第45話 Aランクの依頼を受けよう ep4
クィーン・キラービーの討伐が始まった。
こっちの世界の蜂はかなり明確に部隊が別れているらしい。
常に巣の周りを飛んでいるのは偵察、先行部隊。巣の周りの索敵と、外敵の足止めが役割となる。
まずコイツらが敵と戦い、やられたら巣から本隊が出て防衛にあたるため、本隊が出てくるまでラグがあるのだ。このラグを利用する。
まず、巣からある程度離れた場所で偵察・先行部隊に攻撃を仕掛け引きつける。攻撃を仕掛けるのはレイラとヤエ以外の全員だ。
ある程度離れた場所であれば偵察・先行部隊が出払い、本隊が出てくるまでの時間、巣の防衛が手薄になる。
その手薄になった巣に対し、隠密スキルで巣の近くに隠れているレイラとヤエが、ヤエの糸スキルを使い蜂の巣の出入り口を塞ぐ。
レイラの隠密スキルはレイラが持って歩ける程度の物なら隠密が連動する。つまり今のヤエなら隠密が連動する。そして隠密の解除条件は敵を直接攻撃した場合だ。蜂に糸を当てずに巣に当て続けることが出来れば隠密は継続し続ける。蜂の数が一時的に減少した状態であれば、蜂に糸を当てずに巣の出入り口を塞ぐ事が出来るだろう。
巣の出入り口を全て塞げるかどうかが作戦継続するかどうかの判断基準になる。失敗すれば本隊が出て来る前に、即撤退と決めている。
クリスティーナ嬢が叫ぶ
『先行部隊が来たわ。最初から全力でいくわよ!
喰らいなさい!ウォータースプラッシュ!』
オレも攻撃を連動させる。
「ウインドボム!」
後衛のクリスティーナ嬢とオレの役割は敵の動きを阻害することだ。可能な限り広範囲に魔法、魔弓を撃ち込む。羽を傷つける程度で問題ない。動きが鈍った蜂を騎士たちが狩り尽くす。
『おらぁ!』
フィガロさんが一振りで十匹以上の蜂を屠る!
『せいっ!』
ホセさんは蜂に突っ込み、片手剣を振りまくる。時折くる反撃は盾でいなす。器用なものだな。
『シッ!』
ナターシャさんはスピードが凄まじい。移動速度も凄いがそれ以上に剣速が異常だ。通り過ぎた場所にいた蜂が漏れなく真っ二つになっている。
『魔剣エウロスよ我に力を!』
サンドラさんの魔剣に魔力が宿る。風属性の魔剣か。
『吹き飛べ!エアスラッシュ!!』
おー、百匹くらい吹き飛んだじゃないか。
クリスティーナの叱咤が飛ぶ。
『ガレス!ぼーっと見てない、次来るわよ!ウォータースプラッシュ』
「了解、ウインドボム」
思った以上に数が多いな。
長引けば前衛にダメージが入るか?この数だと回復のタイミングが難しいな…と思った矢先・・・
『グラビティ』
広範囲の重力魔法。2〜300匹くらい死んだか?
重力魔法は土属性魔法だ。このパーティーで土属性魔法を使えるのは・・・
『オットー!あなた手を出さないって言ってたでしょ!』
『オットーさん!私の取り分を取らないでください!』
クリスティーナ嬢とナターシャさんから野次が飛び、オットーさんがシュンとしてしまう。
オレから見ればタイミングは良かったと思うけど。オットーさんも苦労してるんだな。
『まぁまぁ、オットーさんが手を出すのはいつものことじゃないですか』
ホセさんがフォローするがあまり効果が無いようだ。
クリスティーナ嬢が怒りながら指示を飛ばす。
『とにかく数が減ったから一気に畳みかけるわよ!』
・・・・・・
『途中から明らかに数が減ったわね。もう飛んでる蜂はいないわ』
「レイラとヤエが上手く立ち回ってくれたおかげだろうな。お、レイラが戻ってきた」
『マスター、上手く出入り口を塞ぐことが出来ました。奴らの本隊は巣から出ることは出来ません』
良かった上手くいったか。
「危険な役割を良くこなしてくれた。助かったよ」
労ってもらったことが嬉しかったのかレイラが微笑む
『マスターたちが蜂を引きつけてくれたおかげで数は少なかったし、私には気配察知があるから、出入り口の把握も、塞ぐタイミングを計るのも楽だったよ。この程度なら何てことはないさ』
クリスティーナ嬢が全員に号令をかける。
『ここまでは想定通り。次の行動に移るわよ!』




