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最強でも女の子、優樹

次の日の放課後、昨日の夜は和成とオンラインゲームでどっちが睡魔と闘えるのか耐久勝負という無駄なことをしてしまったせいで夕方になっても非常に眠かった。もちろん授業はすべて居眠り制覇した。前にニュースでどこかの外国で40時間連続でオンラインゲームをしていた男が死体で発見されたというのを見た。ゲームもほどほどにしよう。

だが、こんな風にやけになってゲームをしていたのにはわけがある。俺の女の子に対する考えがだんだん悪い方向に傾いているような気がしたからだ。女の子はかわいい。そして、天使。何よりも優先するのは女の子への心遣い。優しさ。女の子は大人しくて清楚なイメージばかり俺にはついていた。でも、実際は全然違う。女の子との交流の少なさで俺は現実が全然見えていなかったようだ。そんな現実逃避のためにゲームをしていたのだ。ちなみにオンライゲームができる環境を作ってくれたのは優奈ちゃんだ。俺より機材に詳しかった。

さて、そんな現実を突き付けられ身も心もボロボロ俺の前の校門にまた女の子がいた。もう、校門に立っている女の子が俺に関係者であるということが学校中に広まっている。なので常に殺気を感じる。だが、なぜか誰も攻撃してこない。

それもそうだ。ジャッジメントの主力が入院してしまいほぼ壊滅状態にある。だが、ジャッジメントの残党がいることにはいる。今までは委員長によってブレーキがある程度かかっていたが今はそれがない。そんな奴らが何をするか分からない。警戒を怠ってはならない。

で、校門に立っていたのは優樹だった。いつもと同じように腰にブレザーを巻きつけている。なんでこう毎日まめに誰かが迎えに来るんだ?一回行けば覚えるぞ。行き方くらい。それに優樹は部活はいいのか?

が、それよりも警戒することがある。

俺は腰を低くしていつどんな状況でも走れるような態勢を作る。そして、周囲を見渡す。敵影なし。ジャッジメントの残党が校門の前で待つ女の子を見逃すはずがない。もしかして、優樹はただの餌の可能性がある。あいつらは女との縁を切らせることにおいてはプロだ。そんなプロは必要ないが、奴らに邪魔されたカップルは大抵が別れる。きっとこれは何かの作戦に違いない。残党に作戦指揮を執ることが出来るのかどうか疑問だが。


「その態勢キモいわよ」

「うるさい!命にかかわることだ!」

「意味わかんないわよ」


そうだ。普通なら意味が分からないところだ。だが、この常に危険と隣り合わせの生活を送っていれば自然と身につく。こうしないと生きていけないと生物の持つ死の恐怖がそう伝えるのだ。


「はぁ~。のど乾いた。ジュース買ってきて」

「かしこまりました!お前らすぐに購買でジュースを買ってこい!」(男子生徒G)

「イエッサ!」(男子生徒H)

「イエッサ!」(男子生徒I)

「イエッサ!」(男子生徒J)


黒装束が購買の方向に走っていく。


「荷物持って」

「喜んで!」(男子生徒H)

「疲れた。座りたい」

「椅子を用意しろ!」(男子生徒G)

「持ってきました!」(男子生徒I)

「ジュース買ってきました!」(男子生徒H)

「オレンジ?リンゴがいい」

「失礼しました!貴様は!優樹様リンゴジュースが好きなんだぞ!さっさと取り替えてこい!」(男子生徒G)

「イエッサ!」(男子生徒H)

「肩揉んで」

「ただいま」(男子生徒H)


か、完全に手なずけている。

あのこの学校で最強の組織風紀委員通称ジャッジメントの長になっている。いつの間にジャッジメントを忠実な犬に仕立て上げた!


「こら!翔平!頭が高い!」(男子生徒G)

「いや、どうした!お前らはジャッジメントだろ!恋路を邪魔する組織だろ!」

「それは昔の話。今の我々は優樹親衛隊という名前に改名したのだ!ジャッジメントではない!」(男子生徒G)

「お前はいつこいつらにどういう調教したんだ?」

「さぁ?」


こいつ恐ろしい。いや、あの殺傷能力抜群の蹴り技は恐ろしいが一瞬にして男ども忠実な犬にするなんて言った何者なんだ?

やっぱりジャッジメントは壊滅したのか?まぁ、いいか。奴らがいないくなったということは女の子とウハウハし放題だ。さっそく今から女の子を捕まえに行こう。


「リンゴジュースを買ってきました!」(男子生徒H)

「ご苦労。ご褒美よ」


そういって、優樹はジュースを買ってきた男子生徒を蹴り飛ばした。


「キャイン!」(男子生徒H)

「いいな!羨ましい!」(男子生徒I)

「優樹様!俺は椅子を持ってきました!」(男子生徒J)

「俺は・・・・・お菓子あげます!」(男子生徒K)

「ええい!貴様ら無礼だぞ!優樹様我を蹴ってください」(男子生徒H)


ただのドM集団じゃねーか!


「キモい近付くな。離れろ。半径100メートル以上」

「イエッサ!お前ら離れろ!」(男子生徒G)


そういうと黒装束どもは各々どこかに走り去ってしまった。優樹はジャッジメントが買ってきたリンゴジュースを飲みながら立ち上がる。俺はあのジャッジメントをこんなに思いのままにする優樹を尊敬する。


「もういらないからあげる」


そういって飲みかけのリンゴジュースを渡してきた。これって故意に関節キスをしろと言っているようなものじゃないか。もう完全に俺を誘ってるだろ。乗っていいのか?この誘いに乗っていいのか?


「何にやにやしてるの?」

「いや!別に!」


慌ててリンゴジュースを背後に隠す。気付いていないようだ。これはラッキーだ。どこか見えないところに移動して味わおうとしよう。優樹の間接キスを。

今なら邪魔する組織もいない。堪能しようではないか。


「じゃあ、俺はこれで」


方向転換。家とは真逆。とりあえず、バイト先の喫茶店に逃げよう。あそこならジャッジメントにも優樹にも見つからない。


「待ちなさいよ」


俺は体をびくつかせる。


「わざわざがあたしが待ってたんだから用がないわけないでしょ」

「そ、そうですよね」


振り返る。すると、飲みかけのリンゴジュースを見た優樹が赤面する。


「あ、あんた!飲んでないでしょうね!」

「の、飲んでねーよ!」


やっと気づいたようだ。


「本当?」

「ああ、本当だ。神に誓う」


実際に飲んでないから大丈夫。だよな、神様。

優樹にリンゴジュースを回収されてその場で飲み干して近くのゴミ箱に投げ入れる。若干、息切れいている。飲む気がないなら買わせるなよ。

さて、冷静になったところで。


「俺に用ってなんだ?」


するとまたまた赤面する優樹。こいつは思ったより恥ずかしがり屋なのかもしれない。何も恥じることはない。こう、見た目は強がった感じを出している子がそうやってもじもじと恥ずかしがる姿は萌えるじゃないか。


「あの、ちょっと付き合いなさい」


・・・・・・・・・告白?

いやいや、優樹は俺のどこにホレたんだ?顔か性格か?でも、法律上は叔母だろ。俺の叔母さんは中学生で恋人とかどこかのラノベみたいなタイトルじゃないか。いや、逆そのラノベ路線でもいいんじゃないか。恋人は叔母で中学生。和成とかが聞いたら迷いなく警察に連絡しそうだ。

というか、そんなことよりも俺は叔母に恋するほど悪い人間じゃない。中学生に手を出すとかもう犯罪だろ。


「すまない、優樹。俺たちはもっと違う出会い方をしていれば」

「何言ってるの?」


・・・・・・・・あれ?勘違い?

いや、そんなことはないはずだ。俺は女の子の気持ちに鈍い主人公を見ているとマジでそいつをぶっ殺したくなるような俺だぞ。女の子の一途な思いをスルーしたり踏みにじったりするような悪い男じゃない。優樹はツンデレキャラだ。きっと、恥ずかしくてはっきり言えないだけなのだろう。


「言わなくてもいい。俺は優樹の気持ちをちゃんと分かってるよ」

「そうなの?なら、言ってみなさいよ」

「はっきり言ってもいいのか?怒らない」

「怒らないわ」

「優樹は俺のことが好きだから付き合ってくれ」

「言うわけないでしょ!」


俺はその場にかがむように伏せる。優樹の回し蹴りを交わすそして目線はしっかり上を向く。

なるほど、今日は水色の水玉か。


「避けるな!」


踵落としが脳天に炸裂。やばい死ぬ。


「今日はあんたに用があったのは、男が必要だったからよ」

「そういうことだ?」

「何でさっきの蹴りくらって平気なの?」


男ってのは女の子から攻撃を快感に変える兵器なんだよ。だから、平気なんだよ。兵器だけに。

昨日の優華は特例だぞ。あれはどう考えても女の子じゃなかった。


「男が必要ってどういうこと?」

「行けばわかるわ。ちゃんとついてきなさい」

「了解」


なぜか抵抗できない。なぜなら、逆らおうとすると何かが俺の行動を妨害する。命の危機が俺の行動を止めているのだろう。

優樹の後をついていく。その後ろ姿は可憐で誰もが思う美人さんだ。でも、いっしょに関わっていると体がもたない。

優樹の向う方は駅がある方だ。人がたくさんかう場所だ。それはつまり女の子といっしょに移動しているところをジャッジメントに見られる可能性があるということだ。これはどう考えてもデートしているように見える。


「何してるの?」

「フットワークの練習中」


よし。今のところ敵影はない。だが、奴らは人の恋路を邪魔することに対してとんでもない力を発揮しる。姿を消していてもおかしくない。それが法律上肉親であっても同じだ。こないだ隣のクラスの奴が姉と待ち合わせしているところを襲撃したらしい。俺も現場を見ていた。姉は空いた口がふさがらずただ見ているだけだった。そんな現場を見たことがある。警戒を怠ってはならない。


「ねぇ?」

「ん?なんだ?」

「やっぱりあたしって女の子らしくないのかしら?」


またそれか。優樹はどこからどう見ても・・・・・・・。


「女の子だろ。体は」

「それ前に聞いた」


二度目のボケの処理は雑だ。


「翔平ってさ。たくさんの男友達がいるわよね」


俺はあいつらのことを友達と言ってもいいのだろうか。まぁ、実際にいっしょにいるとすごい楽しいのは確かだ。女の子とはいっしょにいることはできないけど。


「あたしも友達はいるのよね」

「そう」

「ほぼ男だけど」


俺とは逆だな。俺も友達がほぼ女の子だったら俺死んでもいい。


「その男友達が全員口をそろえてあたしのことを女として見ないのよ」


男みたいに暴力で会話しているような優樹といっしょにいれば、男友達同じように関わりあえるだろうな。


「逆に同性の友達がいないのよ。翔平みたいな」

「いいことなんてないぞ」

「そんなことない」


いや、実際にたくさんの同性の友達がいるとうっとうしいぞ。特にジャッジメントのメンバーとか。


「どうしたらあんたみたいに同性の友達がたくさんできるの?教えなさいよ!」


何かマジで悩んでいるみたいだ。で、なぜか俺は身構える。なんか殴られそうな予感がしたからだ。


「優樹はその女友達が出来ないのは自分が女らしくないからと言いたいのか?」

「それ以外に理由が見当たらないのよ」


まぁ、俺の女っぽい男がいたらそいつと口を利きたくないと思うのと同じなのか?でも、男らしい女の子も世の中にたくさんいるぞ。ジーパンとか履いて男っぽく見せる女のモデルとか最高じゃないか?かっこいい女の人もなかなかいいと俺は思う。

だが、その類はかっこいいから男っぽいというのかもしれない。優樹は・・・・・・・。


「かっこよくはないな」

「何言ってるの?」


じゃあ、やっぱりこの話し方とか行動とか挙動とかが女の子っぽくないのかもしれない。


「よし。優樹。俺が君の悩みを解決する方法を考えた」

「どんな方法よ」

「脱げばいいんだ」

「死ね」


ハイキックがさく裂。


「あんたバカじゃないの!脱げば誰もがあたしのことを女だって分かるわよ!」

「でも、脱ぐことによって恥ずかしがる優樹の表情はまさに女の子って感じがすると俺は思う」


それは初めて優樹に会った時にスカートの中を俺に見られた時の表情だ。あの光景と表情は俺の見てきた女の子の中でベスト3には入る。と言っても統計に使われた数が少ないのでもっといい光景も本当はあるのだろう。


「・・・・・・・・・・・・・」

「いや、悩むなよ」

「うるさいわね!どんなことがあっても脱がないわよ!しかもこれってただのあんたの願望じゃないの!」

「・・・・・・・イヤ、ベツニソンナコトナイシ」

「とりあえず、殴っておくわ」

「それが女の子らしくな」


顔面を殴られた。力は弱かったがスナップのかかったいいパンチだ。ダメージがおかしい。


「あんたに相談したあたしがバカだった。さっさと行くよわ」


優樹は足を速める。俺も慌ててついていく。

優樹の向かう先はデパートだ。駅前にありそれなりに人もおとすれる場所だ。中に入るのは久々かもしれない。どうも中に売っているのは婦人物ばかりで俺みたいなむさい男が来るようなところじゃなかったのだ。

そうだ。逆にこういった女の子が来そうな場所に自分から行けば、女の子とお近づきになれるかもしれない。残念ながらこのデパートは行動範囲外だ。かわいい女の子率は異常に低そうだ。

優樹は無言でエスカレーターを使い地下に降りる。そこは飲食店が立ち並んだレストラン街だった。今の時間帯は飯の時間じゃないから客は少ないがそれでもまばらにいる。そのまばらの客の率は男女の二人組ばかりだ。それはどう見てもカップルだ。やばい。あいつらの仲をめっちゃ絶ちたい。ついでに男の方は二度と女の子と仲良くなれないようにしてやりたい。どうすればいいだろう。そうだ。ジャッジメントに相談すればいいんだ。


「なんか翔平からあの黒い集団と同じ気配を感じる」


何の事だかさっぱりだ。


「そういえば、ミッキーから聞いたけど昨日優華が暴走したみたいね」

「ま、まぁな」


あんまり思い出したくない。


「怪我はなかったの?」

「俺は大丈夫だけど、何人か病院に送りになったけど。何?俺のこと心配してくれるの?」

「べ、別にあんたのことが心配なわけないじゃない!」


やばい!ツンデレ!最高!誰か同意してくれ!


「ただね。あの優華があまり暴れると優華の印象が悪くなっていくのよね」


まぁ、ただでさえ大人しいイメージが強い優華があんな風に暴れたらより悪い奴に見える。悪い奴が悪いことをしてもみんななんとも思わない。例えば、優樹がいつものように俺のことを殴っても何も思わない。逆に良い奴が悪いことをすると非常に悪いことをしているように見える。例えば、優奈ちゃんが俺のことを殴っていたとすると非常に悪いことをしているように見える。優華も同じで普段のいい印象はすぐに崩れやすい。


「あの優華が出てくる条件とかないのか?」

「特にないわね。よほどひどいことを言わない限り出てこないわ。ということはその病院送りになった奴は何かとんでもないことを言ったのね」


ああ、言った。優華のバストサイズとかウエストとかを言おうとしていた。というか知ってやがった。俺も知りたいけど、命が危ない。冗談抜きで。


「気をつけなさいよ。あの優華は私にも止められないから」


どうしてあんな優華が出来上がってしまったのか知りたい気もする。一体何があったら凶暴な優華を誕生させることが出来るのか?知るのも怖い・・・・・・。


「で、俺たちはどこに向かってるんだ?」

「そこ」


優樹が指をさす方には店があった。しかも、そこだけ行列ができていた。しかも、その行列に並んでいる連中全員がカップルだった。できることならここに隕石を落としたい。


「い、いい?」

「あ?」

「い、今からあんたと私は・・・・・・・その・・・・・・」


誰かカメラを用意してくれ優樹のレア顔が目の前に。これは永久保存だろ

スカートの中を見られた時以上に真っ赤な顔をして若干涙目になって俺を上目遣いで俺の方を見てくる。俺の心が限界だ。告っていいかな?


「いいわけないでしょ」

「あれ?聞こえてた?」


すると俺と目線を外して何か小声で何かつぶやいた。


「バーカ」

「何か言ったか?」

「何でもないわよ!」


そういって俺の腹を殴る。

蹴りじゃない。パンツを見るといういつもの業務がこなせなくてショックだ。


「なんでそんな悲しそうな顔をしてるの?」


気にするな。


「それで何か言いかけてたよな」

「あ、ああ。そうだったわね」


両手を胸に当てて何かを意を決したように言った。


「いい。今からあんたとあたしはこ、恋人とだからね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」


俺の脳が処理落ちを起こした。

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