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和成の彼女、有紀

席は意外にも隣だった。気付かなかった。どうやら、俺がケーキを取りに行っている間にカップルが入れ替わったようだ。そのカップルが和成だったということのようだ。とりあえず、


「和成死ね」

「翔平死ね」

「落ち着きなさいよ」


優樹に注意される。俺と和成は一旦休戦。でも、きっと後でどちらかが殴られることになる。それはたぶん俺だろう。


「珍しいでしょね。優樹しゃんが男の人を連れてこんなところにいるなんて。ところでこの方は彼氏しゃんですか?」

「そんなわけないでしょ!」


優樹が全力で否定してくれる。悲しいようで傷つくが今はそうやって否定してくれて助かる。和成に俺と優樹が異性として付き合っていないということを見せしめることが出来る。席もくっつけてソファーに俺と優樹が横に座り、ゴミ(和成)と有紀さんが隣同士で座っている。俺の正面にはゴミがいるという感じに座っている。店はより多くの客を収容するために隣同士は狭い。優樹と密着していてドキドキする。優樹の太ももと脇腹の体温が俺に伝わっている。最高の瞬間だが、目の前の和成がそれを逃すはずがない。

フォークを投げる姿勢になっている。俺の周りには鋭いものを凶器にする奴ばっかりだ。だが、俺もやられっぱなしではないぞ。


「有紀さんはいつごろから隣にいるゴミと付き合っているんですか?」

「誰がゴミだ!」


ゴミはしゃべるな。


「一年経ちましゅね」


和成に殺意がわいた。

こんなかわいい女の子と一年も付き合っているのか。今ならジャッジメントの気持ちが分かる。でも、俺は奴らとは違う。理不尽に人をいじめるようなことはしない。


「和成は幸せそうだな」

「フォークを投げる態勢になってるぞ」


おや?おかしい?いつの間に?


「それにしても以外よね。有紀に彼氏がいるなんて男といっしょにいるイメージ全くないのに」

「人は見た目じゃないでしゅよ」


見た目は優華タイプかもしれない。あまり口数の多くない大人しい感じはするが、かなり話慣れている感じがする。振る舞いや口調からしてお嬢様の予感がする。俺の女の子に対する観察眼によれば、優華とは違うようだ。


「和成しゃんとはいろいろしていましゅ」

「例えば?」

「遊園地行ったり」

「ちょ!待て!有紀!」

「お前は黙ってモンブランでも食っとけ」


俺は丸々モンブラン一個を和成の口の中に押し込み黙らせる。


「他には?」


代わりに優樹が聞いてくれた。男がいると知らなかった同級生が何をしていたのか興味があるようだ。


「ご飯食べたり、買い物したり、旅行したり。そうそう、夏にはお泊りで海にもいましたし、冬もお泊りでスキーに行ったりしたでしゅ」


そうか。お泊りでか。


「有紀それ以上しゃべるな」

「翔平そいつ黙らせて」

「言われなくても」


ショートケーキを和成の口に押し込む。

そういえば、和成で思い出した。


「前に俺が和成にラブホに行ったって言う嘘をついたんだが」

「うほはっはんはい」


何を言っているのか謎なので無視しよう。


「それはマジだったりしないよな?」


俺と優樹はふたりで有紀さんの反応を見る。


「・・・・・・・・・・・ポッ」


急に顔が赤くなった。


「ねぇ?」

「なんだ?」

「この人類のゴミをどのくらいの強さでければいいかしら?」

「全力」

「了解」

「了解じゃねーよ!」


ケーキを全部飲み込んで全力で否定してきた。

まぁ、優樹の本気の蹴りでジャッジメントのひとりが気絶しているからな。


「俺は有紀にそんなことしてないぞ!」

「激しかったでしゅ」

「優樹。つま先にフォークを装備すれば、殺傷能力が上がるぞ」

「なるほど!」

「なるほどじゃねーよ!」


またしても全力で否定。いちいちうるさい奴だ。


「激しかったって言うのは・・・・・・そう!あの日は雨が激しかったんだ!」

「その雨といっしょに私の純情も流れていきました」

「最後の晩餐だ。よく噛みしめて食べろよ」

「あたしのチーズケーキあげるから」

「待て待て待て待て待て待て!」


何度目の全力の否定。こいつも必死だな。


「有紀も嘘つくな!」

「私は和成しゃんに女の子のすべてを捧げたつもりでしゅよ。・・・・・・・・・・処女とか」


有紀さんは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言った。これはあれだな。


「殺そうか?」

「殺した方がいいわね」

「待て!そんな生々しいことを言うな!」

「今回ばかりは気が合うな、優樹」

「同感ね。あたしもよ」

「俺よりも女の子とそんな羨ましいことをしている和成なんてこの世にDNAも残らないように苦しめて殺してやるよ」

「まだ中学生の女の子を騙してそんなことするなんて犯罪よ。そんな極悪性犯罪者は生きる価値なんてないわよ。死になさい」

「お前らひどくね?」


ひどくない。極普通だ。

とりあえず、俺は両手にフォークを構えて、優樹は蹴り技が出しやすいように移動する。


「待て!他の客に迷惑だろ!」


何今更常識的なこと言って逃れようとしているんだ?

もう遅いぞ。


「どっちが先に殺るの?」

「漢字の使い方!」

「う~ん。どっちの方が苦しむかな?」

「悩むところおかしいだろ!」


いちいちうるさい奴だな。


「先に和成しゃんのお友達の方がいいと思いましゅよ。優樹しゃんの蹴りの方が強力で恐怖心が強いともうからでしゅ」

「なるほどな」

「有紀はなぜ奴らの助言をしている?お前は俺の味方じゃないのか?」


なるほど、やっぱりお前の彼女だな。よく和成のことを分かっている。


「じゃあ、俺から」

「ちょっと待て!」


よし、では死ね!和成!


「あの~。お客様。他のお客様の迷惑になるので・・・・・・・」


店員に止められてしまった。俺と優樹は仕方なく手を引くことにした。俺たちはジャッジメントとは違って自重というものがあるのだ。

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