隣に住む悪友、和成
俺の実の母さんの安那志奈は俺の3つの時に病気で死んだらしい。おやじから聞かされた。小学生の低学年の頃に家に母親がいないということに違和感を覚えたのはそのころだ。それでおやじに聞かされた話と写真とかすかな記憶しない俺は母さんがいないという事実を苦だとは思ったことは一度もなかった。だから、母さんの死について聞かされた時も涙は出なかった。
俺の家庭の中で母さんはいなくても何の違和感もなかった。逆に家庭内に異性がいるという事実に少し戸惑いを覚える。俺が女難期に入ってしまったのは母親という異性に絡んでいなかったのが大きかったのかもしれない。肉親でも異性に対する対応などを少なくとも知ることはできただろう。また、どうしたら女の子が喜ぶか。それは同じ女である母に聞いた方がむさくるしい男である俺が考えるより的確な選択だっただろう。
「いってらっしゃい」
「・・・・・・は、はい」
どうしてもぎくしゃくして仕方ない。
朝から慣れないことをしたせいか体全体が重い気がする。特に頭が重い。頭痛が止まらない。慣れない異性との絡みとその異性がおやじの婚約相手だという目を向けたくもない現実に頭痛が止まらない。
「よ!翔平~!」
「和成か」
「いつも以上にテンションが低いぞ。何かあったのか?」
ありすぎて脳処理が追いついていない。オーバーヒートしている。誰か冷却してくれよ。
ちなみに俺に話しかけてきたのは隣に住む和成だ。テンションは高め。乗りは完全に男子校。よって、こいつも俺と同様に女の子との絡みが少なく悩んでいる。というか男子校に通う奴ら全員の持つ悩みだ。女の子と話す機会がない。そして、女の子と仲良くしているような奴を弾圧するような奴がたくさんいる。これも女の子が寄ってこない理由だ。
「なぁ、和成」
「どうした?」
「もし、朝起きてきたら台所に見知らぬ美人さんがいたらどうする?」
「身の安全を確保する」
解答がおかしい。
「もしかして翔平にそんなことが起きたのか?」
「金槌を持って話すな」
「いや、翔平が夢の中にいるのかと思って」
そういって金槌をバックの中にしまう。ちなみに俺の通っている男子校は真東高校という名前で普通科だ。工業高校じゃないぞ。なのに和成はバックに金槌を入れている。これを普通と言っていいのか?
「目を覚ませよ。女難期のお前に空から女の子が落ちて来る並みに現実離れしたことが起きるわけないじゃないか」
「・・・・・・・そ、そうだな」
今は女難期になれているが、女難期に入りたての時期はもう空から女の子でも落ちてこないかなと何度も考えたことがある。今となってはいい思い出だ。
だが、その空から女の子が落ちて来る並みの奇跡が俺の家で起こってるんだよな・・・・・。
「顔色悪いぞ?」
和成。普通に過ごしている分には対して害はない。だが、こいつにここだけの話というものが通用しない。すぐに周りに言いふらしてしまう。もし、俺が18歳の女の人と同じ屋根の下で暮らしていると知ったら俺の命が危ない。女の子に飢えている奴の巣窟であるあの学校には彼女が出来た奴を徹底的に痛めつけてカップルを破綻させるという恐怖の組織がある。ばれたら俺もその組織の餌食だ。
「テンションをあげよう!」
「うるさい。黙れ」
俺は朝から機嫌が悪い。




