第49話 魔法陣
今日はバスクの図書館に来ている・・・が、頭いてぇ。二日酔いか。
昨日はクリスティーナ嬢の奢りでその場にいた冒険者全員がしこたま飲んだ。
きっと屍累々だ。ギルドマスターあたりが、誰も依頼を受けないと嘆いていそうだな。
しかし、図書館には来たものの二日酔いで本を読む気にならない。ギルドカードで本が借りれるので、魔法関連の本を数冊借りて図書館を出た。
レイラを雇ってからダルさん申し訳ないから宿屋暮らしをしている。借りてる部屋に戻ってくるとレイラが起きたところだった。半裸がエロい。
『なんだい、もう戻って来たのかい?』
「酒が抜けてなくてな、この状態で読書は無謀だった。もう1回寝る」
横になるとレイラがピタリとくっついてくる。
「今はしないぞ」
『いいじゃない、こうしてたいのさ』
レイラと一緒に再び眠りに落ちた。
・・・・・・
起きたら昼過ぎ…というか結構日が傾いているか。起きようとすると借りてきた本が手に当たる。
あれ?オレ本読みながら寝たっけ?レイラかな?本を机に戻す。
『う…ん?マスター。おはよ』
「おはよう。あ〜、二度寝したら何かスッキリした」
そういえばクィーン討伐後のステータスを確認してなかったな。
名前:ガレス Lv41→43
年齢:15
加護:大天使の加護 水精霊の呪い
スキル:夜の帝王Lv2 不意打ち耐性Lv4 薬品精製Lv4 弓術Lv5 風魔法Lv5→6 火魔法Lv2 魔具使いLv3
称号:一騎当千 ジャイアントキリング
力:77→78(+121)
耐久:76→77(+119)
俊敏:121→127(+197)
知力:88→90(+45)
精神:78→80(+40)
器用:124→129(+64)
魅力:70→71(+485)
運:50(+25)
体力:212→222(+344)
魔力:166→172(+86)
クィーンには風魔法しか使ってないのにレベルが2も上がった。さすがAランクだな。
名前:レイラ Lv:68→77
年齢:27
スキル:気配察知Lv10 短剣術Lv8 隠密:Lv7→8 盗み:Lv10(封印) 魔武具使いLv3 New!!
【能力値】
力:84→88(+18)
耐久:91→96(+19)
俊敏:412→440(+88)
知力:96→100(+20)
精神:123→135(+27)
器用:324→344(+69)
魅力:88→90(+18)
運:32(+6)
体力:456→470(+94)
魔力:121→130(+26)
レイラはクィーン戦では出る幕がなかったので兵隊蜂を倒した分のレベルアップとなる。
「さすがに腹減ったな」
『そうだね、お昼ご飯に行こう。あら、ヤエもお腹すいたかい。一緒に食べに行こうか』
大きくなった体を震わせて喜びを表現しているようだ。
ヤエも昨日の飲み会に普通に参加してた。クリスティーナ以外の女性からは受けが悪かったが。ニーナなんて顔が引きつってたし。
しかし、妙にクリスティーナにかまってもらおうとしてたな。
それをいいことに、オットーさんが『ヤエ殿、アナタにお嬢様の護衛を命じます』とか言っていたし。まぁ、気持ちは分かる。無礼講とか言って高位貴族にもかかわらず、普通に冒険者に酌させてたしな。オットーさんも気が気じゃなかっただろう。
飯屋に行くとニーナと鉢合わせする。
「あれ?今昼メシ?遅くない?」
『アナタに言われたくないわよ。
はぁ、フェアリーテール侯爵家の素材回収依頼に低ランク冒険者のほとんどが駆り出されてね。ギルドの受付はてんやわんやよ。昨日の乱痴気騒ぎで受付嬢の何人かは使い物にならないし、猫の手も借りたわ。』
「てっきり、二日酔いで誰も依頼を受けてないと思ってたよ」
『フェアリーテール侯爵家の依頼だけあって実入りが良いうえに、元々蜂の巣があったから魔物が寄り付きにくい場所になっていて比較的安全だからね。二日酔いでも余裕でこなせる依頼だからみんな食いついたのよ』
「なるほどな。ま、お仕事頑張れよ」
『クッ、他人事だと思って〜。
きっと今日は夜も遅くなるわ。。。疲れたら宿屋の方には行かないかも』
「了解だ」
・・・・・・
部屋に戻って魔法の本を読んでいる。いくつか借りてきたが、魔法の威力を上げる方法について書かれた本は興味深い。
一つ、魔力を溜める。
時間をかけて魔力を一箇所に溜める。魔弓士のオレの場合は矢に魔力を溜めて放つ。これはいつもやっている。
一つ、詠唱を唱える。
魔法はイメージと習った通り、無詠唱でも発動する。
ただ、一般的に詠唱を唱えた方が威力が上がるイメージがある。一般的に広まるくらいのイメージだから、大多数の人は詠唱を唱える方が魔法の威力が上がるのだ。
一つ、武器、道具を使う。
魔武具使いのスキルを覚えたが武器も防具もない。
アイテムに関していえは、魔石を触媒にすれば飛躍的に威力は上がるらしいが、お金がかかりすぎる。
一つ、魔法陣を描く。
これは魔法使いがよく杖を使ってやることだ。オレの場合は弓矢で両手が塞がっているから使えない。
こんなところだ。
魔弓の威力を上げる手段として使えそうなのは詠唱か?
でもなー、矢をつがえてから長ったらしく詠唱するのは趣味じゃない。
悩む・・・ちょっと気晴らしに魔法陣を描いてみようかな。魔弓では使えないけど。
確か別の本で詳しく書かれてたな。あったこれだ。
まずは基本的な威力上昇の魔法陣だ。
よし、指に魔力を集中して、こうして、いや、こうか?
・・・・・・
何度なく失敗すること30分。
ようやく目の前に10秒程で威力上昇の魔法陣を描けるようになった。
岸辺露◯のように一瞬で描けそうもない。偉大たな露伴。
もう一度、威力上昇の魔法陣を描き、ほとんど魔力を込めず魔法を発動してみる…
ボソッ「ウィンドブラスト」
ガタガタガタッ!!
おー、凄い。そよ風程度しか発生しないはずだったのに窓がガタつくくらいの風が吹いた。
『へぇ、凄いじゃないか。でも実戦で10 秒は長いねぇ』
レイラが至極真っ当なことを言う。それに魔法陣を空中に保ち続けるための集中力と持続力が必要だ。魔法の威力を高める手段としては面白いと思ったけど
使い物になるかな?
そんな事を考えつつ、再度威力上昇の魔法陣を描いてみる。うーん、やっぱり今は10秒程度かかるな。慣れれば7〜8秒くらいにはなりそうだ。
そしてさっきと同じように最小の魔力で魔法を発動しようとした瞬間、レイラが焦ったように叫ぶ!
『マスター!魔法を放ってはダメだ!!』
ボソッ「ウィンドブラスト」
ガシャァァァン!!!
今度は完全に窓ガラスが割れ、窓が吹き飛び、室内は滅茶苦茶、部屋が半壊したのであった。




