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社畜、異世界でブラック企業をホワイト化します! 〜倒産寸前ギルドを“残業ゼロ”で救う〜  作者: 凪乃
1章

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第28話「いざ、交渉!」

朝。

宿の窓から差し込む朝の光で亮太は目を覚ました。机の上に広げたメモを眺め、深く息を吐く。


(やるべきことが山積みだ……工房が王国軍の依頼を受けてくれない件。商人候補へのアポイント。それから……ユリスが言っていた“リーネの様子”。全部気になるけど、まずは動けることから。戦闘はみんなに任せてきた。ここからは俺の本領――交渉だ!)



町の中心部にそびえる「コナリ商会」。

白壁に磨かれた石段、出入りする商人の服は上等で、町の中でも一段と格の高さを感じさせる建物だった。


(まずは交易商人ゴルドだ。昨日の噂では、コナリ商会の会長を務めているってことだったから、ここなら出会えるはず!)

「すみません、ゴルド氏に面会をお願いしたいのですが」


受付の女性は事務的な口調で返す。

「アポイントはお取りいただいていますか?」


「いや、まだです。王国軍からの武器販売について、ご相談したいことがあって……」


女性は帳簿を確かめ、淡々と首を振った。


「申し訳ございません。現在、ゴルド氏は外出中でございます」


そのとき、恰幅の良い男が商会に入ってくる。


「やぁ、ゴルド氏に土産を渡したい」


「これはツェペリン伯、奥へどうぞ」


そう言いながら、当然のように奥へ通されていく。


「……あの、今ここにいらっしゃるんじゃ?」


「いえ。先ほども申し上げた通り、ただいま外出中です」


受付は視線を合わせようともせず、書類を整え続けた。


「…………」


結局、亮太は追い返される形で外へ出た。


(大物すぎた……。まさか受付の段階で門前払いとは。やっぱり、誰か紹介者を通さないと駄目か)


ため息を吐きながらも、気持ちを切り替える。


「仕方ない。次は護衛商人ブランツだな」



港に近づくと、木材や塩の匂い、縄のきしみ、怒鳴り声が入り混じり、独特の喧噪が広がっていた。


(3人の中で、本命はブランツだ。だから失敗しちゃいけない、そのためにこちらも準備してきた)


後ろには無言で佇むアンデッド・ダリオの姿があった。


(何かあったときのために……ダリオさんにもついてきてもらっているし)



意を決し、アジトの扉を開ける。


屈強な男たちが並び、一斉に視線を向けてきた。亮太は一歩前へ出る。

「俺はリューベックのペガサス支部所属、亮太。ブランツさん、あなたへ王国軍への武器納入のクエストを受けていて、ぜひ協力をお願いしたい!」


奥から現れたのは、孔雀の羽を部下に仰がせながら現れる大男――ブランツ。鍛え上げられた肉体と無数の傷跡、その目は鋭く澄んでいる。


「王国軍への納入、だと……?」



――【KPI表示】ブランツ(護衛商人)

KGI:商隊の規模拡大と支配力の強化

KPI:護送依頼成功率 92%/港取引件数 180件



(見た目は武人だが、彼も商人。ならば取引を持ちかければ耳を貸すはず――!)

「もちろん、手ぶらで頼みに来たわけではありません。こちらをご覧ください」


亮太は懐から小さな鉱石を取り出し、机に置いた。部下の一人が鼻で笑う。

「なんだ、ただの石ころか――って、待てよ?」


「お気づきになりましたか? これは北方峠でしか採れない希少石。いまリューベックの商人たちが必死に買い漁っています」


さらに小袋を取り出し、鮮やかな光を放つ別の石を並べる。ブランツが歩み寄り、じっと見下ろした。

「……宝石か」


「その通り。北方峠の採掘場から鉱石を運ぶ途中で、同じく採れる希少鉱石も積み込みます。護送を引き受けていただけるなら、報酬として差し上げます。さらに加工についてはコナリ町の工房に融通を利かせてあります。あなた方なら通常より安く宝石加工ができるはずです」


「……ほぅ。北方棘は魔物の影響で操業停止したと聞いたが?」


(さすが噂が早い……)

「ご安心ください。1か月もすれば再開します」


(嘘は言っていない…未来のことであれば帳尻を合わせに行けばいいんだ)


亮太は見積もりを差し出す。

「我々が王国へ納入する度に、この石が手に入る。5回繰り返せば――船をもう一隻増やせます」


部下たちが一斉にざわめく。


「船が増えるのか!」

「兄貴、これは掘り出し物ですよ!」


「静まれ!」

ブランツの一喝に、部下たちは一斉に閉口した。


「勝手に盛り上がってんじゃねぇ……リューベックの亮太。お前の弁は悪くない。部下をここまで盛り上げたのも久しぶりだ」


亮太は胸を高鳴らせる。

(やった……!)


だがブランツはにやりと笑い、告げた。

「――断る」


「な……!」


理由を問うと、ブランツは静かに言った。

「調べるんだ。王国軍が“わざわざ”クエストにした理由をな。俺はゴルド絡みのきな臭ぇ依頼は受けねぇ」


核心には触れず、それでも確かな忠告だった。


「そんな……わかりました」

亮太は深く頭を下げた。去り際に、ブランツは視線をダリオへ向ける。

「お前みたいな屈強な男がいりゃ、どんな航路も安泰だ。どうだ、俺のところに来ないか?」


亮太は慌てて割って入った。

「す、すみません! ダリオさんは俺の仲間です! 引き抜きはお断りします!」



港を後にしながら、亮太はため息をついた。

(結局、後半はずっとダリオさんを引き抜こうとしてきたな……断るのに必死だったよ)


そして現実を突きつけられる。

(本命のブランツにも断られた。残るは影商人ルシアン……だが奴は神出鬼没。居場所すら掴めていない。まずい、まずい……)

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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