ寝室に入ってしまった。
「風呂を使いますからね」
恵美さんに了承を得て浴室に入る。
「浴槽に水張って、加熱だね」
「精霊に頼んでみよう」
「信頼級に上がったから精度も良いしね」
そういう問題かな?
「我が友、水の精霊よ。浴槽を満たしておくれ」
水の精霊が現れて、見る間に浴槽に水が満たされる。
「我が友、焔の精霊よ。浴槽の水を温めておくれ」
焔の精霊が水を温め始めた。
手で水をかき回しながら温度を確かめる。
丁度良い。
「水と焔の精霊よ。ありがとう」
礼を言うと具現化した精霊が照れながら浴槽の上に現れた。
「可愛い奴等だなぁ。良かったら一緒に入ろう」
頷いてる。
可愛すぎるな。
「ちょっと待ってて、脱いでくるからね」
その後三人で楽しく風呂に入ったけど、セーフが物凄く機嫌が悪くなる。
「一緒に入ろうよ。暖かさは感じるんだろ?」
と誘ってみたら服を脱いで入ってきたので、お湯が僕の鼻血で赤くなった。
「ふー。気持ち良いねえ昨日も入れば良かったよ」
「童貞には刺激が強すぎるんだけど?」
「うるさいねぇ。濡れないから服着て入る事位出来るけど、お断りだよ。風呂の情緒ってものを考えな」
「わかったよ。女神様にはかないません」
セーフや精霊たちとまったりした時間をたのしんでいると時間が過ぎるのを忘れちゃうね。
「時間は良いのかい?」
「おっと20分前。着替えて荷馬車の荷車を返しに行くとギリギリだね。ありがとセーフ」
「急ぎな」
風呂から出てフル装備を整え、荷馬車に乗って門扉へと向かう。
「榊さん荷車を返しに来ました」
声をかけると眠そうな顔で武司さんが仮眠室から現れた。
「よう、随分稼いだみたいだな。荷馬車ならそこに置いときな」
「ありがとうございます。馬は引き続きお借りします。また返しにお邪魔しますね」
「そうか、じゃあ、あそこの厩舎に繋いどいてくれ、声かけも要らねえから、そのまま帰って大丈夫だ」
「じゃあ先に代金だけお支払しますね。大銀貨一枚です」
「いや、綱芳から既に貰ってるからな。そいつは綱芳に払っておいてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
荷車を返したので軽くなった様子で馬が快調に歩き出す。
ポーン。【馬術初級】を取得。
「ギルドまで3分って所か、約束の10分前に着けるな」
「しかしこの町には花売りとか居ないねぇ」
「インフレのお陰で経済がボロボロだからなぁ」
「居たとしたら別の花を売ってる姉さんしかいないってことだね。買うのかい?」
いや、またゲス姐さんに…
「今からデートなのに、んなことするか!!」
「へっへっへ。純情だねぇ」
へっへっへじゃねぇよ。
その笑いを止めろ。
「純情以前の話だっての」
「まぁ、そうだね」
「万が一ホントにその花を買ったらセーフ泣くだろうが」
「バカだねぇ。泣くわけないじゃないか!!」
と言いつつ顔赤いし、目頭に涙が見えるし…
可愛いなぁ。
ひとしきり漫才をした後、ギルド前に馬を繋いで、時間を待った。
結構落ち着いた。
ありがとうセーフ。
「お待たせしました。瑞木さん」
さやかさん…
まだ5分前ですよ。
「全然待ってませんよ。今来たとこです」
なんかドラマっぽいなぁ。
生前も見た事無かったけど。
「仕事明けなので、こんな格好で失礼します」
動きやすいスーツに、鎧を着けている。
可憐さを損なわない装いだ。
「僕こそこんな格好で、申し訳ない。しかもデートなんて初めてなので、粗相をしたら教えて貰えると嬉しいです」
「素直なんですね。気取らない感じは好感が持てますよ」
笑顔が可愛いなぁ。
「可愛いなぁ」
「えっ?」
「おっと、思わず心の声がでてました」
「ホントに前の時も考えてたことそのままだったんですね」
顔が真っ赤になってる。
「ごめんなさい。時々思ってることがそのまま出ちゃって」
怒ったかな。
「いーえ。怒ってないので謝罪は要らないですよ。単にこの間の言葉が真実の様なので嬉しかっただけ」
「嬉しいと言って貰えると僕も嬉しいな。所で喉が乾きませんか?」
「そうですね。何か飲みに行きましょう」
良い笑顔ですね。
「申し訳ないです。昨日来たばかりなので、お勧めの店を聞いても良いですか?」
「フフッ、そうですよね。良いですよ。馬をつなげる所に案内しますね」
到着した所は、気取らないが落ち着いた喫茶店だった。
「黒猫亭」
看板を読んでみる。
「そうです。お勧めは季節のジュースなんですよ」
「嬉しいな。朝からバタバタしてて、喉乾いてるんです」
「あれだけ狩りに出てればね。何回行ってきたの?」
「七回かな。結局水分補給も、し忘れてしまいましたから」
「呆れた。それで希望の力は手に入ったのかしら…」
「まずは頼みましょうよ。ジュース。もちろん奢りますから。お薦めを教えて下さい」
「その笑顔には敵わないわね」
ふぅ。
とため息を着きながら苦笑いする。
「さやかさんの笑顔には、てんで及びませんよ」
「またお世辞を言って!!この季節のお勧めは、四種のベリーのミックスジュースよ」
「店員さーん!!四種のベリーのミックスジュースを二つ下さい。一つは一番大きいサイズでお願いね!!」
「はーい!!四種のベリーのミックスジュースを二つ!!一つは一番大きいサイズね!!」
店員さんに向かって頷く。
胸の大きな猫耳さんだった。
「お世辞を言ったつもりはありませんよ」
さやかさんに向き直って真面目に告げる。
「っ…」
さやかさんの頬が色付いた。
「僕は真剣に言ってるつもりなんですが、何かお世辞扱いされることがあるんですよね」
「前に何かあったの?」
「真剣に話してたんですが…信じて貰えなかったことがありましてね」
あんな思いは二度とゴメンだ。
「その人は…その人とはどうなったの?」
「もう…二度と…」
「ごめんなさい」
時が…
止まった。
瑞木美孝18才
レベル28(1)
体力値215(1)=215
魔力値219(1)=219
力339(1)=339
知力231(1)=231
俊敏さ214(1)=214
器用さ220(1)=220
幸運値250(1)=250
魅力437(1)=437
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の友
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、槍レベル13、剣レベル8、投擲レベル19、打撃レベル1、解体・交渉中級、精霊魔法信頼級、短剣レベル20、召喚魔法・回復魔法・催眠魔法・風魔法馬術初級、降霊術
相性
綱芳(260)さやか(351)恵美(105)
奴隷
なし
設定
一部非表示
楽しんで頂けましたか?
また明日の18時にお会いできれば幸いです。