シュミレーション学園祭版、翔平
安那翔平の女の子ナンパシュミレーション学園祭バージョンその1。
この町に引っ越して来た当時は適当な女の子に声を掛けていたがその度に引かれて逃げられていた。原因を考えれば、俺の押しにくる態勢が嫌だったのだろう。その点はしっかり反省している。
まだ、原因があるとすれば真東高の制服を着ていたというのもあるかもしれない。裏に恐怖のジャッジメントが存在するからな。でも、今は大丈夫だ。今までの失敗は経験値だ。すべて改善されている。今は私服だから大丈夫だ。
これらの点を改善しつつ学園祭の利点を生かした女の子のナンパの仕方。それは模擬店だ。喫茶店方式なら俺が押しに行かなくても向こうから話しかけてくる。だから、自然と会話ができる。そこから俺次第だ。
「メイド喫茶はどうですか?」
「ああ、どうも」
男子生徒に渡されたビラ。そこにはメイド喫茶の案内が書かれていた。ナイスタイミングだ。渡されたのが男ではなくてメイド服を着た女の子なら最高だったのだが今はそんな小さいことを気にしている場合ではない。だって、これからメイド服姿の女の子に死ぬほど会えるのだから。
「行くぞー!」
メイド喫茶は校舎の2階らしい。急行だ!
俺史上類を見ないスピードで走り校舎の中に入り階段を上り2階に上る。廊下を見渡す。メイド喫茶の面影は存在しない。ビラを確認する。校舎を間違えた!だが、この渡り廊下を渡った先にある!
走る走る。校舎に入ると華やかな飾りをしている。そこがメイド服姿をした女の子のたくさんいる楽園。きっと慣れない服装でみんな顔を赤くしてぎくしゃくしながら接客しているに違いない。そんなかわいげな姿を俺は見たい。
さっそく中に入るために扉を開ける。
「いらっしゃいませ!」
そこにいたのはメイド服姿をした『男』だった。
「お呼びじゃねーんだよ!」
そこは冥土喫茶だった。
話によれば、クラスで出す模擬店をんメイド喫茶にはしたものの女性陣の猛反対を押し切ってメイド喫茶にしたらしい。準備やメニューのすべてを男子たちがやり女性陣は接客のみという約束をしたらしいのだが、俺が見たように女性陣は全員逃げ出したそうだ。予算を組んで店をやっている以上やるしかない。だが、案内にはメイド喫茶として生徒会に提出してしまっていた。変更が出来ず、男どもが仕方なくメイドをやることになったらしい。かなりのネタになって来客は思っているほど少なくないらしい。どいつもこいつも友人の醜態のコスプレを見に来ただけらしい。ちなみに撮影は禁止らしい。誰もほしくねーよ。
というわけで俺のシュミレーションその1は無残にも失敗に終わった。でも、学園祭ならまだまだ女の子と話せる機会がある。
シュミレーションその2で行くぞ。その2はやることはその1と大差ない。ナンパするように話しかけるのではなく何か役割があって話すしかないような子と話す。さっきは喫茶店だったがそれはあきらめよう。この東高の女子生徒は消極的な子が多いようだ。優華しかり、さっきのメイド喫茶のクラスの生徒しかり。そう考えるとこの東高祭の多目的案内所にいる女の子にさりげなく「トイレはどこにありますか」と訊いてきっかけを作りそこから関係を広げていく。今度はうまくいくはずだ。
さっき放送で迷子の案内で校舎の昇降口横にあると言っていた。行ってみるぞ。
人ごみを彼に避けながら昇降口に向かう。そこにテントの下に長机とパイプ椅子が配置されていてそこに数人の生徒が待機していた。述べ3名。全員男。
あそこに手榴弾を投げ込みたい。いや、落ち着け。いくらなんであの3人がここをずっと任される訳がない。彼らも学園祭をエンジョイしたいが仕事で回れずイライラしているに違いない。きっと、交代のメンバーの中に女の子がいるはずだ。それを信じて張ってみる。
数分後に昇降口から生徒が出てきてテントで待機する生徒と軽く会話すると交代した。よし!その中に女の子は・・・・・・・いない。
交代の人数も待機していた人数と同じ3人。全員男。
神様そこにいるんだろ?ちょっとこっちに面かせよ!
このままあのテントで女の子が変わるのを待っていたら優華のステージ発表になってしまう。ここはあきらめて適当な模擬店に入って女の子と話すしかない。でも、模擬店にいる女の子は客と楽しく長く話すことを目的としていない。物売ることが仕事なわけだ。そうなると俺が無理やり話しかけることになる。そうすると失敗する確率が高い。
いや、逆に話しかけやすそうな女の子を探すというのはどうだ?
例えば、模擬店ではなく展示をしているクラスもあるだろう。その展示品の飾られている教室には必ず誰から人が待機しているはずだ。展示品何て見に来る人なんて一握りだ。俺だったら絶対に見に行かない。その待機している女の子は絶対に暇なはずだ。つまり、誰かと会話でもいいから暇をつぶしたいはずだ。それならナンパと言わないで済むぞ。なかなかいいじゃないか!俺!
女の子のことになると頭の回転力が100万馬力くらいアップするみたいだな。さて、そうと決まればさっそく行くぞ。
ここに入る前にもらったパンフレットには校舎の中にいくつかの展示品が飾ってあるクラスまたは部活があるみたいだ。割り箸タワー、空き缶アート、生け花、東高の歴史、銅像、はり絵、スクラップアート、などなどと正直どれも見る気はない。俺の見たいのは暇そうにしているかわいい女の子だ。
再び校舎に入る。まずは割り箸タワーだ。パンフレットにさっきの冥土喫茶の隣のようの前を通るのは何となく嫌だ。理由をつけるとしたらまた来たのか?趣味の悪い奴と思われるのが嫌だからだ。というわけで遠回りする途中に空き缶アートがある。早速向かう。すると教室の前に机が配置されていてそこには確かに人がいた。まぁ、男なんだけど。
隣は東高の歴史だ。その隣の受付は教室の入り口にあった。そこにいたのは暇そうにあくびをする男だけど。
別に期待が外れてみんな男ばっかりだからって別に悲しくなんかない!逆に展示だかと言って完全放置ではないということだけ分かっただけでも収穫だ。他にもたくさん展示はある。あきらめるな翔平。このひとつくらいは女の子がひとりで受付をしているかもしれないぞ。行くしかないと!
次は生け花。これは華道部が部活として行っている展示だ。さすがに華道に男はいないだろう。と思っていたけど、受付をしていたのは男だった。
「いや!なんでだよ!」
思わず突っ込みを入れてしまった。特にやることもなくボーっとしていた受付男子を脅かせてしまった。
「あのなんです?」
「あのさ。君は華道部なの?」
聞かずにはいられない。受付男子は首を振った。
「いや~、僕の彼女が代わりに受付やってくれって頼まれまして」
「女難期パンチ!」
思わず受付男子を殴り飛ばした。いかんいかん。謹慎中の俺がこんなことをしてしまったら退学もおかしくない。いくら女の子に会えなくてイライラしていてそれが彼女持ちだからっていきなり殴ってはならない。これじゃあジャッジメントとやっていることと変わらないじゃないか。俺は奴らとは違う。
「痛っ。何するんですか」
「女難期パンチ!セカンド!」
いっしょだった。
再び受付を殴って次の展示のある教室に向かう。
これもまた当たり前のように男。とりあえず、殴って次の展示のある教室に向かう。
次は銅像が飾られている教室。受付は教室の中にあるようだ。教室を覗くとそこにはセーラー服のスカートのひらひらが見えた。ついに・・・・・ついに女の子と出会えた!と思ったのだがよく見るとセーラー服のコスプレをした『男』だった。
「いい加減にしろよ!コンチクショー!」
受付に置いてあったペン立てを教室の真ん中に展示されている銅像に向かって投げつける。銅像はペン立てによって簡単に吹き飛んだ。ペン立てが当たる際に白い粉が舞った。銅像とか書いてあったが素材は発泡スチロールのようだ。ちなみに受付をしているコスプレ男は寝ていた。
「次!」
後で冷静に考えると俺はただの文化祭荒らしだよな。
次の展示ははり絵の展示だ。受付には確かに人がいた。今までとは違い複数だ。男と女。カップルのようだ。
ああ!楽しそうに会話してやがるよ!
「裁きの時だ!」
「わぁ!なんだ!」
近くにコスプレ用であろう黒装束が落ちていたので拝借してジャッジメントとして彼氏を裁いて次の展示へ。
スクラップアートの展示の教室。そこの受付には女の子の絵の看板。
「受付すらいないのかよ!」
看板を蹴り飛ばそうとしたがすれすれで止まった。だって女の子に手を出すなんて無理だよ。それがいくらアニメの調の絵でも・・・・・・。
「無理だー!」
スクラップアートを代わりに蹴り飛ばす。スクラップアートがただのスクラップになってしまった。この時の俺は取り乱してしまってそのことに関して気にしてはいなかった。
最後は冥土喫茶の隣にあった割り箸タワー。どうせここも俺の望むようなことは起きない。もう、諦めていた。だが、それは早かった。そこにいたのは女の子だ。東高のブレザーを着た女の子だ。しかも、それなりにかわいい女の子じゃないか!
ついに俺にもチャンスが!
「交代っす」
「どうも」
交代がやって来た。しかも、男だ。
もし、俺が冥土喫茶の前を通るのに抵抗していなければ、あの受付の女の子と今頃楽しくお話して仲良くなって友達になってゆくゆくは彼女になっていたかもしれないだろうが!
「あれ?また来たんっすか?趣味悪いっすね」
隣の冥土喫茶から出てきたメイド姿の男に言われた。
「うるせー!」
その後、しばらく記憶がない。
シュミレーションその3だ。その1、その2はことごとく男によって失敗に終わっている。やっぱり俺が今まで女の子に絡むことが出来ないのはジャッジメントのせいじゃなくて、俺はただ女難期にだったからに過ぎないからのようだ。女難期なんて終わったと思っていたんだ。優美さんが家にやって来たときから急に春が訪れたように俺の周りに女の子が集まるようになった。いや、春じゃなくて秋かな。出会う女の子が全部親戚になってしまったから。でも、俺の女の子過ごす時間がここ数年で類を見ないほど長い。記録を取り出してから最も長い気がする。これはきっと女難期が終わりを告げる予兆ではないかと俺は思っている。もしかしたら勘違いかもしれないが俺はまだあきらめない。
これが最後の妄想シュミレーションだ。優華のステージ発表の5つくらい前の演目にある東高ミスコンテスト大会。時間的にはもう終わっている可能性もあるが撮影会有りと書いてある。つまり、写真を撮ってもらうついでに話しかけて仲良くなろうではないか。しかも、ミスコン出れるレベルの女の子が集まっている。はずれは絶対にいない。
「行くぞ!」
ステージ発表を行っている体育館に急行する。俺はこの学園祭でひたすら走り回っている気がする。でも、俺は必要なことだ。まだ見ぬ女の子のためなら行ってやるよ!
「うぉぉぉぉ!」
後で振り返ってみると俺って女の子が絡むと本当に元気だよな。大人になった俺はこの時の俺を一体どんな風に思うのか。哀れみだけが残りそうだ。
さて、そんなこんなで体育館に到着した。入り口近くでは携帯電話を片手にしている生徒の束が出来ている。きっと、そこには俺の目的である学校位置の美人な女の子がいるに違いない。
「おら!どけ!」
人ごみを押し込みながら突っ込んでいき、列にどんどん割り込んでいく。人の圧力で苦しいが今はそんなことを言っている場合じゃない。そこに女難期の終わりを告げる女の子がいる。あきらめてたまるか!
人の間を抜けるだけ抜けてそしてついに先頭に到達した。そこにいたは、
「おいおい、落ち着いてくれよ」
男だった。
「落ち着いていられるか!」
男を蹴り飛ばす。そいつの格好をよく見るとそいつは結構イケメンでまるで白馬の王子様のような格好した服装の上からミスコン男性部門優勝というタスキをかけていた。そうミスコン間違いをした。で、その人だかりをよく見ると女子生徒がほとんどだった。つまり、俺は女の子の束の中に一人突っ込んだことになる。どこか柔らかいところに触ったかもしれない。
「チクショー!」
取り乱していたせいで女難期を抜ける以上のチャンスを逃してしまった!
『邪魔だからどけ!』(女子生徒の皆さん)
俺は弾き飛ばされる。再びミスコン男性部門の優勝者と写真を撮りたい女の子の束が出来た。もう一度突っ込んでどさくさに紛れて女の子の柔らかいところをさわりに行こうかな。いやいや、女難期である俺がそんなことをしてみろ。一生女難期で過ごすことになるぞ。それでもいいのか?いいわけない。
「つか、女の子の方のミスコンは?」
「もう、終わってるよ」
「マジで?」
「冷静にパンフレット見てみなよ」
そう言われて冷静にパンフレットを見てみる。ミスコン男性部門は時間帯的にさっき終わったようだ。女性部門は1時間以上前に終わっている。ミスコンと書いてあって女の子ばかり考えていた。もっと、冷静に見ていれば・・・・・・。
「はぁ~」
もう死にたい。神様は俺に女の子とお話しすることすらも許してくれないのか?
「どうしたの?急に?」
「気にしないでくれ。どうもありがとう。えっと」
俺を冷静にしてくれた親切な人に俺を言おうとするとそれは知り合いだった。
「ミッキーさん!」
「どうも。翔平君」
しかも、普通のミッキーさんじゃない。いつもとは違い髪は束ねられていて花の飾りがあり華やかになっている。見た目もすでに華やかだがこういう華やかな髪もいい!そして、なんといってもいいのがその服装!白と黒を基調とした明るめの衣装。ふりふりのついた、言うならば俺の求めていたメイド服だ!スカートが異常に短いし、胸元が大胆にも出ている!今までの出来事が全部パーにできるほどだ。最高だ。
「どう?翔平君?」
「最高です。持ち帰りたいくらいです」
「ありがと」
ああ、俺は学園祭でこういうのを見たかったんだよ。ミッキーさんは分かっている。これが学園祭なんだ。
さて、ミッキーさんがこの格好をしているということはどこかでメイド喫茶的なものをしているのか。このパンフレットにはあの男しかいない冥土喫茶しか書かれていない。メイド喫茶と書かれていないメイド喫茶が存在するのかもしれない。ミッキーさんに即座に聞く必要がある。
「ミッキーさん。その格好は?」
「ん?ステージ発表の衣装だよ」
残念。メイド喫茶の衣装ではないのか。そうだよな。バンドのステージ発表の衣装だよな。ミッキーさんがただの制服で発表をするようには見えないよな。ちょっと待てよ。冷静になれよ。安那翔平。ミッキーさんがこんな露出の多い衣装を着ているということは。
「もしかして、優華も同じ服を?」
「さすがに優華のはちょっと露出が少ないのを着させてるよ」
だよね。そうしないとただでさえ人前で歌うのが無理そうだしね。
「それにスカートが長いと私の場合ドラムで足元見えないかた不便なのよね」
それでそんな異常な短さのスカートなのか。ミッキーさんがドラムで本当によかった。綾見家にいてもこんな生足を見ることはできない。細くてすらりとしている。触りたい。
「翔平君。ここは学校だよ」
「すみませんでした!」
そうだ。ここは学校だ。どこにPTAがいるか分からない。どこに見回りをしている風紀委員がいるか分からない。どこに魔王の優樹がいるか分からない。ジャッジメントがいるか分からない。
「そうだ。翔平君にお願い。訊いてくれたら学園祭デートしてあげる」
「我が命に変えても叶えてあげます!」
「優華が逃げたの」
予想してた。
「捜索よろしくね」
「分かりました」
「たぶん、どこかに身を潜めてるともうから」
「どうして?」
「ステージ用の衣装を着てるから。着させるまではよかったんだけど、その後涙目になって逃げだしてね。追いかけようとしたらこの格好だから人だかりができて捜索どころじゃないの」
なるほど。
「お願いできる」
「もちろんです」
「ちょっと機材トラブルでステージの時間が遅れてるけど、時間までには戻るように言っておいてね」
「了解です!」
一足早く優華のメイド服姿を見ることが出来るのか。ここは俺の女の子を探すために作られたと言ってもおかしくない鼻を使って探そうじゃないか。
「じゃあ、後でね」
そういって人目を避けるように体育館の入り口に入って行った。そこには関係者以外立ち入り禁止と書いてあった。きっと、暴走する俺を見てわざわざ出てきたのだろう。
それにしてもいい情報を手に入れた。そうかステージの演目が遅れているのか。そうなると何とか間に合うかもしれないな。携帯を取り出してそうメールを送る。相手はまだ伏せる。俺の計画を秘密にするためだ。でも、肝心の優華がいないと意味がない計画でもある。
「さて、優華を探しに行くか」
それにしてもミッキーさんのスカート短かったなぁ〜。スカートを翻す時に中もばっちり見えた。花柄だった。




