13宿屋と交渉記録
ギルドを出た僕はとりあえず大通りに歩いた。
宿屋の金額を知るために、まず大通りにある宿屋に入ってみたのだ。
「高級そうで気にくわないね。」
何でそんなに喧嘩腰なのさ。
セーフの機嫌はその宿の宿代金を聞いて更に悪くなった。
一泊二食で七千ラードですって。
次に普通の宿屋のおかみさんに聞くと四千ラード。
「不愉快だよっ。この状態で何もできない私が一番不愉快だ…」
泣いてる…
最後に聞きにいったところは、見るからにボロボロの外観で内装も酷かったが、それでも四千ラード。
「やっぱりインフレでどうしようもない感じだね」
セーフからの返事はなく、涙と鼻水で歪んだ顔の女の子が隣でトボトボ歩いているだけだった。
「さぁ榊家の宿屋に向かおう。お腹空いてきたしね」
隣で頷く女の子は、まだ泣き止めない。
榊家の宿屋は、アットホームな感じの酒場兼宿屋兼飯屋だった…
「っていうか見た感じ普通の民家だよね?これ」
「そうだねぇ」
唖然として涙が止まったらしい。
「看板も手作り感満載だしね」
「見てごらん。裏は料理店榊って書いてあるよ」
少し元気が出たかな。
「こっち側はバー&イン榊って書いてあるから、下手したら見落してる。危なっ」
そんな話をしていたら中から客らしき若い男が出てきた。
「ここに入るのか?見たとこ初めてだよな?運がいいぜお前、ここは当たりだ」
とだけ言って去っていった。
「まぁ、さやかさんの紹介だから絶対ここに泊まるけどね」
ドアをくぐる。
「いらっしゃい。どちらの店に用事ですか?」
丁寧だけど変わった接客だね。
「宿泊したいんです。ギルドのさやかさんに聞いてきました。食事も夕食と朝食込みで用意して頂けると聞きましたが?」
「さやかというと榊さやかですね。ありがとうございます。食事付きで大丈夫ですよ」
さやかさん似の女性から、営業用スマイルを張り付けた顔を向けられるとはね。
でも、まぁ印象は悪くない。
「因みに冒険者やってるんですけど長期の宿泊もお願い出来ますか?」
「太っ腹だね、お兄さん。最近の冒険者じゃあ長期なんて金がもたないから、さっさと別の町に行くのに」
急に口調が砕けて仏頂面になったよ。
うーん、ちょっと接客としては不合格臭くないか?
「コラ!!恵美っ!!お客様に喧嘩売ってんじゃねぇ。さやかの好意を無にする気か!」
ガタイのいい武司さんといった感じの貴方も不合格だ。
客をほったらかしにして、目の前で喧嘩を始めるんじゃねぇよ。
「煩いよ兄ちゃん。宿に泊まりたいってんなら、宿屋の客だろ?さっさと接客しない兄ちゃんが悪いじゃないか」
それはどうかな。
「そんなことじゃ飯屋として独り立ちなんて夢のまた夢だな」
客を放り出して言う言葉じゃないな。
「あたしは料理の腕で身を立てるから良いのさ!」
それはどうだろう。
「いい加減にしよう!!二人とも接客としては最低だし、恵美さんも接客の最低限のマナーは無いと、たとえ美味しくても食べてくれる人なんていないことを知るべきです」
「「すみません」」
まぁ、素直だね。
「こちらとしては質問の返事が欲しいんですよ。金額もね!」
「はい。連泊はお引き受け出来ます。金額も通常三千二百ラードですが、冒険者割引で三千ラードでお泊まり頂けます」
あぁやっと交渉に入れるね。
「そうですか。ではまず10日間泊まりたいので、二万九千ラードにしませんか?」
「うーん。1ヶ月なら考えますが……」
「ではこうしましょう。僕は明日からモンスター討伐に行くので。手に入れた肉をギルドの買取り額と同額でお分けしましょう。結構有利なんじゃないですか?」
「ホントですか?それならばありがたい。でもそれだけの実力はあるんですか?」
まぁ、証拠を見せないと話にならないよね。
「今日狩ったオークのものです。」
と右耳を三つ転がした。
「おぉ凄いですね。ですが、オークは高過ぎるので手が出ませんよ」
そりゃね。
「もちろん、オーク以外も狩りますよ。というかコボルトが主体になるはずです」
討伐証明に関係ないコボルトの右耳を一山掴んで盛った。
「うっ。わかりました。これだけの頭数を狩れるなら大丈夫でしょう。二万九千ラードで承ります!」
宿帳に記名し大金貨二枚と大銀貨九枚を支払う。
「ありがとうございます」
とりあえず宿確保…と。
ポーン。スキル取得【交渉初級】
おぉスキルを取れた。
地味に嬉しい。
「じゃあ、まずは部屋にご案内します。夕食はすぐ召し上がりますか?」
嬉しいね。
「用意して貰えると嬉しいです」
「恵美!」
「はいよ。二十分で用意完了さ」
「頼んだぞ。部屋に荷物をどうぞ。こちらです」
なかなかいい感じだね。
「ところで瑞木さん。その耳を何かに使うあてがあるのかい?」
「ないですよ?」
「提供してくれるなら二品追加するけど、どうする?」
「喜んで提供しましょう」
「はいよ。任された」
うん非常にいい感じだ。
案内されて部屋に到着。
「いい部屋ですね!」
「ありがとうございます」
綺麗で掃除も行き届いてるし、内装も落ち着いていていい。
当たりだな。
「ところで、失礼ですがこの宿って部屋は見た感じ二部屋ですよね?」
「そうですよ。民家を改装してますから、少し歪で、現在は宿として提供出来ていない部屋もありますけどね」
やっぱり。
「もう一部屋はさやかさんが使ってますよね?」
「えぇこれだけインフレが進むと客が入りませんから」
高過ぎるからな。
「では、昼間の間なら時間がありますよね?バイトしませんか?」
「確かに仕込みを夕方にしますからそれまでなら暇…もとい時間はありますが…」
「荷馬車を借りて、モンスター狩りを補助して欲しいんですよ。もちろん戦うのは僕です」
「本気ですか?」
「支払いは出来高で、オークなら金貨一枚。ゴブリンは銀貨二枚。コボルトは銀貨五枚でどうです?」
「それって討伐褒賞金と同額なんですが?」
「肉の方が高いでしょう」
「荷馬車の代金は?」
「こちらもちです。適正価格なら…ですが」
「もしもの時は逃げますよ?」
「交渉成立ですね。明日の朝6時の朝飯後に出発します。荷馬車は門で受け取りで良いですよね?」
「わかりました。何故俺を誘うんです?」
「強いですよね?貴方。武司さんが息子さんを鍛えない訳ないですよね?」
「じゃあ馬のつてもあることは把握済みですか…参りました。荷馬車は千ラードです」
「よろしくお願いします」
ポーン。スキル取得【交渉中級】
「ひとっ走り親父に確認だけ入れときますよ」
走り去った…
バーの準備は大丈夫かな?
そのあと恵美さんが用意してくれた夕食は流石の味だった。
コボルトの肉をメインに使って、良く煮込まれた肉がとろけそうなほど柔らかい。
しっかりと各種野菜で、臭みを抑えられていてスイスイと胃袋の中に入っていく。
そしてそれを支えるスープとパンも相性を見極められていてメチャクチャ旨かった。
さらにオークとコボルトの耳で一品ずつ。
難しそうな食材なのにすげぇ旨えし。
この店…
当たりだ!!
瑞木美孝18才
レベル6(1)
体力値105(1)=105
魔力値105(1)=105
力206(1)=206
知力105(1)=105
俊敏さ105(1)=105
器用さ105(1)=105
幸運値107(1)=107
魅力105(1)=105
称号
貧乳好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人
スキル
鑑定、他種族言語理解、スキル取得補正、レベルリセット、緊急避難、スキルリセット、収納ポケット、レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正、範囲観測初級、叱咤激励、槍レベル3、剣レベル2、投擲レベル5、打撃レベル1、解体中級、短剣レベル4、召喚魔法初級、交渉中級
相性
なし
奴隷
なし
設定
一部非表示
もう無理です。続きは今日の18時にお会いできましたら幸いです。おやすみなさい