ゲーム開始
まず、桜宮皐月の情報を集める必要がある。
彼女がどのような人間なのかをちゃんと知っておかないと。
まず、彼女との会話で、他のクラスには、誰がいじめられていたかまでは知られていないということがわかった。
ならば、あのクラスのメンバーを除く、私と桜宮さんの両方と同じクラスになったことのあるやつから聞くのが一番いいだろう。彼女はこの学校に転校して一日で有名人になったほどの人気者だ。知らない人間などいないはず。
しぼりこんだ結果、条件に当てはまったのはたった一人だった。
そいつの名は、高橋百合。桜宮さんとも仲が良かったらしい。こいつなら、結構情報を持っているはずだ。
私はさっそく、彼女の家に電話をかけた。
「はい。高橋です」
女の人の声が聞こえた。高橋百合の母親だろうか。
「もしもし。藤原ですけども、百合さんはいらっしゃいますでしょうか」
「すぐ変わりますので、少々お待ちください」
女の人がそう言ったあと、音楽が流れ始めた。
「はい。お電話変わりました。百合です」
その数分後、さっきの女の人に似ているが少し幼い声が聞こえてきた。
「もしもし。藤原愛です」
私は自分の名を名乗った。
「藤原さん!? どうしたの?」
彼女は驚いたような声でそう言った。
驚いてもおかしくはないか。彼女と私は、仲も良くも悪くもなく、ただのクラスメイトという関係でしかなかったのだ。そんな人がいきなり電話をかけてくれば、そりゃぁ驚くだろう。
「桜宮皐月さんのことについて知りたいんだけど、いいかな?」
私は恐る恐る彼女に聞いた。
「皐月のこと? 別にいいけど、なんで?」
と、彼女は理由について聞いてきた。
人の個人情報を教えるのだから、理由を知りたがるのは当然だろう。ここで教えなければ、逆に怪しまれてしまう。
「この前桜宮さんが私のクラスに転校してきたの。それで、彼女の歓迎パーティをやろうという話になって。それで、彼女にプレゼントを贈ろうという話になったんだけど、何が好きかわからなくて。本人に聞いたら、サプライズにならないから、昔仲の良かった高橋さんに聞いてみようと思って」
当然こんなことは嘘だ。こういう理由なら、彼女も納得してくれるだろう。
「そういうことかぁー。いいよ。何が知りたいの?」
よし! これで少しは情報が手に入る。
「好きな食べ物とか好きなこと、趣味とか。あと、嫌いなものとかも」
歓迎パーティと言ってしまったからには、こういうことしか聞けないが、ないよりはましだろう。
「皐月の好きな食べ物はお菓子。嫌いな食べ物は魚。好きなことは読書とか音楽を聴くこと。趣味も一緒ね。嫌いなものは虫かな」
驚いたことに、好きな食べ物や好きなことが私と一緒だ。偶然だろう。
「教えてくれてありがとう。じゃぁね」
「うん。ばいばい」
これで彼女の好きなこと、嫌いなことはわかった。
あとは性格とかもしらないといけないけど、彼女と一緒にいればわかってくるだろう。
あのことを知っている者に、復讐するんだ。