閑話 クリスティーナ面談する その3
目の前にいるのは近衛隊副隊長ミゲル・カシージャス殿。
魔槍斧の使い手だ。
近衛らしからぬ性格で大雑把かつ気分屋。後先考えずに行動する人に近衛隊が務まるのか疑問でしかないが、何故か部下からの信頼は厚い。
この人もソフィア団長と同じく駄々をこねるのだろうなと、思いつつ勅命を伝える
『いいぜ、行こう』
「…あっさりしてますね。ソフィア団長とペドロ魔法師団長はごねましたけど、本当に一緒でも大丈夫ですか?」
『一緒に任務こなすだけだろ?何も一緒に旅する必要もない。クリスティーナ嬢が陛下から全権委任されているんだったら現地集合にでもすればいいじゃねーか』
…それもそうね。盲点だったわ。仮に現地集合にするとしたらウチの騎士もバラけさせて護衛騎士として一緒に向かわせることになるわね。
爵位を考えると私とペドロ様が一緒に向かうとして、ソフィア団長とサンドラと…ホセかしら
。
ミゲル副隊長はナターシャとフィガロになるわね。
『侯爵家の騎士も一緒に行くんだろ?ちゃんと女騎士を付けてくれよ』
…そういえばこの人、貞操観念がぶっ壊れてるのだった。
30歳近いのに身を固めずフラフラしてるのよね。どうしようかしら?一緒に行く騎士を男だけにしようかしら?
『先に言っておくが、男だけの旅なんて御免被るからな、勅命は断るぜ』
うっ、顔に出てたみたいね。仕方ないわねナターシャに行ってもらうとして、あの娘には十分気を付けるように言っておこう。
「分かりました。女性騎士を一人付けます。ただし、私の親友ですからね。手を出したらぶっ殺しますよ。絶対手を出さないでくださいね」
『そんな脅さなくても誰構わず手をだしたりしないよ。そもそもクリスティーナ嬢の親友ということは貴族だろ?面倒ごとは御免だからな』
「いえ、あなたに付けるのは平民出の騎士ですよ」
『ほ~…』
何やらニヤケ面して考えてるけど、本当に大丈夫かしら。フィガロにも気を付けるように言っておこう。
まったく討伐任務なのに、討伐以外の心配が多すぎるわ。




