00プロローグ
初めての連載をしてみます。楽しんで書きました。皆さんにも楽しんで読んで貰えると嬉しいです
この街は限界に来てる。
明日からは、さらに飯に事欠く人がかなりいるはずだ。
きっと、餓死者も沢山出る。
努力してみたけど、このやり方じゃ足りないと分かった。
冒険者のとしての仕事なんかをやるよりも、食料としての肉を狩って来なければ、死人の数がどんどん増していくだろう。
ジリ貧だ。
今、決断しなけりゃ…
待つのは屍達の未来。
僕だけじゃない…
沢山の命が屍をさらす未来だ。
僕のことだけに限ってみたって。
装備品を売り払っても、何の意味もない。
そもそも、売ってくれる食料がもう底をつくはずだからな。
珍しい毛色と柔和な眼差しだって言われたから、愛玩奴隷として拾われる可能性が僕にとっての最上の展望か?
いや、いやいや、それが最上ってどれだけ人生投げ捨ててるんだよ。
しかもこの世界じゃ、女性権力者なんて皆無なんだから買われる先は当然、男…。
この剣で喉突いて死ぬべき未来だな。
それも所詮早いか遅いかの違いでしかない。
今のままだったら根本的な解決なんか無理だろうからな。
既に、一度死んだ身だ。
せっかくの異世界に転生してきたのに…
そこまで尊厳を投げ捨てた未来を選びたいとは欠片も思えない。
まぁ、女主人に心から望まれてって話なら少しは考えなくもない。
いや…
僕も男だし。
何て言うか…
それならば男冥利に尽きるってやつだろう?
いっそ、この力を生かして自給自足で主人を養うか。
いや、主人なんかじゃなく、愛せる誰かを…
たった一人を…
守って、食わせていくだけなら、こんなに苦しむ必要も、悩む必要もない。
もちろん、周りは地獄絵図を繰り広げていくわけだけど…
それをするだけの力なら、その程度の力位なら、身につけたからな。
世界を救う…
この街を救う…
なんて…
大それたこと考えずに…。
でも…
でもさ……
それを胸を張って望む意味がどこにある?
などと考えてたらいつもの突っ込みが成された。
「いい加減腹くくりなっ!!助けるんだろ?みんなを!!一時しのぎと抜本的解決の両方を両立するって決めたんだろ!?何を弱気になってるんだい!まさか、またあの記憶が甦って辛いのかい?」
心底心配そうな顔が覗き込む。
僕の大好きな姐さんの真剣な顔だ…
「ちょっと走馬灯をね」
「……っ‼バカだねっ!幻覚みるほど弱りきってるんじゃないよっ!!」
泣きそうな顔が物凄く可愛い!
最っ高だ!!
女神と呼んでも過言ではないだろう。
…というか元女神なんだけどね。
今の彼女は僕だけのコーチング妖精。
俺のサポートをしてくれる素敵な子さ。
全く触れねぇけどな…
ホントに地獄だ。
こんなに…
手の届くほど近くにいるのにな。
「さて、じゃあ…まぁ行ってみますか」
「頑張りな、あんたなら良いって言ってくれる子もきっといるさ。あれだけ努力してレベルアップを重ねたじゃないか」
「あー。自信ないな。話すのが苦手で生前も彼女なんていなかったからさ」
「あのな!今、生きてるのにそんなことを言わないっ!!生きるための努力をしない奴は嫌いだよっ」
顔を真っ赤にして睨まれた。
可愛いなぁ。
じゃあ致し方ない…
浮浪者の女の子に声をかけに行きますか。
性奴隷になって一緒に世界を救う事…
そのことを前提にお付き合いしてください…
って言いにね。
そして…
成功したら、デートして仲良くなって…
結ばれることで力を手に入れる。
そこからやっと僕の異世界の旅が本格化することになる。
まずは、生きなくちゃ…
生き残らなくちゃ始まらないからね。
僕も…
そして、みんなもね。
この後、本編を投稿します。すぐまた会えると幸せです