占い12位、翔平
女難期の俺にはオアシスがある。
実はもう普通に女の子と関わることが出来ないと踏んでしまった俺も多少はいるわけなのだ。この欲を抑えずに放置しているとその辺の女の子を片っ端から襲うオオカミなってしまう可能性もある。特に男子校に通う俺には女の子を見る機会も異常に少ない。だから、俺は少しテレビの世界に逃げるのだ。
人気女子アナウンサーの占いを毎日見ている。
その女子アナウンサーがかわいいのだ。清楚で可憐でその天使と言ってもいいような声が最高だ。彼女にしたいけど、手近な女の子すら話しかけられないような俺には高見の花だ。でも、彼女は俺の期待を裏切らない。だって、毎日テレビの向こうから俺に話しかけてくるんだもん!
「キモいぞ、翔平」
「うるせー!」
「見えないだろ。俺にも見せろ」
「俺が見てんだよ!」
お互い画面を覆い隠すように見たい欲で毎朝ケンカすることもある。
「私から見れば、どっちも同じように見えるよ」
「だってよ!おやじ!キモいってよ!」
「うるさい!優美がそんなこと言うわけないだろ!」
テメーの耳は飾りか!
「はいはい。落ち着いてごはん食べる」
優美さんというストッパーのおかげでケンカまで最近発展しない。このおやじが帰ってくるまでにおやじの部屋の私物を全部質にかけてやろうか?
「とにかく、翔平君今日からお願いね」
「あ、はい。楽しんでください」
「分かった」
この笑顔ともしばらくお別れか。寂しい気もするがこの笑顔が2つに増えるだけの話だ。何もさびしいことなんてない。ちなみに優樹は数に入れていない。あいつはどうも女の子として扱えそうにない。自信がなくなって来た。優華は笑うところを見てないが、きっといい笑顔だろう。
「みずがめ座12位だってさ」
「は?」
テレビで流れている占いの俺の順位が12位であることを嬉しそうに俺に報告した。
「今日は何をやってもダメだってよ。死ぬかもしれないってよ」
「それはないだろ!つーか、おやじもみずがめ座だろ!」
「俺は占いを信じない。運は俺自身が捻じ曲げればいい」
何かっこいいこと言ってんだ?
だが、俺自身もお目当ての女子アナウンサーの顔が見たいだけなので占い自体は興味がない。でも、朝から占いがドベと訊くとテンションが下がる。
「そういえば、俺はまだ優美さんの実家がどこにあるか知らないんですけど」
「え?知らないの?」
「俺が伝えてない」
おやじの頭はナッツなのか?スカスカなのか?中身ないんじゃないか?
「なら、優華か優樹に迎えに行くように頼むわね」
「あ、はい」
って!ちょっと待て!
それはどう考えても校門に集合ということになるだろ!
また、あの組織を説得しないといけないのか。めんどくさいな。
「あのできれば優樹に迎えに来るように言ってもらえないですか?」
「なんだ?翔平は優樹ちゃんみたいな子がタイプなのか?」
「いや、そういうことじゃない」
確かに優樹もひとりの女の子としては魅力があるよ。でも、俺が求めているのはあの学校公認の極悪非道の組織と対抗できる戦闘力を持つ者だ。優華ではその勢いに押し負ける。そう考えると優樹が一番いい選択肢なんだよ。
「おやじは優美さん以外にも手を出す気か?」
「そ・・・・・そんなわけないだろ!」
「何で一瞬止まったの?」
優美さんの鋭い目線がおやじに突き刺さる。
「手を出すわけない「優華は食べごろ」だろ!って勝手にセリフを足すな!」
「飛行機に乗ったらあなただけアマゾンのど真ん中に投下してもらいましょう」
「冗談だよな?冗談だと言ってくれ!」
優美さんの目には色がなく。完全に怒っている。
「おい!翔平!「優奈を襲おう」どうしてくれるって!何を言っている!」
おやじのセリフを予知したんだよ。
「翔平君」
それはまるで氷の悪魔のようなささやきだった。俺の背筋が凍る。
「は、はい?」
声が裏返る。ゆっくりと振り返る。
「あなたのお父さんがもしかしたら棺に入って強制送還されてもいいかしら?」
「大丈夫です!」
「大丈夫じゃないだろ!」
俺は助かったから大丈夫。
「それと翔平君も妹たちに手を出したらどうなるか分かる?」
迫りくる優美さんの影。それは逆らうことのできない魔王のようだ。
「は、はい」
「分かればいいのよ。さ、食べましょ」
今度はすごく明るい声で笑顔で言った。
温度差が激しい。これが妹たちが逆らえない原因かもしれない。片づけろ言っても訊かない理由かもしれない。その強い目線とオーラは優樹と似ている。やはり、姉妹だ。似ているところがある。もしかしたら、優華とかにもこんな一面があるのかもしれない。
これからの生活が怖い。




