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閑話 クリスティーナ面談する その1

リンドブルム王国第3騎士団。

王妃や貴婦人の方々を守護する目的で設立された女性のみの騎士団。全体的な戦闘力では他の騎士団に劣るものの、何名か武力が突出している者もいる。その代表格が騎士団長ソフィア・ヒメネス。王国随一の魔剣の使い手。サンドラの憧れの人だ。


「ソフィア団長、お久しぶりです。」


『ええ、久しぶりね。大精霊の加護を授かり、今や時の人となったクリスティーナ嬢の訪問を受けるとは光栄なことね』


「大仰なお世辞やめてください。確かに大精霊の加護は授かりましたが、以前と大して変わりませんよ」


2度目のクィーン討伐に出かける前、メンバーとは個別に会うことにした。どうせ仲良くなれない3人だ。可能な限り3人が一緒にいる時間を少なくする。


『まぁ、そうよね。

サンドラも久しぶり。ちゃんと修行してる?少しは強くなったかしら?』


ソフィア団長はサンドラの憧れの人。サンドラは何度かソフィア団長から剣の手ほどきを受けている。


『はい、まだまだソフィア様の足元にも及びませんが、少しでも追いつけるように日々精進しております』


『そう…はぁウチの騎士団も貴女くらいやる気があれば上達するのになぁ』


「ソフィア団長、サンドラは足元にも及ばないと言ってはいますが、私から見て実力差は縮まっていると思いますよ」


『あら、そうやって主張するということは何か根拠があるのかしら?』


「今回の大精霊の加護を授かった旅で、クィーン・キラービーの討伐に成功しているですが、止めを刺したのがサンドラなんですよ」


『凄いじゃないか、Aランクの魔物に止めを刺すなんて。どうやって止めを刺したか詳しく教えてくれないかしら』


「サンドラは格好良かったですよ~、『憧れの人の技で勝負を決める!』と決め台詞を言った後に、ソフィア団長、貴女の得意技エーテルブレイクでクィーンを倒したのです」


ソフィア団長から笑みが消え、空気が張り詰める。


『有り得ないわ。私は毎日、魔力が空になるまで魔剣を使い、時には魔力枯渇で反吐をは吐きながら修行して、7年の歳月を経てようやく魔武具使いのスキルレベルが6に到達した時に、派生スキルのエーテルブレイクを使えるようになったのよ。サンドラ、確か貴女は魔剣を扱うようになって3年程度だったわね。そんな短い歳月で習得できるほど簡単な技ではないわ』


「魔武具使いのスキルレベルを容易に上げる方法が見つかった…としたら?」


『まさか…あるの?そんな方法が?』


動揺してるソフィア団長に本題を告げるため、王家の紋章が入った1枚の紙を取り出す。


「リンドブルム王国第3騎士団団長ソフィア・ヒメネス。

これより陛下からの勅命を伝えます」


一瞬でソフィアが軍人の顔に変わり『はっ!』と短く返事をする。先程の動揺など微塵もない。


「このたび、魔武具使いのスキルレベルを容易に上げる方法が見つかった。クリスティーナ・フェアリーテール率いるクィーン・キラービーの討伐隊に参加し、クィーン・キラービーを討伐するとともに、スキルレベルを大幅に上げよ。

なお、この討伐における全てが機密事項であり、他者へ情報を漏らすことを禁ずるものとする。以上です」


『勅命、謹んでお受けいたします…フフッ、クリスティーナ嬢も人が悪いな。最初にスキルレベルを簡単上げる方法が見つかったと言ってくれればよかったじゃないか』


「ごめんなさい…あ、そうそう、ミゲル近衛副隊長とペドロ魔法師団長も一緒ですから、そのつもりでいてくださいね」


『…勅命、謹んでお断りしてもいいだろうか?』


「ソフィア団長、勅命ですよ?ダメに決まっているでしょう…仮に断ったとしたら。他のお二方に遅れをとりますよ。いいんですか?

ついでに言えばサンドラも今回の討伐に参加しますのでサンドラにも超されますよ。いいんですか?」


『はぁ〜、あいつらと一緒なのね。仕方ない自前でヒーラーを手配しておこうかしら』


何で血を見ることが前提なのかしらね…

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