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急な話、おやじ

雀の優しいさえずりで気持ちの良い目覚めを送りたかった。俺の目覚めは雀のさえずりではなく、どう表現していいか分からないほどの腰の痛みで起きた。それでもまだ眠気が少し残っている寝返りをうとうとすると俺はソファーから落下した。腰から落ちて目が覚めてしまった。


「・・・・・・もう最悪」


さて、なぜ俺はソファーで寝ているのか。そして、俺が寝ている家は俺の家ではない。ここは綾見家だ。あの四姉妹の住まいだ。なぜ、俺がこの家で寝泊まりしているのかというとこう・・・・・いろいろあったのだ。以下がその回想だ。



「・・・・・・・何?もう一回言って」

「新婚旅行に行く」


おやじはそう言った。


「結婚したばかりの夫婦が行く旅行のことか?」

「そうだ」

「誰と行くんだよ」

「優美とに決まってるだろ」


目線で優美さんに確認をとると笑顔で頷いた。マジらしい。

優美さんと妹たちとの関係について話してもらった後の話の最中のことだ。多少だが、優美さんを家族と認めてもいいじゃないかなと思った時もこのころからだ。


「どこに行くか聞きたいか?」

「おやじは黙ってろ」


え?何?

優美さんとこの少し白髪が生え始めて初老のおやじと二人っきりで旅行をするというのか。それは間違いなく間違いが起きる。


「優美さん考え直してください。俺はおやじを犯罪者にしたくない」

「おい、翔平。それはどういう意味だ?」


間違っても子作りとかされたらやばいだろ。優美さんにはもっといい人がきっと見つかるよ。こんな加齢臭漂うおやじとそんなことをしていけない。


「でも、決めちゃったのよね」


優美さんは飯を食べ進める。


「それに優奈も翔平君に懐いてるみたいだったし、優華も赤の他人にしてはよく話している方だし」


あれでよく話している方のなのかよ。あれよりひどいのがあるのかよ。


「優樹とは仲良く戯れてたし」


その戯れは命がけですよ。実際に経験したことないだけでしょ。


「そうか。なら大丈夫だな」

「おい、俺を置いて話を進めるな。新婚旅行とあの3姉妹の中の良さと関係性はなんだ?」

「実はね、私たちの新婚旅行とお父さんの海外出張がちょうどかぶっちゃったのよ。私たちは1週間で戻れるかいいけど、お父さんはいつ戻れるか分からないのよね」


それは大変だな。まだ、子供の女の子だけを家においていくのはすごく不安だろう。


「私も妹たちの面倒を見たいけど、あの子たちは気にしなくていいから新婚旅行に行ってらっしゃいって言うのよね。でも、心配なのよ」


俺もそうやって妹たちのことを心配するような姉がほしかったです。


「そこでだ、翔平」

「おやじ黙れ」

「なんだと!」


聞こえない。俺の耳は女の子の声しか通らないように改造してあるのだ。


「そこでね。翔平君にお願い」

「はい」

「1週間だけでいいから綾見家に住んでくれない?翔平君も家でひとりは寂しいでしょ?」


そんなことはない。おやじは仕事で常に家を空けている。ひとりでいることに抵抗は全くない。だが、それは俺が男であったのが大きいかもしれない。だが、それが女の子場合はどうだろう。危険じゃないか?優樹という最強の戦士がいるとはいえ確かに心配だ。


「寂しくはないですけど、あの姉妹が心配なので1週間だけいっしょに住んでもいいですよ」

「本当!」


わぁ~、スゲー嬉しそう。その笑顔があれば世界中の戦争がなくなるのにね。


「まぁ、一番の理由はお前がへタレだから間違っても優華ちゃんたちに手を出さないと確信できるからだ」

「なんだと!コラ!」


俺は女の子をああしたりこうしたりするくらいの度胸くらいあるぞ!

あの姉妹とやる気はないけど。


「ケンカしないの」


くそ。最近、優美さんに止められてばかりでおやじに殴りかかっていない。このストレスは和成にでも発散しておこう。


「ちなみにその新婚旅行はいつからですか?」

「明日には出発」

 明日!急すぎるだろ!

「俺が伝え忘れてた」


死ねおやじ。


「まぁ、とにかく明日から頼んだぞ」

「・・・・・・・・・・・・」

「翔平君頼んだわよ。妹たちのことを」

「了解です」

「俺は無視かよ」


おやじの言葉は俺の耳を通過する。そういうフィルターが俺の耳には取り付けられている。

それに1週間とはいえ複数の女の子と同じ建物で練ることが出来るなんて夢のようじゃないか。最後に女の子といっしょの建物で寝たのは中学の修学旅行以来だ。何度も女子のいる階に行こうとして先生に捕まったことか。だが、そんなことを邪魔する者はいない。夜中まで堪能しようじゃないか。


「まぁ、気をつけろよ。翔平」

「ハハハ。任せろ」


だが、俺は知らない。この後に起こる今世紀最大の危機に襲来に。

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