257甦生魔法と13人の奴隷の最後
一部、昨日と同程度のエグい部分が含まれます。苦手な方はご注意ください。
「さてと…あなた、その足手まといを連れてきた理由を聞いても宜しいですか?」
うぅ…
恵美の視線がマジ痛い。
「いや…一応親衛隊の寮を出るときは、バタバタしてたけど、キチンと見張りの死角を狙ってでたんだけど…帰るときはバレバレになっちゃうからさ」
「そんなもの、門扉まで送って、徒歩で帰らせれば済む話でしょう?何を言ってるんですか?」
あっ…
そうだよね!
わざわざ寮まで送る意味は無かったね。
「ゴメン。そこに思い至らなかったよ…」
「…まぁ、至近距離で、あれを見たんですから、一時的に思考能力が落ちるのは当たり前ですか…」
あぁ…
朱音さんの抱擁のおかげで大分マシだけど、やっぱりキツいもんはキツいね。
「でも、お膳立てしたのは僕ですから…僕にも責任はあるんですよ。じゃあ、門扉まで送ってきます」
「待ってください!せっかく連れてきたなら、言いたいことがあります!それに送るのは私がすれば済みます。あなたはリーフ達に癒されてて下さい!!」
え?
恵美からそんな言葉を聞くなんて…
「何?」
「こういう事ですよ…」
「俺もいるぞ」
「仕方ないねぇ」
「ダーリン!!」
リーフ、美嶺、セーフ、朱音さんの4人が僕に迫ってきた。
リーフが僕を抱っこするように後ろから抱き締めながら座る。
美嶺は膝の上に、朱音さんは右側、セーフは左にいる。
セーフ以外の女の子の香りに包まれて、帰ってきたんだなぁと感じた。
「いきな…」「何も言わなくて大丈夫です。今はただ休憩して下さい。抱き締めるだけですから」
リーフが優しく抱き締めながら言う。
良いんだけど…
お熊さんが気になるんだよな…
「おい、熊、よくも私の旦那様をこんなに焦燥させてくれたな!」
おいおい!
「…はい」
お熊さんが静かに返事をしている。
「被害者の気持ちがどうとか言ってたが、そんなことを言う権利は、お前に無いよな」
ん?
「…そうです」
まぁ、そうだよな。
「お前らは奴等に襲われてる時に、何もしなかった!!奴等を片付けたのは、朱音と私の旦那様だ。生殺与奪の権利は誰にある?」
僕たち…
だね。
「朱音さんと瑞木さんです…」
わかってはいるよね…
「何故、突っ掛かった!!お前のせいで、私は旦那様のあんな顔を見るはめになったんだぞ!」
言い過ぎじゃないかな。
「我慢できなかったから…殺された妹の事が我慢できなかったからです」
なんで、そんな傷口に塩を塗るようなこと言わされてんだ?
「恵…」「必要なことですから、邪魔しちゃダメですよ?」
後ろから、リーフに口をふさがれてしまった…
必要なこと?
「それは、お前の我が儘だ!!熊、お前は自分の身の丈に合ってないことを望んだんだ!!結局、お膳立てされた復讐をした気持ちはどうだ?」
晴れなかったんだよね…
「最低です…」
トラウマが増したんだから…
当然か。
「それは、お前がうちの旦那様に頼りきった復讐だからだろ?自分でお膳立てすればもっと違ったはずだ!!」
そうかなぁ…
「この嫌な気持ちも変わったのでしょうか?」
あれを常人がやって違う気持ちに至ることは不可能だと思うけど?
「しるか!!だが、理性を残さなければ、準備なんぞ出来よう筈もない…その過程で気持ちが変わったかもしれないな」
確かに、それは結果に影響したかもしれないな…
「この憎しみが消えるわけがない!!」
納得できなければ無理だろうな…
そもそも、納得など不可能だ。
理不尽な殺害者を恨まないはずはない!
「復讐を終えたのにか?馬鹿なことを…もう奴は死を待つだけだぞ?」
餓死か又はコボルトに食われるかだな。
「…でも!!それでも、アイツにつのる憎悪は、欠片も減らないんだ!!」
……妹さんが帰ってくる訳じゃないからなぁ…
ん?
「なら、それを癒すには違う方法を考えるんだな!そして、それはお前の問題だ!!俺たちを無条件で巻き込むんじゃねぇよ!!巻き込むなら誠意を見せろ!話せ!!私の旦那様を良いように使うんじゃねえよ!!」
あれ!?
「わかりました…」
ちょっと待て!!
「当然の話だが、冒険者になる奴の情報は渡さない!自分達で調べて、自己責任でやるがいいさ!!」
セーフなら!!
「はい!!」
妹さんの行き先がわかるかもしれなくないか?
「話はそれだけだ!!あなたも聞きましたよね?今後、手出しは無用ですからね!」
わかったけど!!
今、個人的にやれるだけはやるぞ!!
「セーフ!!お熊さん!!話を聞け!!」
口を塞いだリーフの手をむしりとって話し出す。
「なんだい?」「はい!」
大事な話だ!!
「セーフ!!昨日殺された奴隷の子達はどこにいるかわかるか?特に昨日アルフォンソにあてがわれた子を中心に調べて欲しい!!間に合うなら助けたい!!お熊さんは昨日殺された子達の名前を出来るだけ思い出せ!!まずは妹さんの名前を告げろ!」
「わかった!!任せな!!」
「えっ?たすっ?あ…妹の名は熊江です」
また…
適当な名付けをされてるなぁ…
「ふぅ…あなたは本当にお人好しですね…」
そうだな…
「リーフはこんな僕が嫌いかな?」
「大好きに決まっています。そこを含めて美孝さんなんですから」
さいですか…
ありがとう。
「…あなた、それを探すと言うことは、さっきの惨劇以上の、この世の地獄を見るということですが?」
そうだね…
そのとおりだ、恵美。
「さっきの話は僕の心を守るためのものだよね、恵美。ありがとう」
「覚悟のうえですか…ならば、何も言いません。存分に頑張ってください…私も精一杯頑張りますから!!」
すまんな。
「お熊さん、約束をして貰おうか…今から見ることを誰にも言わないと…」
「…フラネル、和恵、ラブラチカ…と計13人です。ここに書き出しました…いやも応もありません。私は貴方に恩義がある!!死ねと言われれば死にましょう!約束ごとき、当然です!!」
いや…
お熊さん?
重すぎるんだけど?
今ので、秘密をもらしたら本当に死ぬ契約が交わされたし…
まぁ、それ位本気だって言うことだからいいか…
「どう?セーフ。把握できた?」
「残念ながら、遺体の個を保ってるか…不明だよ。でも、例の奴隷商の所に全員居そうだ…出荷されたりはしていない。個体識別は喚んでする方が良いだろうね…」
それ位バラバラか…
最悪だ…
「じゃあ…1人ずつ喚んでいくよ…」
「はい、お願いします」
「おいで元奴隷フラネルよ」
フラネルの頭と上半身が一体で現れ、その他の部分が、精肉された状態で並んだ…
料理の下準備が見てとれる!!
人間に何て事しやがる…
その後も、各遺体を召喚し続け、最初の遺体よりは、マシな遺体が続き、少しだけ安心したところで、最後の熊江さんの召喚に取り掛かる。
「おいで、元奴隷熊江よ」
熊江さんが、いや、熊江さんだったものが現れた瞬間、絶句が辺りを包んだ…
人の形を保っていなかったのだ…
頭部と背骨と骨盤以外が召喚されなかった熊江さんは…
既にそれ以外の肉体が、この世に存在していない事を示していた。
食われ、消化されていたのだ…
「最悪だ…これじゃあ、やってみなけりゃ、甦るか、わからない!!」
セーフが呟く。
お熊さんには聞こえない呟きだ…
「ありがとうございます。これで、みんなを弔ってやれます。熊江も、妹も喜ぶことでしょう!」
お熊さんが、火の魔法を使おうとするのを間一髪止めることが出来た。
「まって、お熊さん!!早い、早すぎる!!召喚したのは、弔うためじゃない!!」
「では、何を?」
不思議そうな顔をするお熊さんに、残酷な現実を突きつける事を僕は止めた。
代わりに1つだけ話す。
「今から試す魔法は奇跡です。でも、いつも上手くいくとは限りません。だから、失敗しても、誰も恨んだりしないで下さい!」
「何をする気なのかわかりませんが、約束しましょう」
涙で濡れるかもしれない顔を正視できなかった…
「セーフ、救出漏れはないよね?」
「待っておくれ……うん、大丈夫。残念ながら、他の子達は個を特定できるレベルの肉体は残っていないよ」
それもまた悲しい結果だよな…
切り替えるしかないけど…
「よし、行くか。恵美、頼むよ!」
「はいっ!!いつでもどうぞ!!」
気合の入った声が響く。
「頼むよ!我と我に連なる眷属とで、永遠に失われし彼の者の命を再度、今ここに顕現させよう。リターンソウル!!」
詠唱とともに、輝く光の塊を恵美に向かって打ち出す。
それと同時に、虚脱感が僕を包んだ。
そして、真っ直ぐに、恵美に向かった光の塊は、僕に向かって打ち返された。
被害者13人を甦らせるためには、何回打ち返さなきゃいけないんだろうと、考えると、頭の中で解説が始まった…
規定の10回を越えた時点で1人の甦生が可能。
10回を超えると、一回につき、10倍検討の補正がつく。
つまりは、12回打ち合えれば、ミッションクリアだ!!
100人分の甦生が可能になるね。
「7回目!!」
と恵美の返球が、帰ってくる。
「8回目!!」
何事もない。
「9回目!!ぬっ!!」
来た。
イレギュラーバウンドだ!!
思考圧縮を使っているので、球筋を追えていた。
補正してやるっ!!
「はいっ!!10回です」
問題なく帰ってきた。
「11回目!」
「ラストです!」
後はキャッチして治すだけだ!!
飛んできた塊を掴むと、金色だった塊が、体内に吸収され、淡い緑色に近い金色が全身を包む。
成功だ!!
ついでに、思考圧縮がレベルアップした。
「行くよ!!熊江さんからね!」
遺体に次々と触れていく。
すると、触れた13体が、全て淡い緑色に近い金色に包まれ、欠損部位が修復されていく…
そして…
お熊さんは、目を覚ました12人の奴隷に慰められることとなった…
熊江さんは最後まで、起きなかった。
心臓も脈打たなかったからだ。
その姿を目にしながら、僕は残り87人分が未使用なので、光ったままだった右手で、再度熊江さんに触れてみた…
すると、熊江さんは頬に赤みが指し、ゆっくりと瞳を開けた。
お熊さんは、声をあげて泣いた。
顔にかかる嬉し涙とともに、その大声は熊江さんをビックリさせた。
でも、最後に姉妹は笑い合った。
瑞木美孝18才
レベル474(92)
体力値109万(1090)=11億
魔力値109万(1090)=11億
力109万(1090)=11億
知力109万(1090)=11億
俊敏さ109万(1090)=11億
器用さ109万(1090)=11億
幸運値109万(1090)=11億
魅力1100万(1090)=120億
風10万(1090)=1億
水8万(1090)=9200万
火5万(1090)=6400万
土8万(1090)=9500万
光4万(1090)=4800万
称号
貧乳も大好き、心清き者、地母神の養い子、狩人、精霊の親友、魔物の天敵、難病の克服者、皆のアイドル、飛行者、子煩悩、性の探求者、真の勇者
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
降霊術
呪術・精霊魔法蕩涎級
範囲観測信頼級
交渉・召喚魔法上級
解体・身体強化・催眠魔法・殺気自在・思考圧縮中級
回復・風・火・転移魔法・馬術・勇者魔法初級
武装レベル:槍232、剣503、投擲495、打撃174、短剣731
妻
リーフ、恵美、セーフ
相性
綱芳(2673)さやか(3712)恵美(13,5)武司(1178)玲子(816)朱音(13,0)メルー(4345)道緒(2385)直(2588)メアリー(2512)燕(2493)レモン(2535)流々(2341)里乃(2442)リーフ(24,8)奈美枝(961)御影(8868)ユリア(2887)枩李花(2385)霞(2493)ミサ(3582)岬(3702)潤(2301)雨音(2513)美嶺(5622)牛江(605)お熊(61)スラー(169)他42名(平均1946)
天河(2665)春臣(1501)君里(2243)秋虎(2193)アーサー(519)太陽(652)七海(498)エース(3398)朋久(1003)他23名平均(1826)
精霊:風(25,8)水(27,8)火(18,4)土(36,9)光(13,8)闇(17,9)
愛奴隷
リーフ・恵美
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・御影・ユリア・枩李花・霞・潤・雨音・美嶺他44人
天河・春臣・君里・秋虎・エース他23人
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