20荷物持ち相場と買い取り額
街へと帰る20分(重くて速度が落ちた)の間に簡単にステータスチェックをして驚いた。
「数値が平均3から4上がってる!!」
小声だ。
「それは相性のせいだね」
初耳ですよ?
「武司やさやかや綱芳の数値は見たろう?」
当然だよ。
「見たけどそういう家系かなと思っただけだよ」
「家系とも言えなくもないけどね。異様な位仲が良いからね。勿論良い意味で」
伝家の宝刀風に聞こえる。
「じゃあ。レベルリセットって」
「気付いたようだね。そうさ、性奴隷を手に入れてからレベル上げすれば、物凄い数値になるはずさ」
確かに。
「奴隷値でステータスが百倍になるからこそ出来ることだけどね。でも、ホントにそんな感じになるの?」
「多分ねぇ。実際はやってみないと解らないよ」
やっぱね。
「今回の話が事前説明に含まれなかったのも、そういうことでしょ?」
「そのとおりさ。瑞木には悪いんだけどね。だからこそ、最初から性奴隷を手配して安全マージンを確保したかったんだよ」
まぁ、童貞ですから。
「そこは譲りたくないよ。初めては好きな人と迎えるんだから」
「そういうとこはカッコいいじゃないか。頑張りな」
眩しい笑顔だ。
素晴らしい。
さてと、ギルドで販売か。オークが10頭とゴブリンが7頭、コボルトが34頭だね。
褒賞金は全額綱芳さんにスライドだから考えなくて良いよね。
ギルドではさやかさんが出迎えてくれた。
「凄まじいわね!!」
まあ、そうですね、さやかさん。
「そうだろう!!しかも、魔法もすげぇんだぜ」
綱芳さん、照れますよ。
「買い取りカウンターへ直行して貰っても良いかしら?」
そうですね。
「はい。もちろん。荷馬車のままでいいですか?」
「荷受け用の入り口があるのよ、そちらから入って欲しいわ」
受付のある建物の隣に案内された。
「しかし、出発から一時間でこの成果は凄いわ。騎士団の成果にも勝るとも劣らないでしょうね」
誉めすぎですね。
「多分増えすぎて密度がオカシイだけですよ」
「逆なのよ。そんな高密度の場所では囲まれて殺される可能性が高いってことね。兄の槍には血油が無いってことは、全て瑞木君が仕留めたんでしょう」
ご明察。
「えぇ」
ふぅー。
さやかさんが深くため息を一つつく。
「どんな戦い方か問い詰めたいところなんだけど、買い取りの話に移りましょうか。デートの時には教えてくれるんでしょうから」
うっ、良い笑顔だ。
…少し怖い。
「そうですね」
「まず、左耳がありませんが、確認部位として保管してありますか?」
「そうですね。ここに保管しています」
とザックからだした。
「すみません。伝え忘れました。体ごと売り払う場合は切り取る必要はありません。以後はそのままで大丈夫です」
マジで?
「助かります」
「いえこちらこそ、お手間を取らせました」
誰にでもポカはあるよね。
「気にしなくて大丈夫ですよ。では、褒賞金と肉の買い取り額を分けて提示してください」
「わかりました。ですが分ける理由が何かあるんですか?」
困惑してる。
「あぁ。褒賞金は綱芳さんにそのまま渡したいんで現金でお願いします」
「は?意味がわかりませんよ?」
呆れられた。
「今日付き合ってもらう報酬ですよ。肉は僕で褒賞金は綱芳さんって取り分にしてるんです」
「しかも兄は戦わなくて良いと?」
さやかさんの口がポッカリ空いている。
愛らしいな。
「えぇ無理矢理引っ張っていくわけですから」
「どおりで、兄が付いてくわけですね」
額に手をやる仕草も優雅だな。
「頑張って交渉しました!」
「解りましたが、破格すぎますからね、その価格。普通なら十分の一でも良い位です。覚えておいて下さい」
解りました。
「はい」
「兄さんも!返事が聴こえないわよ!?他の人にこの事を喋ったら酷いわよ!!許さないからね!!!」
おぅっ!!
鬼が見える。
「誓ってっ!!」
綱芳さん、顔色が悪いね。
「瑞木さんも!!下手すると明日からうちの宿に人足希望者が殺到するレベルなんだから、危機感を持ってくださいね」
あぁ!!
そうだよね。
「今解りました。ごめんなさい」
「解ればいいです」
笑顔が戻った。
よかったぁ。
「さて、じゃあ褒賞金からいきます。オーク10頭で二万ラード。ゴブリン7頭で二千八百ラード。コボルト34頭で三万四千ラード。全部で五万六千八百ラードです。現金でご所望でしたね」
「はい」
「では大金貨五枚と金貨三枚と銀貨四枚です。確かめてください」
「はい。数えて下さいね」
と綱芳さんに渡した。
さやかさんがふぅと短いため息をつくと、説明を続ける。
「では肉に移ります。その前に注意点です。毛皮は剥いてあれば別カウント出来ますが、そのままの場合は肉の価格に含みます。その場合は価格は変わらないので予め納得しておいてください」
面倒だものね。
「解体しますか?」
「今日は止めときます」
早さの勝負だからね。
さっさとレベルを上げなければ!!
「解りました。ではオーク10頭で十万ラード。ゴブリン7頭で七千ラード。コボルト34頭で六万八千ラードです。全部で十七万五千ラードですね。カードに入金しますよ?」
大金ですな。
「いえ、コボルトは一体だけ肉の売り払いを止めときます。恵美さんに引き取ってもらう約束なんですよ」
「では二千引いて、十七万三千ラードをカードに入れますよ」
「はい」
「買い取り完了ですね。7時半ですか。これからどうされるんですか?」
時計を見てそう言った。
「まず宿にコボルトを降ろして再チャレンジです。また、一時間後に来れるといいなぁ」
「本気ですか?」
目が点になってる。
「本気ですとも」
「ハードですね」
と綱芳さん。
「疲れたら回復しますから言ってくださいね」
「へっ……俺も…ですか?俺は宿でコボルトと一緒に降りようと思ってましたけど…」
何を仰る。
「当然付き合ってもらうに決まってるでしょう。午後3時まではまだまだ時間がありますから、今日は暇だと言ってましたよね?」
「いや、一ヶ月分以上稼いだからもう良いかなって」
「付き合って貰いますよ。これは決定事項です。積み込みと馬番がいないとやりにくいですからね」
「兄さん!!」
さやかさんからも突っ込みが入る。
「解りました。腹くくりますよ」
涙目だ。
でも逃がさないよ。
この辺も値段に含まれてるからね。
「あと、二千ラード下さい」
「はい」
素直に差し出された。
「毎度。コボルトの料金確かに頂きました」
「ああ、そうでしたね。でも、それは恵美に請求して欲しいなぁ」
「何を仰る。僕が交渉したのは綱芳さんにですから、貴方が払うのが筋ですよ」
「あぁ!確かにそうですね」
「あと、内部はともかく、対外的には店の店主が別れてるとか言わない方が良いですよ?信用度が落ちますからね」
「兄さん…またその話で恵美とやり合ったのね。子供じゃないんだからしっかりしなさいよ」
「はい」
綱芳さんが青菜に塩状態になってしまった。
さて切り替えて行きますか。
「行きましょう」
「おぅ」
「先ずは宿へ」
裏手にある宿に馬を走らせる。
まずはコボルトを恵美さんに渡そう。
瑞木美孝18才
レベル13(1)
体力値126(1)=126
魔力値128(1)=128
力235(1)=235
知力133(1)=133
俊敏さ126(1)=126
器用さ130(1)=130
幸運値137(1)=137
魅力196(1)=196
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊使い
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、槍レベル13、剣レベル6、投擲レベル18、打撃レベル1、解体・交渉・精霊魔法中級、短剣レベル19、召喚魔法・回復魔法・催眠魔法・風魔法初級、降霊術
相性
綱芳(96)さやか(261)
奴隷
なし
設定
一部非表示
楽しんで頂けましたか?
次回はまた明日の18時を予定しています。またお会いできれば幸いです。