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女難期の少年の話、翔平

学園祭の次の日である。俺は持ってきた荷物を詰め込む。最初はしっかり入っていたのだが出して広げたりしていたせいで中身が膨れ上がりチャックがしまらない。それを無理やり圧縮させてバッグにしまう。


「翔平遅いわよ」

「悪い」


バッグを抱えて誰もいないリビングを後にする。その前に振り替える。少し名残惜しい。せっかく手に入れた女の子ひとつ屋根の下の空間。いろんなことをした。優華のギターを聞いた。優奈ちゃんと一緒にゲームをした。優樹のパンツを見た。ミッキーさんの攻撃力のある胸を見た。最高の場所だった。


「何か変なこと考えてない?」

「考えてない考えてない」


たまに優樹がエスパーじゃないかなって思う。

玄関にはみんないた。優美さんに優華に優奈ちゃんにミッキーさんもいた。


「お兄ちゃん。本当に行っちゃうですか?」


天使の悲しい視線に俺は見るに堪えない。でも、正直言って優奈ちゃんとはももうゲームしたくない。


「し、仕方ないよ。ここは俺の家じゃないし」

「そうよ、優奈。翔平君には帰るところがあるの」


優奈ちゃんを優美さんがなだめる。何もこれが根性の別れではない。いつだって会えるのだ。ただそれを邪魔する奴がいるけどな。例えば・・・・・・必要ないか。


「別にあたしはあんたなんていなくても・・・・・・」

「正直じゃないね」

「ミッキーうるさい!」


俺からすれば、その言い方はツンデレで最高なんだけどな。


「お姉ちゃん。私たちは大丈夫だから。その安心していいよ」

「分かったわ。頼むわね、優華」


そういって優美さんは優華の頭を優しくなでる。その光景を見ているとなんだか心が安らぐ。いつもだったらあんな女の子同士の光景を見ていたら興奮して制御不能になる。

優美さんが荷物を持って待たせているタクシーに乗りに乗り込む。俺もその後を追うようにタクシーに乗る。


「しょ、翔平君」

「ん?」


優華だ。


「・・・・・・・その・・・・・・・ありがとう」


そう俺に笑顔で告げた。その光景は優奈ちゃん以上の美景で天使のようだった。いつものように前髪で顔を隠す髪型だが髪の隙間から見えるきれいな瞳。眩しすぎて直接見ることが出来なかった。それから込み上げてくる優華に対する気持ち。優華は女の子として好きだ。というか女の子だから好きだ。それ以外の何かが込み上げてきた。超貴重なレア顔だったことは確かだ。でも、俺の目はそれをしっかり見ることが出来ないでいた。女の子に対する返しを完璧にしていこうと神に誓っていた俺が、


「お・・・・・おう」


としか返せなかった。

そのお礼はきっと学園祭でのお礼だろう。いつもなら優美さんに言われないとやらないようなことだっただろう。あの学園祭で優華は大きく変わった。たった数週間しか見てこなかったが確かに分かる。優華は大きくなった。

タクシーの扉が自動でしまり俺の家、安那家に向けて走る。


「変わったな~。知らない間に」

「そうですね。いつもいっしょにいるからこそ気づかないものですよ」


俺も気付かなかった。

子供成長。母を早くに亡くしている俺には感覚がないものだ。おやじにすら言われたことがない。助け合い成長する。家族とはそういうものなのだろうと綾見家にいて思った。家族のためなら人を騙すことに加担する。自立のためなら全員で協力する。


「家族っていいですね」

「たくさんいると大変だけど、その分たくさんの幸せで返ってくるのよ」


俺とおやじで二人で過ごした約13年間。俺も探せばきっと何かよかったことがあるかもしれない。母親がいない環境、女の子がいない環境を嫌な環境だと思っていたが、俺の知らないところでたくさんの幸せがある。これからそれも探していこうと思う。

5月の心地よい日差し。もうすぐ梅雨がやってくる。その長いトンネルのような梅雨を超えると夏がやってくる。俺の女難期もいつか晴れる。いや、ひょっとしたらもう女難期はとっくに終わっているのかもしれない。俺が知らないだけで・・・・・・・。

という感じに終われればいいと思ったのだが実はまだこの物語には続きがあるのだ。


「だからたくさんいたほうが楽しいよ。この子もたぶんそう思うわよ」

「・・・・・・・・この子?」


何を言っているの?何でお腹を押さえてるの?


「あれ?翔平君お父さんから聞いてないの?」


何を?


「私のお腹の中にいるのよ。妹か弟が」


世界が止まった。


「・・・・・・・・・・ワンモア?」

「妹か弟が出来るわよ」


つまりそれはおやじと優美さんが・・・・・・合体して・・・・・・・。


「タクシー!止めろ!」


俺の怒鳴り声にタクシーの運転手のおじさんは慌てて路肩に止める。


「あのくそおやじやりやがったな!生かしておくわけにはいかねー!」

「ちょ、ちょっと翔平君!」


タクシーから飛び出す。


「おやじ!絶対殺す!」


そう叫びながら町を走る。

俺はまだ女難期を抜けてないみたいだ。

俺の慌ただしくて楽しい日常はまだ続く。

以上で『俺は女の子と絡むのが難しい時期にある』は終了です。

最後まで読んでくくださった方ありがとうございます。


とある小説大賞の2次に落選して1カ月が過ぎました。3次通過の発表が最近ありもしかしたらあるんじゃないかな~っというほぼ無の可能性を信じたのですが、まぁ、所詮無は無でした。2次の時点で名前がないんだからあるはずがないです。


ともあれこちらの作品には選評が届く予定なのでどんなのか楽しみです。

何か気になる点がありました、感想等で指摘してください。

最後までお付き合いありがとうございます。

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