閑話 クリスティーナ面談する その2
ウチの屋敷の5倍はあるわね。
今、私はプレサス公爵家邸に来ている。ペドロ・プレサス魔法師団長との面会するためだ。流石公爵邸と言うべきか使用人の所作から、調度品、お茶にいたるまで全てが完璧だ。
ふ〜、このお茶おいしいわぁ…と思っでいると、扉が開きペドロが入ってくる.
『久しぶりだね。クリスティーナ嬢、大精霊の加護を授かった貴女を屋敷に招くことがてき光栄の至りだよ』
「お久しゅうございます、ペドロ様。大精霊は偉大なれど、私は矮小なる身でございます。普段通り接していただければと思います」
ペドロ様とは何度か顔を合わせたことがある程度で会話したことはほとんど無い。ただ噂は聞いたことがある。王国一の魔法オタクで、魔法の研鑽、研究に全てを捧げるが故にそれ以外が著しく疎になり婚約者に逃げられたこともあるとか。
魔手甲の使い手…というか、生産者だ。魔武具を作成できるのは、ほぼほぼドワーフだけだ。だか、この人は公爵家の財力に物を言わせ、材料をかき集めた後、技術者に弟子入りして手甲を共同制作で作り上げた。そんな感じで自分の興味があることはトコトン突き詰めるが、興味がないことは徹底して避ける。今回のことは興味を持ってくれないと困る。勅命なんだから断ったりしないで欲しいなぁ
「ペドロ様、単刀直入に用件だけお伝えしますね。陛下より勅命が下りました。
魔武具使いのスキルレベルを容易に上げる方法が見つかったので、私と共にクィーン・キラービーの討伐に向かってもらい、討伐においてスキルレベルを上げてもらいます。なお、ソフィア団長と、ミゲル近衛副隊長も一緒です」
『断る』
なんでかなー、陛下の威光って実は大したことないとか?いやいやそんなわけあるかい。
『魔武具使いのスキルは魔法の研究、魔手甲作成過程で習得したものだ。魔手甲作成のための一つの手段でしかない。ゆえに私の人生でこのスキルのために行動することはない。伯父上には私から断っておこう』
そう、この人は陛下の甥なのよね。陛下の弟が降家してプレサス公爵となったのだ。こと魔法に関しては陛下にも諫言しまくってる人だから、勅命でも興味がなければ断るんじゃないかな〜とは思ってはいたけど本当に断るととはね。
仕方ない。陛下から好きにやってもいいと言質は取ってるからね。手段は選ばないわ。
「ペドロ様。話は変わりますが、私が水の大精霊アクア様の加護受けたことについて疑問に思ったことはございませんか?魔法師団長であるあなたなら私の魔法使いとしての実力はどの程度か、ある程度分かるのではありませんか?」
『ふむ、君はお世辞を言われることなど望んではいないだろうからはっきり言わせてもらおう。君の魔法使いとしての実力は凡庸だね。何故アクア様が君に加護をお授けになったのか不思議でならないよ』
『アクア様の曰く、水の上級魔法を使えるのだから、アクア様の加護も使いこなせると考えて私に加護を授けてくださったそうですよ』
嘘は言ってない。うん。
『馬鹿な、君ごときの実力で上級魔法が使えるものか。何かの間違いだろう』
「それが嘘でも間違いでもないのですよ。私は確かに水の上級魔法を行使したのです。ある方法を使ってね。興味が湧きませんか?」
『ふん、実力がない者が実力以上の力を出そうとする時の選択肢など限られている。魔石に頼るか、もしくは魔武具、魔道具に頼る。そんなところだろう?』
「いいえ、私が頼ったのは魔法陣ですよ」
しばしの沈黙…一瞬興味を示したように見えたが、すぐに否定的な意見を述べる。
『君が上級魔法を行使するとしたら、発動に必要な魔力はギリギリ足りるとしても、魔法を制御する力と経験が圧倒的に不足している.仮に水属性の制御魔法陣を描き制御する力を上げたとしても無理だな。下手をしたら暴発する。まぁ制御魔法陣を複数描くことが出来れば話は別だがな』
この人、魔法に関しては本当に優秀ね。
「流石はペドロ様。魔法師団団長の肩書きは伊達ではありませんね。ペドロ様の仰る通り、複数の制御魔法陣を描いて上級魔法を制御したのですよ。
詠唱を唱えてる数秒の間に6つの魔法陣を描く事で何とか上級魔法を制御することができました」
『数秒で6つの魔法陣だと?有り得な…』
「あり得たのですよ。だからこそ私は大精霊の加護を授かることができた。
…私が加護を授かった今回の旅で国家として秘匿すべきことが2つ確認できました。1つは魔武具使いのスキルレベルアップめ方法。そしてもう1つが魔法陣を複数同時に描く方法です。もし、勅命に従ってクィーン・キラービーの討伐に参していただけるなら、討伐の帰りにでも魔法陣について詳細をお伝えしますが、どうしますか?」
『興味がそそられるな。いいだろう、参加しようじゃないか』
はぁ~なんとかなった。
魔法陣についてはちゃんとした許可をもらってないけど、好きにしていいってことだし、問題ないわね。
あともう1人か。出発前から疲れるなぁ




