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第42話 Aランクの依頼を受けよう ep1

『あぁ、オットーの正体に気づいていたのね。そう、オットーって怖いの。元暗殺者なんだから』


『お嬢様、いくら気に入った相手とはいえ、こんなにも簡単にバラされては困ります。

それに元ではありませんよ。フェアリーテール家に仇なす者がいれば躊躇せず力を奮うでしょう。

さて…この部屋に入った際、レイラ嬢がガレス君に何か伝えていましたね。何を伝えていたか非常に興味があります』


「レイラからオットーさんがヤバい。一歩間違えれば命がないレベルと」


『ほう、あのアイコンタクトの一瞬でガレス君に伝えましたか。あらかじめサインを決めていたのでしょうね。中々に優秀です。

しかし、レイラ嬢のスキルはコチラで把握しているのですが、看破や鑑定などのスキルはなかったはず。なぜ分かったのですか?』


レイラが恐る恐る答える。

『経験…かしら。盗賊時代、裏の組織と一緒に仕事をすることが何度かありまして、稀にがヤバい奴がいたの。そういう奴に限って不自然なほどに普段は何も感じない。言葉では説明しにくいけどオットーさんから似たような雰囲気を感じたわ』


『なるほど、実に有意義な意見です。今後の参考にさせていただきます。

先ほどお嬢様がアナタ方の後ろ盾になると仰られましたから、よほどのことがない限り、アナタたちに私の力を使うことはないでしょう。

まぁ、お嬢様はフランクな関係をお望みのようですので、非公式の場であれば、言葉遣いが多少崩れても、私が目くじらをたてることはありません。ご安心ください』


「ふぅ、そう言ってくれると助かります。さっきから肩が凝って仕方なかったんですよ」


『そうそう、そういう軽口を言ってくれた方が話が弾むのよ』


「それで、水の精霊についてはどうするんですか、クリス様?」


『仕方ないわね。王都に使いを出してお母様から魅力を上げるアイテムを借りることにするわ。オットー手配して』


『承知いたしました』


『はぁ〜、使いが戻って来るまで暇になったってことよね。何をしようかしら。バスクは寂れてるわけじゃないけど王都ほど栄えてるわけじゃないしな〜。ガレス何か面白いことない?』


「残念ながらないですね。と言うか、冒険者に面白いことを聞かれても困る」


『冒険者ギルドで依頼でも受けようかしら』


「え?クリス様も冒険者登録してるのか?」


『してるわよ。仮にも精霊の加護を得ようとしてるのよ。それなりの実力者じゃないと精霊も認めないでしょ。

だから定期的に狩りに出かけてるの。大体バスクに連れてきたメンバーで依頼を受けるわね』


「ランクは?」


『Aランクよ。私は人並みの実力しか持ち合わせていないけど、騎士たちは侯爵家に仕える騎士だからね。かなり強いわよ。ちなみにオットーは執事一筋だから冒険者登録はしてないわ。まぁ、私のことが心配で必ず付いて来るんだけどさ』


「ふーん、それならウチのギルドの塩漬け案件でも一緒に受けようか?」


『何の討伐なの?』


「推奨ランクA クィーン・キラービーだよ」


オットーさんが間髪入れず止めね入る。

『危険ですお嬢様。兵隊蜂であるキラービーの個々の強さは大したことはございません。しかし数が問題です。塩漬け案件ということですので兵隊蜂の数は数千になることも考えられます。最初は良くとも最後まで体力、魔力が持ちません』


『オットーの言うことは分かる。でも提案してくる以上、ガレスには勝算があるんでしょう?』


「勝算と言うか、試してみたいことはある。

こっちの人って蜂の巣を強引に潰すと聞いたけどあってる?」


『そうねぇ、向かってくる兵隊蜂を倒しつつ、巣に向かって魔法をぶっ放す感じだと思うわよ。オットー、合ってるかしら?』


『はい、その通りでございます。そのため主要な街道沿いに巣ができた場合、討伐には騎士団と魔法師団が合同で動くことが多いです』


『そういえばガレスは転生者だったわね。ガレスがいた世界ではどうやって蜂の巣を潰すの?』


「よく見るのは煙で蜂を弱らせて駆除かな」


『へぇ、興味深いわね。仮に討伐依頼を受けるとしたら煙を使うの?』


「ああ、そのつもりだよ」


『面白そうね。オットー、騎士たちを部屋の中へ。

作戦会議をするわよ。もしガレスの策を聞いて討伐出来ると判断できれば依頼を受けましょう』

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