第8話 異世界初日2
冒険者ギルドに着いた。
思いの外キレイな造りだ。野郎ばかりかと思ったが女性もそれなりにいる。
着いて早々、オッサンが受付嬢に向かって叫んだ
『ニーナ嬢ちゃん、転生者を拾ってきたぜ』
周りいる冒険者達が少しザワつく。
今日もかとか、またか、とか話してるな。最近転生者が来たのか?
『はーい、ありがとうございます』
『あ、転生者さんはコチラに来て座ってくださいね』
「はい」
『はじめまして、リンドブルム王国冒険者ギルド バスク支部の受付嬢ニーナです。』
「転生者のガレスです」
『早速ですが、この国では転生者には必ず冒険者登録してもらうことになっていますが問題ありませんか?』
「ええ、問題ありません」
『ではガレスさん、コチラのオーブに手をかざしてください。基本的な情報を読み取ります』
「基本的な情報とは?」
『名前、年齢、スキル、犯罪歴ですね』
スキル説明の解釈が合ってるなら、オレのスキルは読み取られないはずだか、どうなるかな?
「わかりました」
そう言ってオーブに手を添える。
するとオーブが淡く光る。
『スキルは不意打ち耐性ですね』
うん、思った通りだだった。
周りからは、普通だなとか、斥候なら役立つかとか聞こえてくる。
『・・・あの、あまり良い気分ではないでしょうけど、これも決まりなんです』
「え?何のこと?」
『スキルを公開するように判定したことがです』
「あー、どうせ過去にアホな転生者が強スキルを授けてもらったのにも関わらず、悪用して問題でも起こしたのでしょう?」
『はい、まさにその通りです。
それ以来、転生者には冒険者登録が義務付けられ、スキルの公開が推奨されるようになりました。』
「そうですか、オレのスキルは問題ありませんか?」
『はい、不意打ち耐性は転生者にとって、わりとメジャーなスキルです。優秀な斥候になりえますよ』
メジャーか、そうだろうな。死因が予期せぬ事故死とかだったら不意打ち耐性がつきそうなもんだ。
まぁ、オレの場合は予期せぬ拳が飛んできたのだかな!
「それはどうも。」
『冒険者について説明を受けますか?』
「はい、お願いします」
『冒険者の主な役割は依頼者からの依頼をこなすことと、地域の治安維持です。
依頼の内容は多岐に渡りに、討伐、護衛、探索、採取、配達などが主な業務です。冒険者ランクが低いうちは街中だけで完結するおつかいや、掃除などの依頼もあります。
治安維持は騎士団だけでは手が回らない場合に狩り出されます。』
『冒険者にはランクがあります。
ランクはFからSSまであり、規定回数依頼をこなせばランクが上がります。特に試験などはありません。ただし、Sランクはギルド長の、SSランクは国の承認が必要になります。なお、Cランク以上は強制依頼の対象になります』
うむ、概ね異世界転生のテンプレ通りと言っていいだろう。
『今、あなたは武器も防具もお金も持っていませんね?』
「はい、仰る通りです」
『転生者に限り、武器、防具、当面の生活資金を冒険者ギルドから貸し出しています
1年間は無利子となっていますが利用しますか』
「お願いします。武器は決まっていませんから、とりあえず剣で。
後で武器を変えることもできますか?」
『できますよ。返してくれさえすれば問題ありません』
「わかりました」
『何か他に質問はございますか?』
「・・・いえ、ありません。分からないことがあったら、その都度させてください」
『ええ、構いませんよ。
では、ギルドカードと武器、防具、をお渡しします。生活資金については、まず3日間暮らせる程度お渡ししておきますが、足りない場合はギルド受付まで来てください』
「・・・あまりお金持っていると狙われる、ということですか」
『ええ、そういうことです。
あなた方の言う前世に比べると治安は良くないと思います。
それに3日もすれば稼げる人は稼げますので』
「治安については国にもよりますが、オレのいた国よりは悪いだろうなぁ。
わかりました、3日で稼げるように頑張ります」
『ええ、頑張ってください』
さて依頼ボードでも見に行くか。
と、思った瞬間、声をかけられた。
『あんた、転生者なんだって?
オレは川村誠。
あんたと同じ転生者だ。
この異世界で出会えたのも何かの縁だ。一緒に依頼をこなさないか?』