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第70話 裏の人間

ー 時は指名依頼を受けた直後に遡る ー


クリス様の依頼を受けたが、ノルン様を救い出すには敵を把握しなければいけない。

国外追放になった令嬢を襲う可能性がある盗賊や組織に目星をつけるため、まずはレイラが盗賊時代に使ったことがある情報屋をあたってみることにした。


『私が過去に情報屋を使ったのは3~4年前だからね、今はどうなっているか分からないよ』


「いいさ。ダメなら他の手を考えよう」


・・・・・・


『情報屋はまだ情報屋として続いていたが、何か様子が変だったな』


『そうね、ノルン様の名を出した途端、急に塩対応になったわ』


まぁ気にしても仕方ない。他の情報屋にあたるか…それともオットーさんにも相談してみようかと考えながら歩いていると、ガラの悪い連中に囲まれた。


「…一体どうなっている?」


『これは…さっきの情報屋が私らの情報を流したとしか思えないっ、うっ!』


なにっ!?レイラの意識が刈り取られた?咄嗟にレイラを抱きかかえる。何をされたか見えなかったぞ、ぐっぁ!!意識が…


・・・・・・


目を覚ますとレイラと二人で拘束されていた。


そして目の前に3人、ヤバイ雰囲気の男たちが佇んでいた。周りには護衛と思われる男が数名いる。どうやら拉致されたようだな。レイラも意識を取り戻しており目が合う。そしてオットーさんと初めて会った時と同じ目線をレイラが送って来た。こいつらがオットーさん並みにヤバイということだ。


3人の内の一人が語りかけてくる。


『貴様らノルン嬢のことを嗅ぎまわっていたようだが何者だ?本来なら障害になりそうなやつはブッ殺すところだが、貴様らがノルン嬢に命を助けられた人間なら仲間かもしれねぇ。殺す、殺さないは貴様らの話を聞いてから決めてやる。

おい、男、ギルドカードを持っているところをみると冒険者だな。奴隷を連れているから奴隷パーティか?まぁ奴隷がいるなら話は早い。奴隷に嘘偽りなく質問に答えるように命じろ』


ノルン嬢に命を助けられた人間は仲間?よくわからんが従った方が良さそうだ。


「わかった。レイラ、命令だ。この3人の質問に嘘偽りなく答えろ」


『わかったよ』


「ふん、じゃぁ質問するぜ、お前らは誰の命令で動いてる?』


『クリスティーナ・フェアリーテール侯爵令嬢さ』


『『『なんだと!!』』』


3人が一斉に驚く。


『クリスティーナ嬢はノルン嬢と一番仲がいい学友のはずだ。まさか国外追放を無視して助けようとしているのか?おい、どういう事情か、洗いざらい全てを吐け!』


オレとレイラはクリス様からの依頼内容と心情を伝えた。


・・・・・・


『なるほどな、そういう事情か。クリスティーナ嬢は苦渋の決断をしてお前らにノルン嬢の救出を依頼したのか。だか心配いらねぇ。ノルン嬢は俺たちが助ける。クリスティーナ嬢にそう伝えてくれ』


このヤバイ雰囲気を醸し出す3人は、雰囲気そのまんまのとんでもなくヤバイ連中でリンドブルム王国の裏街を取り仕切っている元締めたちだ。

普段はいがみ合っている…というか、殺し合っている3人だが、今はノルン様を救出するという目的のため協力している。なぜこんな事態になったのか。答えは至極簡単だった。

ノルン様は癒し手として非常に優秀で、かつ、平民だろうが誰だろうが分け隔てなく癒していた。ノルン様が過去に癒した中にいたのだ、仕事で下手を打って死にかけていたチンピラが。下半身を魔法で焼かれ不能に絶望していた男が。瀕死の息子を救われた強面のオッサンが。その結果が目の前の3人だ。いや、それだけではない、この3人の話だとノルン様が癒した裏の人間は数知れず、いつしか裏の人間はノルン様に手を出してはいけないという不文律が存在するまでなっているらしい。ノルン様はリンドブルム王国最強の令嬢と言っても過言ではない。当の本人は全く知らないが。


『ノルン嬢を陥れるために捏造された罪の証拠は、捏造されたものだとわかる証拠を捏造しておいた』


おおぅ?、わけわからんがノルン様は助かるのね。


『そしてノルン嬢を無実の罪で陥れたマリアーノ侯爵家は来週には没落してる。マリアーノ家の人間は裏の人間全てを敵に回したに等しい。没落後、地獄を見ることになるだろうよ』


こーわーいー


「承知した。我々は手を出さず傍観させてもらうよ」


『ああ、そうしておけ。クリスティーナ嬢によろしくな』


・・・・・・


ー フェアリーテール侯爵邸 ー


「ということで、ノルン様は助かります」


『なるほどね、ノルンを敵に回したら裏の人間全てが敵になるわけか、怖いなぁ…』


クリス様は安心した様に微笑んでいる…が少し考え事をしてるようだ。


「…どうかしたか?」


『ねぇガレス、もう一度その怖い3人に会ってお願いしてきてくれないかな』


「できれば二度と会いたくない類の人間だったが、一応何をお願いしたいのか話を聞こう」


『フローラ・マリアーノ侯爵令嬢は私に頭を下げたのよ。彼女は自分の父親が暗躍したことに気付いている。ノルンが罪を犯すようなことはしない人間だと信じている。でも彼女にはどうにもできなかった…ノルンの国外追放は彼女が望んだことではないわ。だから元々ノルンのために用意してた道を、ガレスの奴隷になる道を彼女に選べるようにして欲しい』


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