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第67話 ケイローン


レイラが救援に来てくれると信じ、ヤエを街道沿いに配置してレイラとの連絡係をお願いした。


日が傾き始めたころ、ヤエがレイラを連れてきた。ミレーヌさんとミレーヌさんのパーティメンバー2人も一緒だ


『マスター!!』


レイラが抱き着いてくる。ぬぅ足が痛いがここは我慢だ。


『良かった。生きて会えた…本当に、本当に良かったよぉ~』


と、泣き始めてしまった。


しばらくレイラを愛でていると、もういいか?言いたそうにミレーヌさんが質問してきた。


『邪魔しちゃ悪いとは思うけど、そろそろ状況を説明して欲しいわぁ』


「すみません。今から説明します…」


オレは、ケンタウロスの変異種と戦いギリギリ勝利を収めたこと、このケンタウロスの生い立ちや転生者であること、神託があり殺さないで欲しいことを伝えた。


『神託があったねぇ…』


「はい、どうやら魔物への転生はイレギュラーらしく調査が必要のようですね。証人として生かしておいて欲しいとのことでしたよ」


神託の内容は伝えたが、ケンタウロスを生かすか、殺すかの判断はギルドマスターに委ねることになった。

レイラが救援を求めてギルドに戻った時、ギルマスからの依頼だったので可能な限り情報を伏せていた。

そのおかげでギルドでは敵がケンタウロスであることはまだ広まってないはずとのことだったから、犯人を隠すことはできるだろう。

問題は、今、ケンタウロスをどうするかだ。このままケンタウロスを放っておくことは出来ないけど、連れて帰ったら目立つし、感の良いやつはこいつ等が犯人と思うだろう。どうしたものかと考えているとレイラが解決案を示す。


『あのミレーヌさん、相手は転生者とはいえ魔物なんだよね、だったら従魔契約ができるんじゃないかい』


なるほど一理ある。


「…従魔契約するならオレよりミレーヌさんがした方がいいかもしれませんね。基本的にミレーヌさんはローナから動かないですよね。

ケンタウロスたちが定住するならこの森でいいと思うんですよ。基本自給自足で家族で暮らしてもらって食料が足りなくなったらこっそりローナから持ってくるとかすれば馬車を襲う必要もないでしょう?」


『私わ構わないわよぉ』


『一つ聞きたいが、ミレーヌと言ったか?あんた強いのか?』


あ、この馬鹿ケンタウロス、いらんことを言いやがった。するとミレーヌさんから殺気が漏れ出す。


『ああ、強いよ。貴様が負けたガレスの遥か上をいくねぇ』


殺気が充満し場を支配した…あーまずい。子供のケンタウロスが殺気にあてられて意識が飛びかけてる。


「ミレーヌさん、ヤバイヤバイ殺気抑えて。子供もいるから」


『おや、そうだった。ごめんなさいねぇ」


『い、いや、よく分かった。で、従魔契約とはどうやるんだ?』


『基本的に魔物に力の差を見せて、従魔になれだのテイムだの伝えればいいはずだねぇ。少なくとも人間側はね。今、力の差は見せたから…テイム!』


『おぉ、言葉では言い表し難い感覚だ。強制力もある…承認した…何と言うか不思議な感覚だ。強者に従う安心感というのだろうか。ミレーヌ殿、命令をくれ』


『そうね、まずはこの森で大人しく自給自足していて。近日中にガレスを遣いにやるわ。その時、足りない物を伝えてちょうだい。すぐに用意するから。

今回の盗賊騒ぎが下火になるまで待ってからギルマスの許可が下りれば街にも入れるように調整してみるわ。とりあえずそんな感じでいいわよねぇ?』


特に反対する者はいなかった。

従魔契約してれば余程のことがない限り従魔は逆らわない。ケンタウロスも強制力のようなものが働いてる感じはすると言っていた。


『街に戻るけど、他に何かあるかしらぁ?』


オレが手を挙げる。


「7体ケンタウロスがいますからね、せめて従魔にした変異種くらい名前付けませんか?名前無いだろ、お前?」


『うむ、主に、ミレーヌ殿に付けていただきたい!』


『そうねぇ…じぁゃ、貴方の名前はケイローンよ』


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