02説明を聞いても要領を得ない長い話とお馬鹿な瑞木君
「ということは、僕は輪廻の輪の中に入る訳じゃなくて、このままの姿で異世界に転生出来るってことですよね?」
「君が…もしも望めばそうなるね。どっちかっていうと転移に近いと思うけど。ただし、レストはかなり特殊な世界だから、僕はあまりオススメはしないけどね」
そんな条件で転生を望まない奴なんかいるのかな。
自分の意識が消えなくて済むってことだよね!
「是非、お願いします!!」
「いやいや、待ちなよ。詳細も聞かずに承諾するなんて本気なのかい?」
慌てた声も心地良いですね。
でも、結論が変わらないのに詳細を聞く意味なんてないと思う。
「是非、お願いします!!」
「えっと。聞く気…ないみたいだね」
蔑んだ声も涼やかですね。
聞く気がないというより検討の余地がないと思うんでね。
「是非、お願いします!!」
「ふぅ…わかったよ。行きたいなら行けばいい。その上で説明だけは聞きなよ?転移した直後に死にたくなんて…ないはずだよね?」
心底呆れた声もすばらしい。
あざーす!
「はい!!」
「仕方ない子だなぁ。君の…君達の行く世界レストは、一言で言うとゲームみたいな世界だ。ジャンルはエロRPG」
なんですと?
ご褒美ですか?
「はい?今なんて言いました?」
「実は、君のいるこの世界のエロゲーにそっくりなソフトが一つあるんだよね。まぁ…何のことはないあちらの世界からの転生者の仕業なんだけど」
そんな侵食が起きていたというのかっ!!
「そのゲームのタイトルは!?タイトルは何なんですか?」
「タイトル名ね。性奴隷学園エクストリームっていうんだけど…聞いたことなんて…もちろんないよね?転生者のほうでも普通にゲームを作ったら似ちゃっただけで他意は無いんだけどね」
あぁ…
記憶にこびりついちゃったんだね。
前世の記憶が…
「面白いんですよね?そのゲーム。僕が知らないだけで、隠れた名作、的な…知る人ぞ知るみたいな」
「さっき…聞いたことないよねって聞いたでしょ?めっちゃくちゃピーキーな調整で、速攻消えたし攻略サイトもない位だよ。いわゆるクソゲー。まぁ、あちらの世界そのまんまになる調整だから当たり前だけどね」
どおりで聞いたことないはずだ。
「でも…ゲームになったくらいなんですからそもそもは楽しい世界なんでしょ?」
「極々一部の特殊な性癖を持つ人にはそう…なんだろうね。きっとね。僕には理解できないんだけど……奴隷を愛しつついじめ抜くのが好きとか、奴隷でハーレム作ることが好きとか…ね」
なんか、前提条件が特殊過ぎる!?
「…何故、奴隷に何かすることが前提なんですか?」
「レストっていう世界は一言で説明すると、全てが奴隷に相互依存している世界なのさ」
涼やかに言われても全く理解不能だった。
「へ?意味がわかりませんが?」
「意味が分からないのは仕方ないね。この世界とは違うんだから世界の根本的成り立ちからして、全く別なんだよね。まず、ゲームの様にレベル、称号、スキル、体力値、魔力値、相性、奴隷値、奴隷スキル、魔法等々がある」
ゲームですら全く聞いたことない値が出てきてますけど…
「奴隷値とか…僕は聞いたことないんですが?」
「そうだね。レストが特殊でピーキーになる最大の原因がその奴隷関連の値なんだよ。そしてゲームがクソゲーになった理由も同様だね」
…話が見えないまま濃霧の中を、さ迷っているような感じなんですけど…
これ。
「いい加減具体的に教えてください。いったいどういう世界なんですか?」
「んー。口で説明するのは解りづらいから例を出してみようか。君のステータスでね。鑑定のスキルをあげよう」
おっ、自分のステータスを知覚出来るようになったのが分かる…
なんか変な感じだ。
瑞木美孝
レベル1(1)
体力値10(1)=10
魔力値10(1)=10
力10(1)=10
知力10(1)=10
俊敏さ10(1)=10
器用さ10(1)=10
幸運値10(1)=10
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、死者
スキル
鑑定
相性
なし
奴隷
なし
「自分のステータスは確認できたよね?じゃあ、今から性奴隷を1人手に入れた状態にしてみるよ」
性奴隷ってあなた…
ちょっと卑猥に過ぎませんか?
瑞木美孝
レベル1(2)
体力値10(100)=1000
魔力値10(100)=1000
力10(100)=1000
知力10(100)=1000
俊敏さ10(100)=1000
器用さ10(100)=1000
幸運値10(100)=1000
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、死者
スキル
鑑定
相性
未定
奴隷
性奴隷 エックス
「は?なんだ!!これ?性奴隷がいるかいないかで百倍の差が出てますよ。バグなんじゃないんですか?」
「いいや、これで正確な数字だよ?さっき話した奴隷値が反映されただけさ。もちろん、とりあえず数字上のみ誤認させただけだけどね。ピーキー過ぎるってわかるでしょう?」
本当にね。
「ええ、レベルアップごとに同じ様に左側の奴隷値じゃない数字が百倍になったりしないかぎりは、性奴隷さえいれば無双出来そうな数値に見えます」
「そうだよ。無双確定だね。あちらの世界では歴戦の戦士たちでも200を超える値の人なんて稀だから。左側の数値が基本的に1ずつしか上がらないんだよ」
厳しい話ですな。
「レベルが上がりにくいってことですね」
「いやいや、そうじゃないよ。鑑定のスキルは無いし、奴隷値が低いし、奴隷値の価値を知らないし、奴隷を手に入れる人が稀だし、普通は性奴隷じゃないし、レストで性奴隷を手に入れる人なんて普通は変態さんだし、知ってる人はその知識を独り占めするし、変態さんは普通は戦わないしね」
一気に捲し立てられたっ!!
楽しんで頂けましたか?
次回は明日の18時にお会いできたら幸いです