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閑話 クリスティーナ再び旅に出る

- クリスティーナ視点 -


私は今、馬車でファフニール帝国の国境付近の村に向けて移動中である。

同行者はペドロ魔法師団長。未婚の男女が一緒に旅行というのは問題あるので、一応商家の馬車を装うくらいの偽装はしている。


『クリスティーナ嬢、暇だからこの移動中に魔法陣を多数同時に描く方法を話をしてほしいものだが、どうだろうか?』


「いいですよ」


私は快諾する。方法を教えたらすぐに帰って試すとか言いそうではあるが、どうせクリーン・キラービーで蜘蛛の進化条件を満たすつもりだ。

ペドロ団長が蜘蛛をテイムしてから進化させるよりは、クイーン・キラービー討伐で進化させる方が早いだろう。ペドロ団長のような効率を重視する人間であるならば早い方を選ぶはずだ。そう考え、蜘蛛の進化について詳細を伝える。


・・・・・・


『なるほど。討伐後に教えると言っておきながら、今すぐ教えて欲しいという私の要望に素直に応じたのは、その肩に乗ってる蜘蛛をクイーン・キラービーの討伐で進化させようとしているからか。進化を条件の確認や、進化後の魔法陣の習得具合等々、私が関わらないわけがない。そう思っているのだな?』


「ええ、その通りです。理解が早くて助かります」


『フフッ、まったくもって不愉快だが君に従うのが一番効率的なようだ。素直に従おう』


…この男、非効率だったらバックレてたってことかしら?殴りたくなってくるわ。

はぁ、他のメンバーは問題なく目的地に向かっているかしら?心配だわ…特にナターシャの貞操が。


・・・・・・


- ナターシャ視点 -



『どうした、ナターシャ嬢?もうバテたのか』


「はぁ、はぁ、はぁ」


『君からの情熱的な告白に俺は手取り足取り腰取り応えているのだがな』


「こぉの、変態がぁ!!」



私は告白したわけではない。ミゲル副隊長に稽古をつけて欲しいとお願いしたのだ。

近衛隊副隊長の実力を肌で感じたかったし、自分の双剣がどこまで通用するか知りたかった。

しかし、ここまで自分の剣が通用しないとは思わなかった。私の方が早い、早いはずなのにっ!

双剣で剣撃を打ち込む。ミゲル副隊長は槍斧の柄で受ける。受けた瞬間もう一方の剣で槍斧の防御が間に合わない箇所を切りつけた…のになんで間に合うのよ!

ミゲル副隊長は起用に柄を移動させたり、半回転させるような動きで剣撃を防ぐ。さっきからその繰り返しで完全にいなされてる。


『さっきから同じことの繰り返しで面白味がないぞ。そんなものか?』


「ミゲル副隊長だって攻撃できないでしょ・・・っ!!がっはっ!!」


剣撃を柄で押し返されバランスを崩されたその一瞬で柄による突きを鳩尾に食らう

息ができないし、動けない。前屈み倒れそうになったところ顔面を蹴り上げられた。


「ぶっっ」


『できないんじゃない。やらなかっただけだ。しかし、急所を攻撃されたからといって、そのまま前屈み倒れるやつがあるか。頭叩き割られて終るぞ。せめて敵との距離を取れ』


『容赦ないですね、ミゲル副隊長』


横で見ていたフィガロが話しかける。


『戦場では女だろうが男だろうが関係ないし、そもそも最初にナターシャ嬢から近衛隊でやっているような稽古をつけて欲しいと頼まれたからな。彼女の言葉に従っているだけだ。だが、まぁとりあえず休憩にするか』


全く通用しなかった。これでも毎日修行して強くなったつもりだったのに…最初から勝てるとは思っていなかったけど、ここまで実力差があるとは思わなかった。正直へこむわ。


『ナターシャ嬢、お前さん誰かに師事してもらってるのか?冒険者ギルドで基礎だけ習って後は我流で鍛え上げてないか?』


ミゲル副隊長の言う通りだ。最初に冒険者ギルドで双剣を習って以来、誰に師事してもらうこともなく依頼をこなすことによって双剣のスキルレベルを上げてきた。双剣のスキルレベルが上がって剣撃も技の冴えも良くなった。それの何が悪いというの?


「ミゲル副隊長の言う通りですが、それではダメなのですか?」


『別にダメじゃねぇさ。魔物相手ならそれで普通に通用するだろうよ。だが人間相手、特に相手が対人に慣れてる奴だと攻撃が単調で読みやすいと思われるだろうな。

だが、長年染み付いた型というか、癖みたいなやつは意識しても変えられるものじゃない。だからこの旅の短い期間で改善できそうなことくらいは教えてやる』


「本当ですか?教えてください。今すぐ」


『そうがっつくな。というかさっきから言ってるじゃねぇか、腰だって』


「えっ?さっき言ってた腰取りってやつですか?それはミゲル副隊長の変態的な性格からきた発言かと思ってました」


『ふざけたことぬかしていると犯すぞ。もっと腰を入れて攻撃しろって言ってんだよ。攻撃が重くなれば防御に力がいるし、相手も反撃に転じにくくなる。ちょっとばかし怖いのはカウンターだが、手数が多い双剣はタイミングが合わせにくいから大丈夫だろう』


なるほど、一理ある。よし、この旅の間に少しでも強くなってみせるわ



- ホセ視点 -


クイーン・キラービー討伐のため、ソフィア団長とサンドラと一緒に旅をしている。

仲が悪いという、ソフィア団長、ミゲル近衛副隊長、ペドロ魔法師団長が参加する討伐依頼と聞いてどうなるかと戦々恐々としていた。

だが全く予想しない事態になっていた。


「平和だなぁ」


旅の間、途中の都市でソフィア団長とサンドラの買い物に付き合ったり、甘味を食したり、完全に休暇ような過ごし方をしている。

ソフィア団長曰く、『現場に着くまでは休暇みたいなものよ』とのこと。


この平和が続かないと分かっていても、長く続くといいなぁと願うホセであった。


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