表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/101

閑話 クリスティーナ会議に参加する

ニーズヘッグ王国の王都に到着した。王都はまだ攻められていないはずなのに多少の混乱の跡が見て取れる。


『無理もない。王都防衛の最重要拠点であったルシオールがあっさり陥落し、残虐の限りを尽くされたのだ。次は我が身となれば、混乱の1つや2つ起きるだろう』


そうペドロ師団長が言う

王都に着いた直後、王城への登城要請があった。何でも御前会議の真っ最中らしい。


『混乱は民だけではないようだ。着いて2時間も経たぬ内に御前会議に参加せよとは予想以上に追い詰められているな』


「ええ、そうですね、挨拶もなしに会議とは…ここに来るまでに作戦を決めておいて良かったですね。しかし、ニーズヘッグ王とジオ殿下に真実を伝える時間がありませんし、最初はまとめて騙すしかありませんか」


王城に着くとジオ殿下が出迎えてくれた。私たちは王族に出迎えてもらうほど偉くないのだけど…


「殿下に出迎えていただけるとは恐れ多いことでございます」


そう申し上げながら礼節を取ろうとすると手で制止された。


『いや、礼はいい。よく来てくれた。再び君に生きて会えたことを嬉しく思うよ、クリス』


ペドロ師団長も挨拶する。


『お初にお目にかかります。リンドブルム王国魔法師団団長、ペドロ・プレサスと申します。この度は援軍のまとめ役を務めております』


『我が国の窮地に援軍を送っていただき心から感謝する。到着早々会議に参加して欲しいなど無茶言って申し訳ない』


『いえ、問題ございません』


『事前に伝えておくが、会議は紛糾していてな。もしかしたら卿らに失礼なことを言う者も出てくると思う。その際は申し訳ないが許して欲しい』


「殿下、問題ございません。魔導ゴーレムに対抗するための援軍としては少ないと自覚しております。ですが我々には策がございます。策の内容を聞けば納得していただけると信じていますわ」


『それは頼もしい。では参ろうか』


・・・・・・


会議室への移動中、殿下がこっそり話しかけてくる。


『クリス、私の呼び方は殿下に戻ってしまったのか?寂しいな』


「うっ、申し訳ございません。しかし公式の場でお名前呼ぶのは少々抵抗がございます…」


『なるほど、つまり非公式に会って名前を呼ぶことには抵抗がないわけだ。楽しみにしておこう』


「〜〜〜〜っ」


何と言うか、身なりを整えなさいと忠告した私が言うのも難だけど、殿下の色気の増しっぷりがエグい。

この非常事態が外見だけでなく、人として、王族して成長を促しているように見える。


『この部屋だ。準備はよろしいか』


厳かな扉が開かれる。

部屋に入ると、殿下が我々を紹介してくれる


『リンドブルム王国より援軍が到着いたしました。こちらは援軍を率いるペドロ・プレサス殿とクリスティーナ・フェアリーテール嬢です』


会議に参加している面々からは様々な声が聞こえる。主に私のものだが。アクア様の授かった令嬢かとか、サリアを守った令嬢とか、批判的なものは令嬢ごときが会議に参加するなとか、魔法師団のみでゴーレムに対応できるわけないとか。

どーでもいいけどね。説明はペドロ師団長がしてくれる予定だし、私は大人しくしていよう。


『貴国からの要請を受け、リンドブルム王国より魔法師団を引き連れて参りました。貴国の勝利のため全力を尽くします』


それにニーズヘッグ王が応える


『よく来てくれた。既に伝え聞いていると思うが、我が国は城塞都市ルシオールが落ち、ファフニール軍はこの王都に迫っている。ファフニール軍は新兵器の魔導ゴーレムを擁しており、我が軍だけでこれに対抗するのは難しい状況だ。

我が息子ジオより、そちらのクリスティーナ嬢はゴーレムとの遭遇戦に勝利し、さらにその際の情報をもとに策を弄し、サリアでは5体ものゴーレムを破壊したと聞いている。今回の援軍に際しても何か策があると推察するがいかがだろうか?』


『陛下のご推察の通り、我々には策がございます』


会議室全体が、おぉと唸る。


『これより詳細を説明いたします…』


ペドロ師団長がニセの策を説明してくれた…が、弱点は伏せたままだ。いいのかな?


『…では、戦略魔法でゴーレムであっても敵を拘束出来るということだな』


『はい。ニーズヘッグ軍には拘束後の対処をお願いしたい。』


『相分かった。任せられよ』


・・・・・・


王城からの帰り道でペドロ師団長に尋ねる。


「弱点は伝えてませんがどうするつもりですか?」


『こういう弱点という類のものは、隠していることを装っておけば信憑性が増す。

後で騎士団長クラスの高官のみに弱点を伝える。どうせ末端の兵士を動かす過程で情報は漏れるさ。ファフニール帝国の方でも情報を収集しているだろうからな』


「そんな上手く事が運びますかねぇ」


『上手く事が運ばなかったらニーズヘッグ王国が滅びるだけだ。我が国が滅びるわけではない』


「ドライですねぇ」


『さぁ、ニーズヘッグ王国への説明は済んだ。準備にとりかかるぞ!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ