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第48話 Aランクの依頼を受けよう ep7

クィーンとの直接対決。

クィーンの情報は過去に騎士団やギルドが討伐した記録や、オットーさんの助言などで多く集まった。その情報から確認できるクィーンの最も厄介な特性は、クィーンが超強力なバッファーということだ。クィーンが至近にいると兵隊蜂の強さが数倍に跳ね上がる。攻撃力、防禦力は大したことはないが、スピードは凄まじく常人では捉えきれないうえ、連携も強化される・・・のだが、今回は周りに一匹たりとも蜂は飛んでいない。脅威度だだ下がりだな。

クィーン自体の攻撃パターンも分かっており対策済みだ。


戦闘開始直後、クィーンの胸部が異常に膨れ上がる。

クリスティーナ嬢から指示が飛ぶ。

『サンドラ!ガレス!風魔法の準備をして。クィーンの攻撃に合わせて放ちなさい!』


『「了解!」』


次の瞬間、クィーンの体から大量の毒ガスが噴出する。毒ガスによる超広範囲攻撃だ。


「『ウィンドブラスト!』」


クィーンが放った毒ガスを強風によって防ぐ。


フィガロさん、ホセさんはクィーンが毒ガスを噴出する前から「溜め」状態だ。剣術の派生スキル強撃。数秒の溜めの後に放たれる強撃は通常の5倍の攻撃力を誇る…が、溜めがある以上、実戦で使いにくく命中率も悪いからあまり使われない。しかし、必ず攻撃が当たる状況もある。それが毒ガス攻撃をした後の硬直時間だ。

フィガロさんとホセさんがクィーンに突っ込む。


『『強撃!』』


グギェァァァァァァ!!!


フィガロさんが両手剣の一振りで右側の足全てを叩き切り、ホセさんが左側の足を2本切り落とす。

情報ではクィーンの足は鋼鉄のように硬いとあったが、2人の攻撃は強撃の5倍に称号インセントキラーの2倍が乗った10倍の攻撃だ。通らないわけがない。

そして毒が霧散した背後にナターシャさんが回り込み、双剣で羽根を切り刻む!


グゲェガァァァ!!


本来であればクィーンはこんな無防備な状態を晒さないが、悲しいかな、バッファー1匹ならこんなもんだ。


そしてクィーンは何かが入っていそうな腹を前に出す。

この腹の中にはクィーンが心血を注いで育てた親衛隊が入っている。

緊急事態に産み落とし、1回の戦闘で全ての力を使い切る親衛隊。1回の戦闘で死んでしまうが、それ故に超強力な使い捨ての護衛。さらにクィーンのバフが入るため産まれたら手が付けられない。


・・・が、当然産まれるのを黙って見てるわけがない。

1番の脅威をこのパーティーの最大火力で吹き飛ばす。


『グラビティ』


オットーさんの重力魔法でお腹を突き出した状態でクィーンを固定する。


そしてサンドラさんが決めにかかる。

『憧れの人の技で勝負を決める!』

戦闘開始から今まで、魔剣に溜めた魔力を解放する。魔剣に集中していた膨大な魔力は、直後、弾けるようにサンドラさんの全身を巡り、魔力の奔流が溢れだす。その刹那、信じられないスピードでクィーンに突進する!


『エーテルブレイク!!!』


クィーンは腹部が爆散するように吹き飛び、上半身は宙を舞い地面に叩きつけられる。確認するまでもなく絶命だ。




・・・・・・



『うーん、腹部が吹き飛んだとはいえ、ウチ保有のマジックバッグではクィーンの巨体は入らないわね。

魔石だけ採って帰りましょうか』


Bランク以上の魔物には必ず魔石が存在する。色々な利用用途があり貴重なのだ。Cランクでも魔石がある場合があるが、稀だし小さいため採取するかは冒険者次第である。


生きた蜂がいなくなった巣を放置して街に戻ることになった。

ギルドからフェアリーテール家のパーティーがクィーン討伐の依頼を受けたのは周知の事実だから、そこら辺に転がっている蜂の素材を盗むやつはいないだろう。あとで素材回収の依頼をフェアリーテール家から出すとオットーさんが言っていたし問題ないはずだ。


フィガロさんたちは機嫌が良さそうだ

『今日の討伐は実りが多かったな。魔武具使いのスキルもそうだが、個人的には称号持ちなれたことが嬉しいぜ』


『はぁ〜、どこかに魔剣が2本転がってないかしら』


『ハハハ、あるわけ無いよ』


『私のはあげないわよ』


しかし、クリスティーナ嬢は困った顔している。

『どうやって報告しようかしら。色々報告すべきことがあって頭が痛いわ。

一体誰のせいかしらねぇ、ガレス?』


オレのせいと言いたげだな。ヤレヤレ。

「まだ本命が残ってるよ。水の精霊から加護を授かるのだろう?今日の調子からすると、すんなりいくとは思えないな」


『嫌なこと言わないでくれる?これ以上はお腹いっぱいよ。

はぁ、明日は報告書と格闘しないといけないわね〜

ガレスは明日から何するの?』


「調べ物かな。魔法について調べたい。従魔に魔法を覚えさせる方法があるかどうかとか」


『ヤエの種族、マジック・スパイダーだっけ?魔法を覚えなかったというのは不思議よね。

・・・悪いけどさ、ヤエの進化条件は伏せておいてくれる?』


「ああ、進化条件は多分、魔武具使いだろうから伏せざるを得ないよな。

魔法に関連するスキルを覚えていれば、進化条件としては何でもよさそうな気はするけど、そう簡単に検証出来ないからな」

そんなことを話しつつ帰路に着いた。


そして夕刻、ギルドに到着。

この日のバスクの冒険者ギルドはAランク討伐依頼成功に湧いたのだった。



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