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女難期脱出?、翔平

優樹に恋人になってと言われた。

これはあれだろ。告白だろ。優樹は強がりでツンデレなところとかがある。だから、普通に俺のことが「好きです付き合ってください」とすんなり言えないのだろう。

でも、すんなり恋人同士だよと言っている。何でツンデレなのに普通に付き合おうと言っているのかさっぱりだ。一体優樹の中で俺の印象が一体どんな風に変わったんだ?謎が謎を呼ぶぞ。

それに俺と優樹は叔母と甥という関係だ。それは優樹も分かっているし俺ももちろん分かっている。だから、優樹を恋人の対象にしないように精神力で欲望を押さえている。これって結構大変なんだぞ。法律上は親戚だが血筋上は赤の他人だ。そんな赤の他人の女の子が目の前でパンツを見せて来るんだぞ。俺が今まで優樹に好意を抱かなかっただけでも俺に栄誉を送ってほしいくらいだ。

だが、俺の努力もむなしく優樹は俺のことを好きだと言ってきた。しかも、恋人になってくれときた。どうする俺?これを何の抵抗もなくOKを出せば、法律的にはやばいが女難期は抜け出せる。でも、良いのか?近親相愛になってしまうぞ?いや、それもそれでかなりハラハラしていいかもしれない。障害が大きいほど、ふたりの間の愛が深まるとかいうじゃないか。法律という壁を越えればきっとうまくいきかもしれない。自信もないし、女の子とどう接すればいいのかも経験値が足りない。でも、きっと・・・・・・・。


「きっと君を幸せにする」

「・・・・・・何言ってるの?キモいわよ」


・・・・・・・・・・・・・あれ?

さっきまで赤面していた優樹はだいぶ落ち着いている。彼氏が出来たんだぞ。喜べよ。彼氏はウサギみたいに寂しいと死んじゃうぞ。


「あんた話聞いてた?」

「俺と優樹が恋人」

「自分の都合のいいところしか聞いてないのね」


仕方ないだろ。そういう耳なんだから。


「いい。あたしとあんたは恋人という設定よ」


設定?


「どういう設定?」

「頭大丈夫?」


自信ない。


「だから、今並んでるのはケーキバイキングの店よ」

「そうなのか?」

「さっきも言ったわよ」


悪い。その時は優樹に告られてそれからどうしようか考えていて聞いていなかった。


「普段は高いから行かないんだけど、今はカップル限定でケーキ半額食べ放題よ!」


急に目をキラキラとさせて俺に攻撃する。


「だから、男が必要だったと?」

「そう」


だから、俺を誘ったと。カップルを装うためにとりあえず適当に男が必要だったと。ジャッジメントが壊滅中でよかった。こんなカップル限定の店に入っていることを知られたらマジでこの世にいない気がする。

そうか。あれは告白じゃなかったのか・・・・・・・・。まぁ、そんなことだろうとは思ってた。女難期の俺にこんな簡単に女の子に告られるはずがない。


「俺でよかったのか?」

「なんでよ?」

「空手部の部員でもよかったんじゃないか?」


空手と訊くと男がたくさんいるというイメージがある。なんでわざわざ距離のある真東高校まで俺のことを迎えに来たのか謎だ。

一瞬、優樹が嫌そうな顔をした。俺はそのことに気付いていない。


「あいつらだと本気にするからよ。いくら説明してもバカだから理解できないのよ」


羨ましいな。俺もそういう脳みそに改造しようかな。


「その点あんたはそれなりに頭がいい感じそうだから」


それなりじゃなくてもいい方だぞ。引っ越す前は難関高校を受けて合格してるからな。でも、俺の力を発揮するのは女の子が絡まないと無理だぞ。だから、今の学校での成績は中の上くらいだ。

でも、そうなのか。用はお遊びで偽りということか・・・・・・。


「どうしたの?」


傷を自己修復中。


「というかそんな適当な男を用意するほど来たかったのか?」

「当たり前じゃない。普段は高くてあたしの小遣いじゃ無理なのよ。それに雑誌に毎週のように特集されるし、行きたくて仕方なかったのよ!」


そのケーキに対する熱意は女の子として普通なのだろうか。俺に分からないが女の子はよく甘いものは別腹だというだろう。だから、これも女の子としての特性みたいなものだろう。そう考えるとやっぱり優樹は女の子なんだな。


「だから、あんたみたいな変態ロリコンでもこうして我慢してるのよ」


いつ俺は変態ロリコンという称号を手に入れたんだ?あれか?優奈ちゃんと仲良くゲームをやっているからか?やめてくれよ。俺は好きで優奈ちゃんとゲームしてんじゃないぞ。逆にもう一緒にやりたくないよ。


「と、とりあえず恋人らしく・・・・・・その・・・・・・・・・・・う、腕組むわよ」

「お・・・・・おう」


優樹がゆっくりと俺の腕を回して組んでくる。今朝じっくり観察したとおり実際の胸はあまり大きく感じないが細身の体のおかげで大きいように強調されている。そんな胸が俺の肘に接触している。柔らかいものが当たっている。いいぞ!俺の求めていたものこういうものだ!女の子とこんな風にドキマギしたと思っていたんだ!ハハハ!いいぞ!いよいよ、女難期という長きトンネルから抜け出す日が来たというのか。


「何ひとりで興奮してるの?」

「いや、何でもない」


落ちつけ俺。ここでいつもテンションに任せていると優樹の蹴りの犠牲になる。そうなれば、演技とはいえ今度は絶対に腕を組んでくれなくなる。次は腕を組むのではなく腕の関節を外される羽目になる。苦い思い出がよみがえる。中学時代の生徒会選挙でのホモ疑惑を広めた記憶だ。あの時の俺とは違うんだ。


「じゃあ、列の先頭になるまでしばらく止めるわね」

「え?なんで?」

「なんでって?うっとうしいじゃない。それにあんたとあたしはカップルじゃないし」


現実を突き付けられた。優樹はそのまま俺のことを無視するかのように携帯をいじり始めてしまった。俺には全く興味がないようだ。そもそも、俺のことを異性として意識しているのだろうか心配になる。俺は意識しまくっている。だって、いくら女のらしくないとはいえ、見た目、体、仕草、匂いとかは女の子だ。親戚とはいえ血の繋がりのない女の子だぞ。女難期の俺が気にしないはずがない。

だが、優樹は無視して携帯をいじっている。

俺も気を紛らすためにバックから本を出して読む。よくよく見るとカップルで半額サービスのせいで男女のペアが多いがその大半が互いに話もせず好き勝手にしている。もしかしたら。俺と優樹みたいなペアがたくさんいるかもしれない。そうだよな。女の子から見れば、ケーキを死ぬほど食べられるイベントを逃すはずがない。俺のような犠牲者または運のいい奴は一体何人いるのだろうか。数えたくなる。

しばらくして優樹の様子を窺うと目が合って慌てて優樹が目線を外す。顔を赤くしている。やっぱり意識しているのだろうか?

その時、俺の中の野性の勘が何か視線を感じだ。それがなんなのか考えるのは無駄だ。ジャッジメントだろ。だが、ここは店に入る以外に隠れる場所はない。この列に奴らが入れるわけがない。警戒をしつつ本の方に目線をむける。

お互いに話さないで並んでいると数組前のカップルが急に列から抜けた。そのカップルだけじゃない。次々とカップルが列から抜けていく。優樹は気付いていないようだ。優樹は店側に並んでいる。俺は通路側で抜けていくカップルがよく見える。俺は列の前を見るために顔だけ列から出して前を確認。


「・・・・・・・・・・・・」


やばいものを見てしまった。


「どうしたのよ?」


優樹が久々に声を出した。

これは言うべきなのだろうか?いや、言ってどうする?でも、下手すれば女難期を脱することが出来る。俺的にもうれしいことが起こる。しかし、それを優樹が許すはずがない。

だが、黙っていると命が危険だ。蹴り殺されかねない。それにジャッジメントが壊滅したからと言って残党がとこかに潜んでいるかもしれない。そいつらには冗談抜きで殺される。ここは大人しく引いた方がよかろう。


「なぁ、この店はやめないか?」

「なんでよ!せっかくここまで並んだのに」


確かにそうだけどな。このまま並んでいてもただの時間の無駄になるだけだぞ。

すると急に列が動き出した。


「ラッキーね」

「アンラッキーの間違いじゃないのか?」


次々と抜けていくカップルのおかげですぐに俺たちまで回って来た。

優樹は俺と腕を組む。俺はどうなっても知らないぞ。


「こ、恋人同士で~す」


ぎくしゃくしていて自然じゃない。するとそれを見透かした女性店員さんが言う。


「恋人同士ですか?何か証明できることをしてください」

「・・・・・・・・はい?」


途中からこの店員になってから恋人だということを証明しなければならなくなった。っそれは俺たちみたいなカップルばかりで店の損害に繋がっているのだろう。本当はカップルの聖地にしようと思っていたのだろう。全くそんな場所なんて爆発してしまえばいいのに。


「な、何をすればいいんですか?といっても翔平とあたしは本物のカップルなので」


苦しいぞ。


「では、恋人同士ならキスをしてください」

「え?」


これは俺の声。

キスをするだと?いや、うれしいことこの上ないぞ。優樹は普通にかわいい女の子だ。そんなこと唇を合わせることが出来るとか俺の魂が抜けるくらいうれしいことである子は間違いない。だが、俺はいいとしても優樹は絶対に嫌がるはずだ。俺のことを異性として恋愛対象として見ていない以上変にそんなことをするはずがない。ここは大人しく引くのがいいだろう。俺は何よりも女の子のことを優先する。優樹がケーキを食べたいというのなら帰りにスーパーで安いケーキを3つくらい買ってやることにしよう。


「なぁ、優樹」


俺が引き上げようと言おうとする優樹の方を見ると目の前に優樹の顔があった。優樹はそのまま俺の顔を両手で固定して恋人としての照明をすることが出来た。

突然すぎて何が起きたか分からなかった。

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