表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/101

第44話 Aランクの依頼を受けよう ep3


『あんたねぇ、それで昨日はお楽しみだったってわけ?』


蜂の巣に向かう道中、クリスティーナ嬢が呆れたように問いかける。


「今日のために体力温存しようと思ってたんだけど、女性の想いに応えるのは男の甲斐性ってやつでな、どうしようもなかったのさ」


昨晩、レイラがクリスティーナ嬢との面会の様子をニーナに詳しく話したところ「私も惚気たかった」とワケのわからん理由で嫉妬し、機嫌を直すのに一発要求され、一緒にいたレイラは我慢できるわけもなく、レイラとも一発かました次第である。


『あの受付嬢もガレスの女だったってわけね。体力的に今日は大丈夫なの?』


「スキル効果で夜は疲れ知らずだからな、今日に影響はない」


男騎士たちが本音を漏らす。

『羨ましいスキルだな。女性を喜ばすことに特化したスキルか』

『ああ、全くだ。オレも女性をヒーヒー言わせたい』


女騎士がそれに反応する。

『最っ低』

『本当に男ってバカばっかね』


その最低でバカにオレは含まれるのだろうか。

昨日の作戦会議で夜の帝王のスキル効果は共有されている。というか、クリスティーナ嬢が口を滑らしただけだが。

まぁいいけどな。騎士さんたちは口外しないと約束してくれたし。


男性騎士はフィガロ・ロドリゲスさんとホセ・サンチェスさん

フィガロさんは男爵家の次男で両手剣の使い手。昨日は初対面でオレにつっかかってきたが、奴隷を雇うやつなんてクズしかいないという先入観から牽制しようとしたらしい。今はオレが奴隷を大切に扱っていることを理解してもらったので誤解は解けている。


ホセさんは伯爵家の6男。サンチェス伯爵家は子供が多く11男5女いるらしい。それもそのはず、正妻1名、側室4名で当代が絶倫とのこと。

オレのスキルを知った時、まさか親父も?と呟いていた。そんなわけないと思うが。片手剣と盾の使い手だ。


女騎士はナターシャ・リナレスさんとサンドラ・トーレスさん


ナターシャさんは褐色の美人で双剣の使い手。フェアリーテール家の御用商人の娘で4人の騎士の中では唯一平民出。元々冒険者志向が強く、成人したら家を出て冒険者になると息巻いていたが、心配した父親が強く反対。壮絶な親子喧嘩の末、クリスティーナの父であるラルフが仲裁。精霊か妖精とのつながりを持つための修行を予定していたクリスティーナの護衛となった。つまりある程度の強さまではクリスティーナと一緒に安全に強くなれという折衷案を侯爵から提示され、それに従った形だ。クリスティーナと同年代で常に一緒にいたことと、クリスティーナの自由奔放な性格から二人は親友と呼べる間柄となったらしい。元々戦うことに憧れていただけあって、クリスティーナ以上に成長し、最近侯爵から騎士の称号を授かったようだ。


最後はサンドラさん。トーレス子爵家の5女で、なんと魔剣の使い手、つまり魔剣士だ。

トーレス家は子宝に恵まれたものの、産まれた子供は全員女の子。婿を迎えて当主にしたら、トーレス家に代々受け継がれてきた魔剣を奪われるかもしれないと考えたサンドラさんの父親は末っ子であるサンドラさんに魔剣を扱えるよう修行を施す。

実は姉4人に剣を教えるという提案を断られた父が可哀想で仕方なく修行を承諾したらしい。

だが、王国騎士団随一の魔剣の使い手が女性であり、彼女の演武を見て強い憧れを抱くようになった。それ以来研鑽を積み、魔剣の力も相まって騎士4人の中では1番のダメージディーラーとなっている。


そしてもう1人、討伐依頼にもかかわらず完璧なまでの執事の礼服。違和感パネェっすよ、オットーさん。


とりあえず、そろそろ蜂の巣に着く。まずは1番大切な確認だ。

「皆さん、まずは逃走経路の確認をしましょう」


『そうね、敵わないと判断したら即逃げるからね』


今回依頼を受けようと提案した理由、それは逃走経路の確保ができると判断したからだ。

その逃走経路というのは・・・


『綺麗な川ね』


『水の精霊が住まう湖が近くにあるのでしょう。だとしたら川も綺麗よね』


『だが鎧を着たまま潜るのは勘弁して欲しいな』


騎士たちが話している通り逃走経路は「川」だ。

川が近くにあったから依頼を受ける気になった。

川に潜って逃げる。呼吸は風魔法で顔の周りに空気を纏わせることで確保する。5分くらい潜ってられることは実験済みだ。

風魔法はオレと、魔剣使いのサンドラさんで人数分をカバーする。

蜂は水の中まで攻撃出来ないから、そのまま川の流れに乗って逃げる。鎧で沈んで動かなかったら最悪鎧捨てることになっている。


「レイラ、敵の様子はどうだ?」


『ここから北に約200m。そこに多数の反応があるわ。恐らくこれが蜂の巣でしょうね。』


クリスティーナが呟く。

『山道沿い200mに蜂の巣があるのね…確かに危険だわ。

・・・ふぅ。

さあ、皆、これから討伐を開始するわよ。準備はいいかしら』


騎士たちが気合を入れて返事をする。

『はい!!』


オレたちも作戦行動に移るか。 

「レイラ、ヤエ、頼むぞ」


レイラが短く返事をする。

『はっ、お任せを』


クィーン・キラービーの討伐が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ