第73話 疑惑の騎士
仕事が忙しく、2〜3日に1回の更新ペースになりそうです。
疑惑の騎士レベッカについて金の出処は分かったので、金の流れを追うことになった。
具体的にはこうだ。
ローナのダンジョンで魔武具を獲得できたら領都にてオークションに掛けるように勧める。
領都のオークションならサンチェス伯爵が金額を把握できるし彼のお膝元なので調査しやすい。
そして男爵家から定期的に提出される収支の報告書と照らし合わせて問題がないか確認する。
まずは伯爵家主体で動くからオレたちは魔武具の入手に集中すればいいとのことだ。
クリス様からお願いされた男爵家の内部調査も一旦伯爵が担ってくれるとのことだ。
しばらくはレベッカを待つことになる。それまではレベルアップに勤しもう。今現在のステータスはこんな感じ。
名前:ガレス Lv58→73
年齢:16
加護:大天使の加護 水精霊の呪い
スキル:夜の帝王Lv3→4 不意打ち耐性Lv4→6 薬品精製Lv5 弓術Lv6→7 風魔法Lv6→7 火魔法Lv4→5 魔具使いLv3
派生スキル:鷹の目
称号:一騎当千 ジャイアントキリング
力:98→113(+355)
耐久:96→111(+172)
俊敏:207→267(+470)
知力:135→180(+99)
精神:100→130(+112)
器用:209→254(+180)
魅力:91→106(+508)
運:50(+28)
体力:307→367(+567)
魔力:237→282(+155)
装備:剛弓ウル 力の指輪
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名前:レイラ Lv:85→95
加護:なし
年齢:28
スキル:気配察知Lv10 短剣術Lv8→9 隠密:Lv8→9 盗み:Lv10(封印) 魔武具使いLv3 →4
【能力値】
力:98→108(+22)
耐久:106→116(+23)
俊敏:480→530(+106)
知力:105→115(+23)
精神:143→153(+31)
器用:376→416(+83)
魅力:98→108(+21)
運:32(+6)
体力:489→519(+103)
魔力:138→148(+29)
装備:宵闇の衣
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名前:キャロル Lv55→70
年齢:34
加護:なし
スキル:罠設置Lv7→8 罠解除Lv8→9 開錠Lv8 闇魔法Lv5→6
称号:罠師
力:→103(+21)
知力:114→144(+29)
精神:95→110(+22)
器用:323→398(+79)
魅力:155→185(+37)
運:55(+11)
体力:234→279(+55)
魔力:182→212(+42)
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名前:フローラ Lv50
年齢:17
加護:なし
スキル:光魔法Lv7 杖術Lv5
称号:なし
力:45(+9)
耐久:55(+11)
俊敏:73(+15)
知力:128(+25)
精神:456(+91)
器用:212(+42)
魅力:403(+81)
運:45(+9)
体力:223(+45)
魔力:232(+46)
フローラは聖女になるべく努力していたこともあり、それほどレベルは離れていない。そしてさすが聖女候補というべきか、精神特化のステータスだ。
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名前:ヤエ Lv8→18
年齢:2
種族:マジック・スパイダー
スキル:毒Lv4 糸Lv5→6 魔武具使いLv2 毒耐性Lv4 魔法陣構築Lv2→4
【能力値】
力:45→55
耐久:45→55
俊敏:96→116
知力:152→192
精神:96→126
器用:96→126
魅力:48→53
運:50
体力:152→192
魔力:208→248
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2週間が過ぎたところでようやく待ち人が指名依頼をしてくれた。
「よう、レベッカ、久しぶりだな」
レベッカは男爵だが、レベッカ自身が敬語を望まないので普通に話している。
『久しぶりね。先月も来たのだけど、貴方たちはいなかったでしょう。王都に行ってたと聞いたわ』
「ああ、お世話になっている方からの指名依頼があって王都にいた。依頼は無事完了したからな。これからはローナでダンジョン攻略さ」
『そうか、戻ってきてくれたのはありがたい。先月は臨時パーティを組んだり、一人で潜ったりしたけど、全然上手くいかなかったのよ。今日から数日間よろしく頼むわね』
レベッカとのダンジョン攻略は安定感がある。彼女はタンクとして優秀で、女だてらに大きい盾を持ち、敵の攻撃を一手に引き受ける。今回からフローラもいて防御力上昇の補助魔法をかけることが出来るのでより安定するだろう。
50~80階層で彼女が対応できないのは唯一グレムリンだけだ。グレムリンはスピードがあり飛行している。レベッカ自身がターゲットなら余裕で攻撃を防げるが、敵が複数、かつ、後衛が狙われた場合、スピードに対応しきれず後衛に敵を通してしまう。
もっとも、キャロルの罠で対応可能だが。罠を張っていればグレムリン自身のスピードが仇となり、罠を躱せず勝手に突っ込んでくる。そんなわけで、レベッカいれば安全に80階層まで攻略できる。
1〜4日目は碌なアイテムを入手することはできなかったが、5日目にしてようやく魔武具を入手した。
魔剣『焔』。癖がなくて使いやすい剣だ。これは高値が付く。
「レベッカ、この魔剣は使いやすそうだからオークションに掛けてみたらどうだ?きっと高値がつくぞ。領都グラナダならさほど遠くないだろ?」
『そうね…考えてみるわ』
焔を手に入れた時点で指名依頼は終了。レベッカは帰っていった。
・・・・・・
1ヶ月後、サンチェス伯爵に呼ばれたのでサンチェス伯爵家が治める領都グラナダにやってきた。
『わざわざ来てもらってすまなかったね。私がサンチェス伯爵家当主、ダリオ・サンチェスだ。今回のレベッカの件について君たちにも情報共有しておこうと思って呼んだんだ』
温和で話しやすそうな人だ。おや?今日はホセさんもいる。クリス様のところではないのか。
『どこから話そうか。まぁ結論から言おう。現状、何も変わっていない。レベッカ男爵にはちゃんと領地経営しなさいと注意したくらいだよ』
ダリオ様曰く、今回魔剣をオークションに掛けたレベッカは大金を手に入れた。
その後、数日が過ぎ、男爵領の収支報告書の提出日となったわけだが予想通り赤字。赤字は魔剣を売った金で補填したと堂々と記載してあった。
ダリオ様は領地経営の方法として問題があると指摘すると素直に認めたらしい。
しかし、レベッカは今まで騎士として生きてきたので領地経営のやり方が分からない。今、家令に教わっているところなので成長を待って欲しいと殊勝な態度で言ったそうだ。
『魔剣を売った金はあくまで私財となるから彼女がどう使おうが自由なんだよね。領主としての努力もしているようだし、法にも触れていないからこちらも強く言えないわけさ』
「…ついでに言えばレベッカの出品した魔剣を落札したのがご子息であることも強く言えない
要因ですか?」
焔を帯剣しているホセさんが苦笑いしながら言い訳する。
『ほら、クィーン討伐の際に私も魔武具使いのスキルを習得しただろ。魔剣を探しているところにこの剣を見せられてはねぇ』
ダリオ様が呆れた顔で話す。
『オークションが白熱してると思ったら、一番熱くなっているのが愚息だと分かったときは、開いた口が塞がらなかったよ』
さて、どうするかな。レベッカと何度もダンジョンに潜ったことのあるオレとしては、レベッカは悪事に手を染めるような人間ではないと思っていた。事実、悪事に手を染めていないことが確認できた。まぁ領地経営のやり方はどうかと思うが。
だが、彼女の騎士としての腕は欲しい。さらに言えば女性としても欲しいと思うくらい美人だ。そんな事を考えているとダリオ様が愚痴を話し始めた。
『実を言うとね、彼女に預けている領地を返して欲しいだよ。先代が生きていた頃から大して旨味のない土地なんだ。人口も減る一方だし、だから街道でも作ろうかと思ってね。その方が物流が良くなって伯爵領全体の利益が上がるはずなんだ。でもうら若き女性が頑張ってるのを見ると気が引けるね』
ん~?なんでそんな事をオレに話すかな。頑張ってる男爵から落ち度もないのに領地を取り上げるのは外聞が悪い。だからどうにかしろと言っている、とかかな?…考え過ぎか。
「ちょっと気になることがあるので自分も動いてみます」
『あぁ、構わないよ。何かあったら報告してくれたまえ』
・・・・・・
実を言うと既に動いており、レイラたちにはスアレス男爵家の家令について調べてもらってる。グラナダで待ち合わせしてるのだか…
『マスター、そっちの話は終わったかい?』
「ああ、一旦な。そっちはどうだ?」
『読み通り家令はクソ野郎だったよ』




