102榊家の常識と瑞木の常識
「じゃあ、さっさと入るよ」
そうだね。
扉を開けるとそこには、リーフさん、朱音さん、御影とアーサーが待ち構えていた。
ついさっきまで、ドアに耳をつけていたらしく、アーサー以外は右耳が赤くなっている…
「聞いていたなら話は早いですよね?とりあえず中に入れてください…」
ドアの前から離れていく4人、みんな笑顔だ。
ひとりだけ、笑顔がひくついている奴がいるけど…
「「ただいま」」「こんにちは」
挨拶をしながら入る。
「おめでとうございます」「おめでとさん」「羨ましいなぁ、おめでと」
みんな、ありがとう。
御影だけ祝いの言葉を言わずに震えてる。
どうしたんだ?
「私を差し置いて結婚なんて許せません!!今から直ぐ誓いを!!誓いの言葉を紡ぎましょう!!美孝さんは私のものです。さあ続きをど…」「「黙りなさい、このめでたい時に!!」」
…御影が、リーフさんと朱音さんに引きずられて部屋のすみに連行されていった…
治療したのに残念さは変わらないのか…
あっ、説教が始まった…
また、世界の深淵を垣間見るのかなぁ…
合掌。
「アーサー、皆元気みたいだね…」
「あぁ、あの後起きたんで、原因を話したら、皆悔しがっとったぞ…せっかく瑞木に愛して貰えたのに意識を失うなんて…とな。愛されとるのう…」
えっと…
斜め上の回答だなぁ…
下手したら死んでたかもしれないのに。
「元気ならいいよ…」
ほどなく、3人で戻ってきたので話を再開する。
「外でのやり取りを聞いていたなら、ご存じの事とは思います。僕は先ほどここにいる恵美さんと、セーフの2人と結婚しました。祝福の言葉をありがとうございます」
「「「おめでとう」」」
御影以外からの再度の祝福だ。
…ほんとに嬉しい。
「じゃあ2人とも自己紹介をしてね。セーフ、恵美さんにはほとんど初対面でしょ。まずは恵美さんから…この茶髪の女の子が恵美さんです」
「はい、まずは私からね。旧姓を榊恵美といいます。料理屋榊を営んでまして、今日皆さんに食べて頂いたのも、私が作った料理のはずですね。瑞木さんの二人目の奥さんになりました。仲良くして下さい。そして、瑞木さん、さっきの約束を果たして下さいね!!」
と言いつつ、ジャンプしながら抱きついてこようとする…
全身鎧が当たったら痛そうだよな…
収納しとこう。
「わあ、危ないなぁ。そういうことは全員の挨拶の後でしょう?仕方ない人だなぁ…」
抱きつかれるより一瞬早く鎧が収納に入ったので、痛くはなかったはずだ…
っていうか。
リーフさんほどではないけど、巨大な丸い物体がしっかりと僕の胸にあたって押し潰されてる。
両腕だけでなく、両足で僕の体をしっかり掴んでいるので、恵美さんの全体重が胸を中心とした体の前面と接して僕の体にのし掛かってきている。
当然、そこにはお互いの股間もあるわけで…
卑猥すぎるっす。
一旦、ギュッと抱き締めてから、すぐさま恵美さんの足を取り外しにかかる。
「はい、お仕舞いですよ。続きはまたの機会にね!!足を解いて放してください。」
「えぇーっ。まだこれからじゃない。もっとキスとかしながら、とろとろになるまで貪り合うのが普通でしょ?そのまま最後までってのもいいなぁ」
いや…
ぜんっぜん良くねえから!!
僕の理性持たねえから!!
放さずにキスしようとする恵美さんをかわしながら、足を取り払って、そのまま抱き上げて椅子に着席させた。
それでも、両腕は右手に絡み付いている。
戦鬼の戦技をなんちゅう事に使っとるのかね、君は!!
「衆人環視の中で、んなこと出来るか!!いい加減に離れなさいってば!!そもそも誰の普通を基準にそんなこと言ってんだよ!!僕の基準では、規格外なほどのアウトだから!!」
「えーっ!!もちろん、うちの両親だよ!?あの2人は家の中ではさっきの格好で大概くっついてるからね。こっちが恥ずかしくなる位ね…あれで新しい兄弟が出来ないのが不思議なんだよなぁ…」
えっ!?
戦鬼公認の戦技ってこと?
取り敢えず腕から逃げ出すことに成功。
「待ってください。まさか、さっきの風景って榊家では日常茶飯事なんですか?」
「ん?うん!!大抵お母さんはお父さんにくっついてメロメロになってるよ…私もメロメロになりたいよぅ!」
いや…
何、当たり前の事聞いてんだ的に首を傾げるのは止めてくれ!!
「恵美さん、まさか、真っ最中の両親を観察するのがスタンダードとか言いませんよね?」
「あははっ、勿論よ!!まさか、毎回なんて見てるわけないじゃない!!今までで三回くらいしかないよ…」
待って!!!!
笑いながらそれを語らないでよ!!
1回でもあったら普通とは違うと思う!!
何故、そんな2人からあんな勇者を毛嫌いするさやかさんが生まれてるのさ!!
「意味が全くわかりません!!武司さんがそれを許容するとも思えませんよ!?」
「お父さんね…始まると口を確実に塞がれ続けるから、その間は声を聞いたことないかな…でも、目と手振りで退室を促すから、直ぐ部屋から出てくようにしてるけどね」
だよねぇ…
あの人なら、普通の精神をもってそうだし…
あれ?
「それを前提条件とするなら、何故3回も見たことあるんですか?」
「あぁ!!ははっ、それらの日は、お父さんがお酒をかなり飲んでてね。半分寝てたからじゃないかな!?後学のために見せて貰ったんだ!!」
笑いながら言わないで…
お願いだよ…
口調もさっきから興奮のためか荒くなってるよね?
いい加減落ち着いてよ。
「恵美さん!!宣言しておきます。瑞木家では、さっきの様な事を人前でする事を禁止します。この、人前ってのは他の奥さんは勿論、後に生まれるであろう僕らの子供も含みます。いいですね?」
「えぇーっ。うちの家族を見て育った私としては…さっきのが理想の家族像なんだけど…駄目なんですか?」
うん!!
駄目!!
「上目遣いで可愛く言っても駄目ですよ?絶っっっ対に駄目です!!それにうちには、他にも奥さんがいるんですから、恵美さんの独り占めにされるわけにもいきません!!」
「他の奥さんもしたら良いじゃない!」
そういう問題じゃないってば!!
そもそも、僕はそんな事出来ないと言うとろうが!!
「恵美さん!!いい加減にしてくれないと嫌いになりますよ?榊家が仲が良いのはよーくわかりました。だけど僕は、それだけに特化して仲良くしたい訳じゃないんです!!メリハリを持ちましょう!!そういう事は寝室で!!理解してください…」
「はーい!!」『取り敢えず、また説得してみよう…まだ、初めても迎えてないんだもの…当たり前よね…』
えっと…
諦めてくれないのかぁ…
でも、取り敢えず引いてくれたから良しとしよう…
「はぁ…セーフの自己紹介に移ろうか…この短く切り揃えられたの緑の髪をした女の子が、元神様で現コーチング妖精がセーフです」
「いやぁ、私なんて霞んじまうねぇ。ホントに良い気合いだよ。私の名はセーフ、瑞木と一緒に異世界から、この世界の酷い有り様を何とかしたいと思ってやってきたよ。情報収集に特化した力を持ってる。瑞木や皆に力を貸して、レストを救う事、それが己に課した使命さ。でも、そのせいで瑞木に触れられなくってねぇ。フラストレーションを溜めちまったみたいだ!!でも、瑞木の妻になって凄く救われた!!皆とも仲良くしたいんだ。よろしく頼むよ!!」
うん…
いい笑顔になった!!
良かった、愛らしいセーフに戻った。
感涙っ!!
「瑞木よ、何泣いとるんじゃ?こっちの紹介もせんかい!!」
あぁ。
ありがとう、アーサー!!
「じゃあ、居残り組の紹介をしようか!!まず、この白髪での長身の女性がリーフさんです。元騎士団長を務めていた才媛です」
「騎士団の話はお止めください。恥ずかしいです。ただいま紹介に預かりました。リーフです。一番最初に妻に迎えて頂きましたが、美孝さんが一番大切に思っているのはセーフさんだという事は周知の事実と認識しております…正式に奥さんになられて本当に良かった。御二方ともに、どうぞ仲良くしてください」
あら…
「リーフさん、嫌だった?ご免なさい…」
「え?ああ、嫌と言うほどの事ではないのですが、辞めた原因を考えますと恥ずかしいです…ごめんなさい…気にしないで下さい!!」
あらら…
「じゃあ続いては…朱音さんだね…こちらの赤い髪が眩しい人が未来の奥さん候補の朱音さんです」
「元騎士団四席の朱音です。出会いが出会いだったので、1週間の経過観察を瑞木さんに言い渡されました!!必ず1週間後に抱いて貰うべく鋭意努力中です!!仲良くしてください!!」
えっ、必ずですか…
そんなに生き急がなくてもいいと思うけどな…
「はい、では、この半透明に見える騎士装束の男性こそ、このラードを救う会の司会進行を務める、無くてはならないアーサーです。僕の心の友です」
「おいっ!!勝手に司会進行を押し付けおって!!…嬉しいじゃないか…ま、死んで瑞木に召喚された身じゃ、喜んで手を貸すとしよう。よろしく頼む!!」
アーサー!!
大好きだぜ!!
「さて、紹介は以上かな?」
「待って、私は?私っ!!貴方の御影ちゃん!!忘れないで下さいよ!!」
仕方ねぇな。
「この女の子は御影。非常に性格が悪く、僕の好みではないと伝えているのに、僕と付き合いたいと嘘ぶく十六歳です。因みに今はサラサラストレートの青い髪ですが、見ての通りの美少女なので普段は男装してますので、カールのかかった茶髪です」
「紹介頂きました御影です。美孝さんはああ仰いましたが、次の奥さんの座を射止めるのは私です。負けません。よろしくお願いいたします」
ありえないね!!
「因みにコイツには、ラードを救う会の会計を暫定的にやってもらう予定です…計算間違いをやらかして、交代するまでの事ですね」
「失礼な!!立派に務めあげて見せますよ!!」
まぁ、そっちについては頑張りな!!
「じゃあ、御影には精一杯頑張って貰うということで、紹介終わりです」
「頑張りますね!!奥さんへの道も!!」
いや。
そっちは頑張るな!!
「恵美さんは、基礎的な話についてセーフから教わってください。わからないことがあれば、僕が補足説明しますから声をかけてください!!リーフさんと朱音さんには、実験結果を受けての結論を伝えます。終わったら、外に出て協力者の皆に演説しますので、皆付き合ってくださいね!!その後に、全員と奴隷契約を結んで、スープを飲ませてから食事をしに行きます!!その後順次お風呂!!あと、御影は演説の際はこっちサイドじゃなく、他の協力者の皆と話を聞くんだぞ。なにか質問は?」
「私は…なぜこっちサイドじゃないのですか?」
ん。
「皆と奴隷契約を結ぶには、皆の同意が必要不可欠なんだ。御影には、その同意を引き出す重要な役割をになって貰わなけりゃいけない。僕の演説の時に良いタイミングで同意の言葉を叫んでくれ。一応、交渉スキル全開でお願いするけど、やっぱり一押しがあると違うだろうからな!!これは、他の皆じゃできない事だけど…お願いできるか?」
「へへっ。私は高いですよ。頭をなでなでしてくれたら考えます」
むぅ。
してやるか。
「ほれ」
頭を二度ほどなでた。
「もう一度してくれたら、やりましょう!!」
絶対だからな…
「絶対だぞ…」
追加でなでる。
「はい!!お役目をしっかり果たします!!」
真剣なまなざしを信用するか…
「美孝さん、性病の治療は?」
朱音さん、サクッと言いますね…
「契約の時にセーフにスキャンして貰って、ここの風呂場で治療でどうでしょう?料理屋榊では広すぎてし難そうですから」
「ありがとうございます」
ううん…
「君たちが、頑張って生きるために背負った傷なんだから…気負わなくていいよ…」
「はい…」
元気出していこうね…
「何を宣言するんですか?」
それはね…
「リーフ、君の足と胸が回復したことの報告と、僕らがラードを救う会として行動を開始することの宣言、そしてその行動をするために皆と契約を結びたいというお願い。そして、恵美さんとセーフと結婚したのでその報告。皆に僕の指先から直接スープを振る舞うつもり、相性値を上げるためにね!!」
「わかりました!!では、皆で、鎧に着替えた方が良いですね?」
ふむ…
「そうしようか。ただし、取り敢えず検討結果を言った後だね。あぁ、恵美さん、奴隷契約は1時間位かかると思うから、ソワソワしなくていいよ!!その間にゆっくり聞いて…飯も一気に店に入るんじゃなく、順番にするから大丈夫だよ」
「あぁ良かった。それなら安心です!!」
うん、恵美さんて基本的には真面目なんだよな…
常識は…
まあね。
育った環境だからね…
恵美さんのせいじゃないでしょう。
瑞木美孝18才
レベル2(16)
体力値780(150)=117000
魔力値782(150)=117300
力888(150)=133200
知力781(150)=117150
俊敏さ783(150)=117450
器用さ786(150)=117900
幸運値783(150)=117450
魅力7890(150)=1183500
風156(150)=23200
水104(150)=15600
火103(150)=15450
土99(150)=14850
光91(150)=13650
称号
貧乳も好き、童貞、心清き者、地母神の養い子、殺害童貞喪失、狩人、精霊の親友、コボルトの天敵、難病の克服者
スキル
超鑑定
他種族言語理解
スキル取得補正
緊急避難
レベル・スキルリセット
収納ポケット
レベルアップ時の魅力値上昇十倍補正
叱咤激励
大声
降霊術
精霊魔法信頼級
交渉・召喚魔法上級
解体・身体強化・範囲観測中級
回復・催眠・風魔法・馬術・火魔法初級
武装レベル:槍13、剣8、投擲19、打撃1、短剣20
妻
リーフ
恵美
セーフ
相性
綱芳(340)さやか(742)恵美(1078)武司(95)玲子(55)朱音(2792)メルー(175)道緒(83)直(101)メアリー(87)燕(89)レモン(83)流々(88)里乃(81)リーフ(3341)奈美枝(203)御影(114)
天河(53)春臣(87)君里(71)秋虎(72)アーサー(285)太陽(79)七海(71)
精霊:風(15,8)水(9,5)火(9,1)土(8,7)光(7,9)闇(11,7)
奴隷
朱音・メルー・道緒・直・メアリー・燕・レモン・流々・里乃・リーフ・御影
天河・春臣・君里・秋虎
設定
一部非表示
やっと書き上がりました。遅くなりまして申し訳ありません。
主に、玲子さんのせいでボリュームがいつもの1.5倍になりました。
楽しんで頂ければ幸いです。