表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜、異世界でブラック企業をホワイト化します! 〜倒産寸前ギルドを“残業ゼロ”で救う〜  作者: 凪乃
1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/40

第24話「再び火と鉄を」

「そこで……オルグレンさんにお願いがあります。あなたに何があったのか、話を聞かせてほしいんです」


「はぁ? 何を言い出す」


オルグレンが困惑する。


「スモークドレイクと戦ったときのことです。あの大槌と大盾……あんな火炎を防ぎ、鱗を砕いた武器をこの目で見たからこそ信じられないんです。そんな武器を作れるあなたが、どうして“誰かのために武器を作らなくなった”のか……」


オルグレンは短く息を吐き、しばらく黙り込む。やがて観念したように語り始めた。


「……俺は貧民街の生まれだ。飯もろくに食えず、飢え死にしかけたこともある。だが火と鉄だけは俺を裏切らなかった。必死に槌を振り、技を磨き……気づけば王侯貴族の注文を受け、軍の武具を任されるほどになった。若造の俺が“王都一の鍛冶師”なんて呼ばれるくらいにはな」


膝の上のこぶしが強く握られる。


「そして――王国で名高いレオニード将軍の剣を打つことになった時、俺は震えた。あの人のために、最高の剣を打とうと命を削るように炉に向かった。鉄を選び、何度も打ち直し、俺にできるすべてを注ぎ込んだ。あれは間違いなく“最高の剣”だった」


だが、その声は苦く沈んでいく。


「……だが、将軍は帰ってこなかった。戦の一騎打ちで、剣が折れ……ウッド将軍は死んだ。俺が打った剣で……だ」


(そんなことが……)


「その日からだ。俺に依頼する奴は誰もいなくなった。……いや、それ以上に、俺自身が人のために武器を打つ気を失った」


亮太の頭に、管理人の言葉が蘇る。


「管理人さんが言っていました。その事件は、あなたのせいじゃないって」


短い沈黙。やがて、オルグレンは小さく鼻で笑った。

「実際のところはわからねぇ。……まぁ今となってはどうでもいい。だが――どこに行っても、結局槌は振っちまうんだ。

苦い笑みを浮かべる。


「……昔話はここまでだ。重要なのは今だろう」


「え……?」


オルグレンが真っ直ぐに亮太を見据える。

「今度は俺が聞く番だ。お前はどうして、そこまで俺を雇いたいと思う?」


亮太は背筋を伸ばし、腹の底に力を込めた。


「俺はリューベックのペガサス支部の亮太です。今回、リューベックの鉱山商会からクエストを依頼されて、その前準備としてここに来ました。リューベックの人たちは、この採掘場を本格的に開発し、希少鉱石を高く買い取りたいと考えています。ですが最大の障害は北方峠への街道。険しく、魔物も多い。今までは利益が薄く、実現できませんでした」


一呼吸置き、声に熱を込める。

「けれど、俺たちギルドが護衛を担い、採掘した鉱石をコナリ町で加工して王国軍に納め、さらに希少鉱石をリューベックへ送る仕組みを作れば、利益率は段違いになります。往来も活発になり、労働力も集まる。町も採掘場も発展できるんです!」


オルグレンは黙したまま、鋭い眼で見据える。

(えっ……やばい、何か変なこと言った!?)


亮太は、矢継ぎ早に続ける。


「……この大変な遠征を成し遂げられるのは、あなたしかいない!」


ようやく、オルグレンが口を開いた。

「……そうか。わかった」


「!」


「確かに、この辺りじゃリューベックよりもコナリ町の方が鍛冶師は多い。リューベックの連中がこの鉱石を狙ってる噂も聞いていた。……思った以上に、でかい話らしいな」


声には冷静さがあったが、オルグレンの瞳には抑えきれない光が宿っていた。


(あれ……? ひょっとして、この人……少しワクワクしてるんじゃ……?)

「石の良し悪しを見極められるのは、鑑定人か鍛冶師くらいのもんだ。……いいだろう。協力してやる」


「っ……本当ですか!?」


亮太の声が弾んだ。胸の奥が熱くなる。

(やった……やったぞ……!)


オルグレンは無骨な槌の柄を撫で、口元にわずかな笑みを浮かべる。

本人は平静を装っているが、長く押し殺してきた熱が漏れ出していた。


「……まったく。久々に腕が鳴るぜ」




――【KPI更新】


【オルグレン(鍛冶師/元王都一の職人)】


士気:5 → 56/100 ↑


KGI:ギルド鍛冶師として武具の作成

KPI:鍛冶技術 98%/100%

精神状態:トラウマ→なし



ここまで読んでくださりありがとうございます!

【更新スケジュール】

・平日は朝6:00更新

・休日は朝9:00更新


ブクマしていただくと、マイページからすぐ作品に戻れたり、更新通知を受け取ることができます!

もし「続きが気になる」「応援したい」と思っていただけたら、ブクマや★評価をしていただけると大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ