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第46話 Aランクの依頼を受けよう ep5

蜂の巣に近づくと本隊と思われる部隊が巣から出れずにいた。出入り口が蜂2〜3匹が通れるくらいの広さしかないから、ヤエの糸の強度でも塞ぐには十分だ。

しかし、心配性のオットーさんが「念の為」と言いつつ、ヤエの糸の外側に土魔法で強固な檻を作る。ま、オットーさんの心配もわかるから誰も皆文句は言わない。


さてここからはこっちの世界の杉っぽい木を燃やして、煙を巣の中に送り込もうと思う。侯爵家保有のマジックバッグに杉モドキの薪を入れてきた。杉は煙が出やすい。こっちの杉モドキも多分同じだろう。

オレとサンドラさんは風魔法が使えるから風魔法で煙を巣に送れる。だが他の人は難しい。煙は上へ上へ行くから巣の横穴へ煙を送るのは至難の業だ。そこでオレが用意した秘密兵器がある。ダルさん店で仕入れた最新魔道具、ハンディファンだ!

これを作った奴は絶対転生者だよな〜。そんな事を考えながら皆にハンディファンを配る。 

するとクリスティーナ嬢が感想を述べる。

『これいいわね、普通に夏に欲しいわ』


「そうでしょう、そうでしょう。オレのいた世界でも同じような商品が大ヒットしてたから」


さて、煙を送る準備が整ったので実行しようとしたところ、フィガロさんとホセさんが難色を示す。


『この煙で大量に蜂を窒息死させるってことだよな。正面から戦わないとなるとステータスの伸びが気になるな』


『そうそう、1レベルや2レベル程度ならいいけど、本隊丸々残ってるだろ。相当レベルがあがるよな。そう思うとステータスの伸びが悪くなる方法でレベル上げるのは躊躇してしまうな』


ナターシャさんも追従する

『そっかー、私も遠慮しようかな』


クリスティーナ嬢がまとめにかかる。

『煙を送るのは私とサンドラ、ガレスにレイラでいい?オットーはどうする?』


『先ほど300匹くらい殺した際に久しぶりにレベルが上がりましたし、本隊は他の方にお譲りしますよ』


「上手くやればヤエも煙送れるかも。ハンディファンは軽いからヤエでも持てる」


『あら、それは良いわね。すぐに進化可能レベルまで上がるんじゃないかしら』


それにしても、やはりこちらの人はステータスの伸びが気になるんだな。

まぁ頭数が減っても問題ないと思うからいいけどね。

ただ、数が数だからな、もしかしたら蜂殺しとか、虫殺しの称号が取れるかもな。


「称号か・・・」


と思わず呟くとフィガロさんが反応する。


『ガレス、今称号と言ったか?何の称号の取得方を知ってるんだ?』


え?称号に食いついた?

でもオレが持ってる称号はどうせ取れないから言うべきではない気がする。可能性の話でもいいだろうか?

「蜂を大量に殺すから、広く知られているゴブリンキラーみたいに蜂殺しや虫殺しの称号が取れないかな〜と思って、思わず口にしてましたね」


『なるほど、その可能性は大いにあるな。もしそうならやるべきか・・・』


「称号って重要なんですか?」


『ああ、王国騎士団や近衛騎士団の選定基準に大きく影響すると言われている』


それを聞いたクリスティーナ嬢がフィガロさんとホセさんをからかう。

『あら、二人は侯爵家の騎士から王国騎士団に鞍替えしたいのかしらぁ?』


『い、いえ、そのようなことは決してございません。』


『そうです、あくまで一般論の話です』


『冗談よ。

迷ってるなら保留しておいて、私達の結果を見て途中参加すればいいんじゃないかしら』


『それは良いですね、そうしますよ。ナターシャもそうするか?』


『ええ、そうするわ』


・・・・・・


煙を送り始める。

「オットーさん、地面から煙が出ているところは空気穴なんで、土魔法で塞いでもらえますか?」


『承知しました』


5分くらい経ったところでオレのレベルが急激に上がり始めた。ちゃんと窒息死するらしい。お、風魔法のスキルレベルも上がった。予想通りだ。

ヤエのステータスも確認する。

次は20レベルで進化可能のはずだから細かくチェックしていると、ヤエに見慣れないスキルが生えた。


 魔武具使いLv1


なんだコレ?と思った瞬間、クリスティーナ嬢が叫ぶ。


『全員手を止めて!!煙を送るのを一旦中止しなさいっ!』


そして、サンドラさんに命令する。

『サンドラは風魔法ではなくハンディファンを使って煙を送りなさい』


命令されたサンドラさんが質問する。

『急にどうされたのですか、クリスティーナ様?』


『今、私は魔武具使いのスキルを習得しました』


『『『えっ!!』』』


騎士全員がクリスティーナの発言に驚く。


そこにレイラが付け加える。

『私も習得したよ…マスター、もしかしてヤエも習得したのかい?』


「ああ、オレは風魔法のスキルレベルが上がったけど、ヤエには魔武具使いのスキルが生えた。けど、これってどういうスキルなんだ?」


クリスティーナ嬢が答えてくれる。

『魔剣みたいな魔力を帯びた武器、防具を使う者にしか習得できないスキルよ。魔力を帯びた武器は数が少いから、必然的に魔武具使いのスキル持ちは少なく貴重な存在なの。

当然ながら魔剣を使っているサンドラはこのスキルを持ってるわ。でもこのスキルは魔武具の力を引き出して敵を倒した際にスキルレベルが上がると言われているの。魔武具の力を引き出すのって相当魔力を消費するから日に数回が限度。だからスキルレベルが上がりにくいのよ。

それにもかかわらず、魔武具なんて一度も使ったことがない私が魔武具使いのスキルを習得できた。このハンディファンを使って煙で蜂を殺す方法は、とんでもなく効率的に魔武具使いのスキルレベルを上げる方法ということになるわ』


うぅ…なんか結構重要な発見ぽいな。

「しかし、使ってるのは魔導具なのに、スキルとしては魔武具と表現されるのか」


『それは少し違うわね。魔導具を武器として使ったから、魔武具使いのスキルレベルが上がったのよ。

魔導具の開発者がよく習得する魔導具使いとうスキルも存在するもの』


オットーさんが難しい顔をしてクリスティーナ嬢に話しかける。

『お嬢様、これは国家機密レベルの情報になる可能性がございますので宰相閣下にご報告するべきかと具申いたします』


マジかーできれば国家権力と関わりたくないんだが。全部フェアリーテール家に押し付けられないかな。


『ガレス、あんた今回の件の中心人物だからね。悪いけど包み隠さず報告させてもらうわよ』


う、釘を刺されてしまった。

仕方ないかぁ・・・あ!

クリスティーナ嬢が先程風を送るの中止しろって言ったけど、ヤエはパーティーメンバーのオレかレイラの言うことしかきかないんだった。

さっきから煙を送り続けている。


「ヤエ、一旦煙を送るのを止めるんだ」


急いでヤエのステータスを確認すると30レベルまで上がっていた。魔具使いもLv2になっている。あらら、まぁいいか。

とりあえず進化させてしまおう・・・ん?なんだコレ?


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