目線、優美
メールがあったのはしばらく帰れないと日本に連絡した次の日のことだった。
相手は翔平君。初メールだからからちょっと楽しみだったけど内容はよく分からなかった。『あなたのために優華が今世紀最大の勇気を振り絞っています。だから、帰ってきてください』というものだった。気になったのは私のためにというものと優華が最大の勇気を振り絞っているというところだった。優華は行動的な子ではないことは姉である私がよく分かっている。妹の中で最も心配な子でもある。人見知りでなかなか友達もできない。私に頼りっぱなしなところもある。
そんな優華が何かしようとしている。メールには期限も書いてあった。
多くの興味や妹たちが心配でもあり、私は日本に帰る決意をした。
隣の国に移動して日本行の飛行機を草の根を探すように探してなんとな変えることが出来た。その間は非常に忙しく日本に連絡できないでいた。
たまに翔平君から現状を聞くメールが届いた。そのメールの内容は優華たちにも伝わるだろうと思っていたから定期的に送っていた優華のメールもしばらく送っていなかった。空港に到着後、翔平君に連絡したら期限の時間が遅れているとメールが返ってきた。思ったより遅れたから無理かなと少し諦めていた。でも、まだ間に合うと分かって意地で行くことにした。タクシーを拾って指定された場所。優華の通う東高校。私の母校へ向かう。
「ごめんなさい。私のわがままに付き合ってもらって」
「俺は別にかまわない」
私の主人は恋人の頃から私のわがままによく付き合ってくれた。その度に文句をひとつも言わなかった。その姿が好き。
タクシーが東高校門前にやって来た。そこには翔平君がいた。時間を確認しながらそわそわしている。タクシーが校門の前で止まると翔平君が小走りでやって来た。
「久しぶり、翔平君」
「優美さん急いでください!おやじ!優美さん借りるぞ!」
「おい!翔平!」
翔平君は私の手を引いて飾られた校門をくぐって校内を走る。
そうだったわね。東高校はこの外れた時期に学園祭をやるんだった。忘れていたこの懐かしい感覚に浸りながら翔平君は一直線に体育館に向かう。
「翔平君!ここに何があるの!」
「とんでもないものが見れますよ!」
体育館に入るとそこにはたくさんの人が集まっていた。ちょうどステージ発表の最中だった。ざわついた会場は暗闇に支配されている体育館にひときわ明るいステージ。そこにいた人物を見て一瞬自分の目を疑った。
「間に合いましたね」
優華がいた。あの目立つことを避ける優華が誰よりも目立つ場所にいた。
「しっかり目に焼き付けてください。優華の勇姿を」
優華は困惑しているのがよく分かる。足が震えているのがここからでも分かる。
なんであんなところに優華がいるのか謎だった。
「優華!」
翔平君が叫ぶと会場の人たちがみんなしてこちらを向いた。
そして、私たちの存在を優華も気付いた。すると固まっていた優華が動き出した。
そこで私がここに呼ばれた理由を初めて知った。




