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綾見姉妹のいとこ、美紀

大丈夫と言ったら嘘になる。

俺は大丈夫じゃない。ジャッジメントの肉体的攻撃と精神的攻撃により俺はあとちょっとで人間を止めさせられるところだった。

他にも日常的に肉体的攻撃と精神的攻撃はある。

肉体的攻撃は優樹だ。何かする度に俺のことを蹴ってくる。スカートの中身が見えることはうれしいのだが体がもたない。そのスカートの中身が見られたことがばれるとさらに痛めつけられる。回避する方法は入院くらいしかないだろう。

次に精神的攻撃だ。血の繋がってないのに法律上血縁関係という最悪の状況に女の子といっしょに生活することだ。手を出したくてできない。俺は理性をこらえられるだろうか?不安だ。俺の精神力がもつかどうか不安だ。回避するには法を犯すしかない。


「さっさと歩きなさい」


全身ぼろ雑巾みたいになっている俺にかける優しい言葉じゃない。きっと、優美さんや優奈ちゃんは優しく「大丈夫?」と言ってくれるに違いない。この暴力少女が女の子らしくないと言われる所以はそれかもしれない。

一旦自宅に戻り衣類を調達後、バスに揺られること15分。綾見家近くのバス停に到着した。

その際は終始無言だった。運がよかったのはジャッジメントがたまたま乗り合わせていなかったことだ。

バスを降りると俺のことを出迎えてくれた天使さんがいた。


「お兄ちゃんお久しぶりです!」


満面の笑みで俺に抱きついてくる。ああ、癒される。心も体も壊れかけている俺に救いを行ってくれる女神はこういうものなんだ。


「久しぶり。優奈ちゃん。・・・・・・は!」


その時、感じた気配で俺はその場に素早くしゃがんだ。そして、俺の頭上を風が切るように優樹の蹴り技が切り抜ける。


「ちっ」


危ない。もう少しで俺の首が胴体から離れるところだった。

ついでに今日は水色のようだ。


「優奈ちゃんはひとり?」

「ううん」

「じゃあ、誰と?」

「ミッキーが連れていてくれた」

「ミッキー?」


ミッキーってあのみんなに夢を与える国に住んでいるネズミさんのことか?


「君が噂の翔平君?」


優奈ちゃんの後ろにいたのは子供の夢を叶えるネズミではなく、俺たち男の夢をかなえてくれそうな大きな胸に金髪碧眼の優美さんに劣らない美人さんがいた。


「誰?」


優美さんの妹は3人だ。この人は絶対に違うだろ。見た目からしてもろ外国人だし。


「えっと・・・・・・私・・・・・たちのいとこの・・・・・・ミッキーちゃんです」

「優華。あだ名で言ってどうするのよ」

「あ・・・・・・・えっと」


変に出しゃばらなくてもいいぞ。なぜなら、俺が自分で聞くからだ。


「俺は安那翔平です!16歳です!あなたは?」

「おお。元気いいね。私は美紀。みんなミッキーと呼ぶわね。年は17歳だから優華と同じ年なら一つ年上お姉さんかな?」


マジか!また、女難期の俺にこんな年の近い女の子が現れると一体神様はどうしたんだ。今まで俺には女の子を近寄らせなかったのになぜ突然こうなったんだ!

しかも、美少女ばかりだ!夢の世界過ぎるだろ!でも、それが全員法律上血縁だという事実は隠せない。神様バカヤロー!


「ちなみに私は優華たちとはいとこだから」

「マジ?」

「マジ」


ってことは法律上大丈夫か?

恋人という関係になってもいいのか?夜の遊びとかしても犯罪にならないのよな?


「何かミッキーを見て妙なことを考えてないわよね」


ダメだ。俺が恋愛するには背後で俺に殺気を突き刺している魔王を倒さないことには無理だ。


「どうしたの~?もしかして、私を見て発情してる?」

「してます!」

「堂々宣言してるんじゃないわよ!」


優樹の回し蹴りが俺の後頭部を直撃した。視界が一瞬ゆがんだ。でも、俺の女の子を見る目は壊れない。だから、ばっちりスカートの中が見ることが出来た。色は水色。


「さっさと行くわよ」


ずかずかと先に進む優樹。


「大丈夫です?」

「大丈夫だよ。優奈ちゃん」


励ましてくれる優奈ちゃん。HPが回復した。


「え・・・・・・・・あの・・・・・・・」


がんばって俺を心配していることを言おうとしているが恥ずかしくてなかなか言葉が出てこない。そんなかわいい姿に俺のMPが回復した。


「さぁ、行こうよ」


ミッキーさんの揺れる大きな胸を見て俺のレベルが上がった。


「何いちゃいちゃしてるのよ!」


俺は優樹の蹴りを食らう。

安那翔平は死んでしまった。


「面倒なやつね」


そういって俺のことを引きずって綾見家に向かう。その片手に俺の荷物を持っていた。表では暴力ばかりふるっているが優しい一面もよくある。それは俺の家に来たときに家事等を進んでやってくれたところとかだ。

その優樹に引きづられること数分で綾見家に到着した。

綾見家の第一印象はとにかくデカいということだった。

綾見家があったのは俺の住んでいる住宅街と変わらない場所にある。だが、違うのはその規模が他と違うということだ。とにかく広い。金持ちなのかもしれない。


「あ・・・・・・上がって・・・・・・いいよ」

「ああ、どうも」

「早く来るです」

「あ、ああ」


少しためらう。俺とはやはり育った環境が違うようだ。だから、あんな個性豊かな姉妹が育つのだと思い知らされる。そういえば、優美さんは片づけられない女で、優樹は暴力女で、優奈ちゃんは最強のゲーマー。優華だけがまだ何もない。一体何があるんだ?


「ど・・・・・・どうしたの?」

「いや、何でもない」


そうだよ。一人くらい正常な子がいてもおかしくないよな。うん、そうだよな。


「おじゃまします」


俺の家と違い、明るい廊下。清潔な廊下。ほのかに女の子のいいにおいが充満している。これが女の子の住む家なのか。俺の家なんかは運動の部室みたいにおいしかしない。ここなら俺は死んでもいい気がする。


「優華。こいつは庭の小屋にでも住ませておきましょ」

「ちょっと何言ってるの?」

「黙りなさい。犬」


俺っていつから人として扱ってくれていないのだろうか。

広くて明るいリビング。ゆったりと過ごせる大きなソファーに大きなテレビ。家具だけ見ても俺の家よりも二回りレベルが違う。


「優樹たちのおやじは何の仕事してるんだ?」


母は男の人を追いかけに出て行ったことは訊いているので話題には出さない。


「さぁ?家ではあまり教えてくれないのよね。証券会社に勤めてるとは聞いてるわ」


あれ?そういえば、俺のおやじも証券会社で働いてるぞ。


「なぁ、優美さんと俺のおやじがどうやって出会ったか知ってるか?」

「お父さんの紹介らしいわよ。なんか最初か幼くして母を亡くした息子がいるって言ってたわね」

「それだと俺がいるから優美さんが結婚したみたいだな」

「優美も最初はそうだったんじゃない。でも、最終的にはあの人を選んだみたいね」


くそ。最初から最後まで俺に興味を持っていれば俺にもチャンスはあったのか。やっぱり、あのオヤジは抹殺する必要がありそうだ。


「ああ、そうだ。この家に住むにはこの家のルールに従ってもらうわよ」

「ルール?」


優樹に連れられてリビングに隣接するキッチンに連れて行かれる。


「優美がこの家を出たからあんたには優美の仕事をやってもらうわね」


出た。綾見家の格差の象徴。あの天使のような優美さんを片づけられない女にした、この家の格差社会仕立て上げた当番制度。優樹は掃除、整頓と書かれている。優華は洗濯、回覧板等。優奈ちゃんはネット等の管理と書かれている。


「優奈ちゃんは小学生のわりに高度なことをさせられてるんだな」

「下手したらお父さんより詳しいわ」


下手したら俺より詳しいかもな。


「前にひとりで材料をネット買って自作のパソコン作ってたし」


それがかわいい小学生がそんなことしない。


「秋葉原とか連れってたら丸一日はいるわね。付き合いきれないわ」


やっぱり優奈ちゃんおかしいよ。あんな優美さんとは違う天使のようなかわいさを持つ女の子じゃないよ。丸々と太った汗っかきのデブとやってること同じだよ。


「で、あんたはしばらく優美の代わり。料理、買い出し」


それなら普段やってるか大丈夫だ。


「お兄ちゃん?」


優奈ちゃんが俺を探しにリビングまでやって来た。


「なんだ?」

「いっしょにゲームするです」


悪夢再び。


「いや、そ」


その時俺の背後で何か嫌な気配を察知した。それは言うまでもなく優樹だ。ゲームをいっしょにやれというものだろう。それは逆に「私はやりたくないからあんたがやりなさい」ということだろう。

ここは男安那翔平。女の子の頼みならそれが幼女だろうが命を懸けて頼まれよう!


「やったです」


ものすごく嬉しそうだ。普段やってもらえる人がいないのだろう。


「じゃあ、来るです」


そういって俺の腕をぐいぐいと引っ張る。


「アハハ!慌てるなって!」


幼女でもこう女の子に手を引かれることがこうもうれしいことなのだろうか。


「優奈に変なことをした時点で原形がなくなるまで殴るわよ」


・・・・・・・なんか悪魔のささやきが聞こえた。

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