第37話 オーガ狩り
『マスター。一応聞くけどこんな狩り方でいいのかい?』
「安全第一。大いに結構じゃないか。何か不満があるのか、レイラ?」
今はギルドの討伐依頼でオーガを狩りに来ている。
オーガはそれなりに強い。ギルドの推奨ランクはC以上。一応Dランクでも依頼を受けることが出来る。
レイラが冒険者登録したところCランクだった。Eランクのオレ組めばパーティーとしてはDランクとなる。
そのオーガをどんな方法で狩っているかというと、レイラの気配察知で位置を確認。オーガがこっちを察知出来ない距離から毒を塗った矢を撃ち込んだ後、オーガが死ぬまで隠れる。それだけだ。オーガは近接戦闘には長けているが毒に対抗する手段がない。毒にして放置すれば、時間は掛かるが倒すことは出来る。
レイラの気配察知がLv10だから出来る狩り方だ。Lv10なら半径500mの敵を察知できる。
ちなみにオーガの肉は不味くて食えない。素材になるのは角くらいだ。だから毒を撃ち込んでも問題ない。
『マスターは知らないかもしれないけど、あまり尖った戦い方するとステータスの伸びが、悪くなる傾向にあるのさ』
「そうなのか?」
レイラ曰く、敵と真正面から戦いを挑んで勝つ方がステータスの伸び良いとのこと。騎士とか剣士とかの方が後々地力で勝るようになるから職業として人気がある。
尖った戦い方をすると、その戦い方に関するスキルレベルが上がる分、ステータスの伸びは悪くなるようだ。
「それって単にモンスターを倒したときの経験値は一定で、ステータスに振られるか、スキルに振られるかの差だと思うが、違うのか?」
『恐らくそうなんだろうね。だが、ステータスが上る方が強くなった実感があるから正面から戦うのにこだわるやつもいるのさ』
「言ってることは理解できるがオレには必要ない。むしろスキルの方を成長させたいね」
『ふーん・・・あぁ、マスターには夜の帝王があるからステータスの補完が可能だったねぇ』
「そういうことだ。それにしても・・・」
『なんだい?人の顔ジロジロ見て』
「普段のレイラとしてる時のレイラの口調が違うな〜と思って。してる時の方が従順な感じだよな。可愛くなるっていうのかな」
『な、な、何言ってんだい。一応戦闘中なんだから、気を抜くんじゃないよっ!まったく・・・』
『お、レベルアップした。また倒せたみたいだな。楽なもんだ。」
『・・・オーガって言ったら普通は楽じゃないんだけどねぇ』
・・・・・・
結局オーガを19体倒してレベルは6アップした。
使ったスキルのレベルは軒並みアップ。しかし、レイラが指定した通りステータスの伸びは悪い。
名前:ガレス Lv10→16
年齢:15
加護:大天使の加護
スキル:夜の帝王Lv2 不意打ち耐性Lv3→4 薬品精製Lv3→4 弓術Lv3→4 風魔法Lv3→4 火魔法Lv1
称号:一騎当千 ジャイアントキリング
力:60→63(+97)
耐久:60→62(+96)
俊敏:80→89(+179)
知力:70→76(+42)
精神:60→63(+35)
器用:80→90(+50)
魅力:60 →61(+480)
運:50(+25)
体力:150→168(+260)
魔力:120→132(+66)
魅力はニーナを抱いたことにより補正値込みで500超え。パネェっす。
オーガを倒すための毒にヤエの毒もブレンドしておいたから、ヤエもレベルアップした
【従魔】
名前:ヤエ Lv3→6
年齢:1
種族:スパイダー
スキル:毒Lv1→2 糸Lv1
【能力値】
力:6→7
耐久:15→17
俊敏:28 →37
知力:16→18
精神:13→15
器用:27→37
魅力:17→19
運:50
体力:40 →45
魔力:10→16
レイラはレベルが上がらなかったが、隠密のスキルレベルが1上がった。矢を放った後はひたすら隠れていたからな。その内オレにも隠密が生えるかも。
名前:レイラ Lv:68
年齢:27
スキル:気配察知Lv10 短剣術Lv8 隠密:Lv6→7 盗み:Lv10(封印)
【能力値】
力:84
耐久:91
俊敏:412
知力:96
精神:123
器用:324
魅力:88
運:32
体力:456
魔力:121
ー 冒険者ギルド バスク支部 ー
依頼の達成報告でごった返す中、受付嬢ニーナの声が響く。
『オーガ19体の討伐、お疲れ様でした!!』
周りの冒険者がザワつく。
そりゃそうだ。Dランクパーティーが推奨ランクCのオーガを大量に討伐したからな。
わざわざ周りに知らしめる様にしたのはニーナの提案だ。奴隷を雇うことで周りからの風当たりが強くなることは目に見えている。
他の冒険者から無視とか、関わりを持たないとかなら許容できるが、妨害とか嫌がらせを受けるのは好ましくない。
そこで自慢できる成果は誇張して喧伝し、実力があると思わせれば手を出してくる連中を牽制出来るだろうというのがニーナの考えなわけだ。
オレは何もしなくて放っておけばいいと言ったけどな。
うーん、ニーナはドヤ顔してるけど、思惑通りになってるのかなぁ?
と思った瞬間、筋肉が目の前に。
『ガレス、ちょっと来い』
筋肉が釣れちゃったよ。おいニーナ、なに顔そらしてんだ、こっち見ろ!
オレはギルドマスターの執務室に連行された。
『色々と聞きたいことがあってな』
「はい、何でしょう?」
『ニーナと付き合ってると思ったら急に奴隷を雇って奴隷をパーティーを組みやがってどういうつもりだ?奴隷を雇う奴はクソみたいに思われる傾向があるんだよ。一応オレはギルドマスターという役職上、受付嬢の面倒を見る立場にある。その受付嬢の彼氏がいきなり奴隷を雇ったら文句の一つも言わなきゃいけねぇ。そう思って様子を見てたらニーナとの仲は以前と全く変わらず良さそうな感じだ。パーティーを組んだら組んだで、オレの知らない内にお前のレベルに見合わないオーガ討伐をニーナの受付で受けていやがった。ニーナは規則上問題ないし、実力的にも問題ないと言っていたが信じられると思うか?あん?いくらを奴隷雇ったからってこの間までレベル1だったんだぞ、お前は。そして装備だって初心者に毛が生えた程度の武器だ。おまけに雇った奴隷は元盗賊の斥候系だっていうじゃねーか。完全にオーガ討伐のパーティー構成じゃないんだよ。それでさっきまで心配してたらオーガの大量討伐報告ときたもんだ、心配してたオレが馬鹿みたいじゃねーか。泣くぞ。
で、どうやってオーガを狩ったんだ?答えろ!』
だぁぁぁ、このオッサン相当不満が溜まってただな。とりあえず一つずつ答えるか。
「えーとですね・・・」
オレがオーガの倒し方を説明すると溜息と共に返事が返ってくる。
『ハァ、お前そんな戦い方してたらステータスの伸びが悪くなるぞ』
「でしょうね。今回のオーガ討伐で結構レベル上がりましたけど、ジャックさんと一緒にレベル上げした時よりかなりステータスの伸びは悪いです。でもスキルレベルが色々上がったので自分としては満足してます」
『レベル50くらいまでステータスを上げて、それからスキルを上げるというのがセオリーなんだがな』
「オレは前衛ではないですし、スキルで奴隷をサポートできれば問題ないです」
『・・・やけに奴隷に拘ってるな。何か理由があるのか?特殊なスキルを持っているとか』
さすがギルドマスター、するどいね。さてどうしたものか。ギルマスは信用できるし、一部スキル効果を伝えて納得してもらった方がいいか。
「まぁ、そんなところです。全てを話すつもりはありませんが、女奴隷に限ってステータスがアップする効果を得られるスキルなんです」
『なるほど。しかしそのスキルの効果は奴隷を雇うデメリットを負ってまで欲しいものなのか?』
「全ステータス20%アップ。そしてスキルレベルが上がればさらなる追加効果も期待できます」
『破格だな。それなら奴隷を雇おうするのは理解できる。しかしだ、さっきも言った通りニーナは大切にしろよ。あいつに抜けられるとウチのギルドの仕事が回らん』
「へぇーそうなんですか」
しばらくしたらニーナも一緒にダンジョン都市ローナへ移り住む予定なのは言わないでおこう。。。




