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女神とともに転移した世界がまるで地獄(エロゲ)でした  作者: 瑞木美海
第4日目 アールの集いを運営するものの気概とは
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SSいじわるおばさんエリカの最後

いつもとは毛色が少し違います。

いつもより厳しめな成分多目ですので、苦手な方はそっと閉じてくださいませ…

「何様よ、あんた!!離しなさいよ!なんで私がつかまるのよ!!」

縄を打たれたエリカが薄暗い石造りの建物に連れ込まれてきた。

服飾店で男どもを蕩けさせている仕草や表情は、全く伺い知る事が出来ない有り様でだ…


「お前を捕まえる前にもきちんと罪状は伝えたぞ!!聞いてなかったお前が悪い」

連行してきた職員が、あきれた様子で返答を返す…


「はぁ?聞いたけど納得なんて出来るわけないでしょう」

私が作った書類上の不備は無い。

そのために、わざわざ、白紙に兄夫婦のサインが入っただけの紙切れを、手に入れるために色々と画策したのだから間違いない!!

兄夫婦の財産相続は、問題ない形で完璧に私が受けとることを、証するものになっている。

店の売り払いだって、書類上は私に相続が完了してからの事になっている。

あのガキも、店の子供を身代わりに仕立てて受け答えさせたってのに!!

ガキの事だけはバレたみたいだ。けれど、勝手に出てったガキのことなんざ知るもんかよ!!


「はぁ…なんで納得できないんだよ。お前自身が王とした約束を破ったからに決まってるだろ?」

と、職員が懐から契約書を取り出して見せてきた…


「この紙切れが何だって言うんだい!!このくそ野郎が!!」

口で奪い取って、ビリビリに引き裂いて、半分は胃袋の中に入れてやった!!

ふん!!

これで、内容の確定なんぞできゃしない。

私の前に証拠なんか突き出すから、こうなるのさ!

ニヤリと浮かべた笑みはすぐさま凍り付いた。


「お前らみたいな奴等は、大体同じ事考えるんだなぁ…ほれ。ここにもコピーはあるぞ?まだやるか?原本から何枚でも複製は出来るからな?」

それは、もう一枚の契約書が、職員の胸元から取り出され、複製はすぐ出来ると宣言されたからだった…


「卑怯くせぇ!!」

噛み砕いた紙切れの切れ端が、職員の顔に降りかかる。


「あのなぁ…さっきの自分の姿をかえりみてから言うべきだと思うぞ?あと、この契約書の、ここの部分についてのペナルティーを今から執行するので悪しからず…大人しくする必要はないが、今後の事は考えた方が身のためだ」


「や、やめやがれ!!」

エリカが焦った声をあげても、するすると伸びてきた動く蔓に足を閉じたまま固定され、括られている縄を上に引き絞られて抗えなかった。

直立不動のエリカは、下着を引き下げられ、臀部に赤く鞭の跡をつけられる。

結局、10本のラインが赤く血を滲ませて、刻まれる事となった


「はい、終了。パンツは上げといた方が良いよな?」

言いながら、上げられた下着に、血の跡が3本程滲む。


「いてぇ。もっと慎重にやれや!!」

痛みに身をよじろうにも、直立不動は継続中だった…


「因みに、さっきも言ったが再度同じように破った場合は、グレードアップした鞭を使用して追加で執行する事になるから、気を付けることだな…」

無機質に刑を執行し、下着を元に戻した員が淡々と告げた。

指差すその先には、先ほどエリカを打った教鞭の向こうに、ゴツい棍棒のような鞭や猛獣を調教するための鞭がならんでいる…


「このくそ野郎がぁああーっ!!こんなペナルティーがあるなら、簡単に契約書を渡すんじゃねぇよ!職務怠慢じゃねえか!」

痛みに耐えかねたエリカの怒号が部屋一杯に響く。


「そもそも、サインの時にこんなに、デカデカと書いてある言葉を忘れるお前が悪いんだよ!!あとな、前に契約書を守ろうとして、バカに指を食い千切られた職員が居てな。契約書のコピーは公式に守らなくて良くなったんだ!!」

ラード王国としては犯罪者よりも、職員の安全を重視している様子だ。

因みに、契約書には一番大きな文字で、この契約書のコピーを故意に破損させた場合は、臀部の鞭打ち10回と明示してある。

ついでに、エリカは契約書に書いてある自分のサインと、原本の場合は鞭打ち1000回という記載を見つけてゲンナリした。


「で?私が捕まった理由が?なんだった?」

痛みと羞恥と怒りで、顔を歪ませたまま、さっきと同じ質問をくり返す。


「バカな事をしなけりゃ、痛い目にだけは合わなくて済んだのに…」

一息ため息をつくと、職員はタバコを吸い出す。


「職・務・怠・慢!!」


「うるさいな…いいじゃねぇか、少し位伸びたって…結局、未来永劫、お前が外に出られないことはもうすでに変わらない事なんだから。こんな事を何度も告げなけりゃならねぇ、こっちの身にもなれや!気が滅入るっての!!」

投げやりに職員が口にした言葉は、エリカにとっては衝撃的だった。


「えっ?取り調べは!?」


「終わった。有罪確定」


「何の罪!?」


「ラード王国国王との約束不履行の罪」


「何故有罪なの?」


「契約に記載されてるお前の姪が亡くなった時点で有罪確定。死亡確認が終わってるから、もう罪状も動きようがない」


「はぁ?」


「キチンと書いてあるぞ?子供は我がラードの宝なり、この宝を害した場合、故意、過失によらず、保護を申し出た者が責を負う。特に死亡した場合は、同じ死因で、死ぬ事に同意せよ。って書いてあって…」


「ハイに…レ点がついてるね…」


「な?理解できたか?」


「ま、待ってよ…あの子は両親が死んで不安定だったのよ!!勝手に出てった子供が死んだからって…」


「あのな、さっきの項目で過失でも、ダメって書いてあるだろ?更にこの項目…見えるよな?」


「…万が一、情緒不安的になり、行方不明となった場合は、すぐに城へ届けること…捜索隊とともに探しだし、国でその後は保護する?……もし、届けない場合は殺人と見、な…す?」


「しかも、同意のレ点がしっかりついてるな?」


「なにこれ!?どんだけ子供が好きなのよ!!ロリなの?ロリロリなの!?ロリータコンプレックスなのかしら!?」


「さてな。知らんね…でだ…確定した刑の執行内容だが?聞きたいか?」


「死因と同じだっけ?」


「そうだ…餓死だな」


「バカな…」


「そこの蛇口から水だけは出るぜ…せめてもの慈悲だ。あと、この契約書はここに貼っておく。これを読んで反省しろとさ…言っとくが…破損の条項は生きてるからな?」


「くそ野郎が!!さっさと失せろ!!」


「言っとくが泣いても叫んでも無駄だ…ここは、城の地下、特別収容牢。俺以外には誰も近付かないからな…」


「ふん!!」


 最後の会話から3日、エリカは弱っていた。

 拘束されていた縄は、あの男が居なくなった途端に蛇になって、牢の外へと這っていった。

 足を拘束していた蔓も同時に消えている。

 静寂が自身を押し包んでいて、気が狂いそうになるのを自覚する。


「この契約書も、何度も読んだのよね…」

生き延びる可能性があるとすれば、この契約書のこの項目にかけるしかない。

だが、それはあまりにも部の悪い賭けだった。

因みに、もし、姪を立派に育て上げた場合の恩賞と謝礼金は、色々画策して手にした金が雀の涙に思える位には良い金額だった…

契約書を良く読まずにサインした私の尻を蹴り上げたい気分だ!!


「やっちまったことはしかたねえ。やっても、やらなくても死ぬなら、やるだけよねぇ…」

呟いた時に、空気の揺らぎを感じた気がした。


「ん…んん?兄さん!?そこにいるのって兄さんよね?」

牢の外に佇む人影を見つけたのだ。


「こっちに来て!話をしましょう!」

力の限り呼び立てる。


 その後、3時間以上に渡って呼び続けたが、その影は微動だにしなかった。

 エリカは叫びすぎて、気絶した。


「あれ?私は…?」

朝、目覚めると、影は消えていた。


「くっそーっ!!ラストチャンスが!!」

ひとしきり、色んなものを罵った後、ふて寝した。


「ん?」

ふて寝して、数時間。

昨日の影はより近くに立っていた。

そして、近くに来たことによってわかってしまった事がある!


「これ、人形じゃねえか!!」

かなり精密に作られた人形だった…


「死ねぇ!!おちょくりやがって、死ぬがいい!!」

悪態を人形に浴びせて、再び、ふて寝に戻る。


「またかよ!!いい加減死ねよ!!」

次の日も、人形は置かれていた…

初日と同じ位置に…


「一昨日のバカな私を思い出すからどけろよ!!」

当然、怒りが込み上げてくる!!

勝手に道具屋を手に入れて売った話や、姪を虐めた話まで持ち出して、罵った。

そう、その影がクルリとこちらを向くまでは…


「に…兄さん?」


「よぉくわかったよ。よぉくな!!良くもうちの子を…鈴華を殺してくれたな!!」

本物だった…


「え?じゃあ、あのガキも復活してるんじゃないの?何で来てないの?」


「鈴華はなぁ!!何も言わなかったんだ!!お前の名前を聞くと、泣きながら震えだしたが、それだけだ!!何を聞いても全く答えない!!今日はお前から、直接話を聞きに来たが…よくわかったよ。お前が最低だってな!!そこで、乾ききって鈴華の気持ちを理解するといい!!」

そのまま、兄は歩き去っていった…


「そんな…待ってよ!!鈴華ちゃんを連れてきて!!お願いよ!!」

兄は振り返らなかった。


「お前なんかに会わせたら鈴華に更なる傷を負わせちまう。俺はお前の事を忘れる。鈴華にも思い出して貰いたくない!!」

歩みを止めないままの言葉、既に独り言に近かった。


「畜生ぉおおおーっ!!鈴華が来ねえと私はここで死ぬしかねぇんだ!!戻ってこいよ!!鈴華の奴を連れてこい!!」

既にその瞳は視点が合っていない…

そんな言葉を吐いて誰が立ち止まると言うのか!


 60日が経過し、牢に動く者が居なくなった…

 あの職員が現れ、カラカラになったエリカを、床に叩きつけて、粉々に粉砕した。

 甦ることの無いように、焼却炉に運んで、火を入れる。

 ついでに、タバコにも火を着けた。


「結局、反省の言葉は無かったな…まぁそんなもんか…折角の契約書の条項も無駄になっちまったな」

剥がしてきた契約書を眺めながら呟いた。

契約書に記載された内容は、何らかの理由で殺害した場合でも、殺害された者が甦った時、殺害された本人が契約者を許せば、刑の執行を取り止める事が出来るとなっている。

ここに来たのは、姪ではなく兄だけだった…

契約書も焼却炉に放り込んで、鞭使いにして掃除夫の彼も去っていく…

あとには、静寂のみが残った…

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