第5話 天使の試験
『叶えられるかどうかわからないけど、望みを言ってみて』
さて、どうするか。
いろいろ疑問点があるからな。まずは気になる背景から聞いてみるか
「まずは情報を提供して欲しい。他の女神と競ってるみたいだが、その辺の背景からな」
『この一連の転生は、天使の階級を上げるための試験なのよ』
「試験?
そしてやっぱり女神ではなく天使か?」
『ええ、実はー・・・』
天使の言うことを要約すると、天使が選んだ魂を転生させ、その転生者の活躍により転生させた天使の徳が上がるらしい。
徳が上がれは天軍における階級が上がる。
天使なのに女神を名乗ってたワケは、神様が普段やっていることを天使も経験し、神様の偉大さを知るというコンセプトもあるらしく、転生者に対しては神を名乗ることになっているらしい。
この残念天使は一番下の階級。下っ端ですって。うん、だよね。知ってた。
天界を守る天軍には数十万の天使が所属してるらしく、昇級試験は数百年に一度、失敗すると百年単位で下っ端としてこき使われる。残念天使は前回の試験で徳を積むまえに転生させた転生者が全員死亡。つまりは昇級に失敗した。
で、失敗すまいと挑んだ今回の試験。魂を選ぶときに天使は魂の光り方を見るらしいのだか、俺の魂は普通ではなかった。
基本的に後悔の末、死んだ魂は赤く点滅し、幸福な生活を送っていた魂は青く点滅する。より強く光を放つ方がその想いは強い。
俺の場合、赤、青、赤と交互に点滅していた。それもかなり強い光を放って。まぁ、性欲は3大欲求の一つだからね強く光りもするさ。
他にも例外的な光り方をする魂もあるらしいが、残念天使は俺の魂を選び、今に至るというわけ。
さて、これからどうしたものか。
「なんで最初に全部説明しないんだ?説明すれば徳を積むという目的を持って効率的に動いてくれる転生者も出てくるだろ?」
『神様がしないからよ。
神様の真似をすることが前提なの。それを無視して効率的に進めようとするのは、俗っぽい言い方をするとダサいことなのよ』
「ダサいねぇ」
『だからアンタもここで私が話したことは知らない体で動いてよね。最悪イジメの対象になったりするんだから』
「イジメって、天界って案外俗っぽいのか?」
『アナタたち人間は神様を模して作られたのよ。人間界にあることは天界にも普通にあるわ』
「そんなものかねぇ」
『そんなものよ』